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ゆきと春香  作者: のこころ
59/63

獣王 オルセン



緑蛾と紫蛾は目を丸くした。


「何という運命の日でしょうか!」


「ムーンブルク軍!!素晴らしいね!!」


2人は歓喜の声をあげる、かなりの興奮状態である。


オルセンは首をコキコキと鳴らし、煙草に火をつけた。

「随分喜んでくれてるが…まぁ大事な弟分のケジメはつけさせて貰うぞ。」


「ははははは!!それは怖い!!しかしそれは不可能ですよ、ムーンブルク軍、獣王 オルセンさん。」

緑蛾は笑いながらオルセンを見つめる。


「…俺の通り名を知ってるって事は、餓者と通じてるって訳だな。」


「ははははははははは!!」


「ははははははははは!!」


緑蛾と紫蛾は笑い転げる。



「じゃ、もういいな。」

オルセンは火の着いた煙草を手で握り潰した。


紫蛾が笑いながら話を続ける。

「ははは!もう勝負はついているね、お顔はね、初めてお目にかかりますけどね、貴方はね、オルセンさん、魔法は一切使えないただの筋肉馬鹿ね、全部知ってるね、紫蛾(わたし)の魔法のね、「ワン サウザンドデス」がね、貴方にね、もうかかってるね、この魔法はね、かけられた相手の攻撃全ての威力をね、1000分の1にするからね…」


ドカッ!!


「きゃああああ!!!」

紫蛾の身体が()()()に曲がり大きく吹き飛ぶ、そしてそのまま大木にぶつかり倒れた。


「!?」

唖然とする緑蛾。


緑蛾は我に返りオルセンに手を向けて叫ぶ。

「デ、デッドリークロス!!」


オルセンの背中に赤い十字架が現れる。


「うおおおおんん!!」

オルセンは、獣の様な雄叫びで赤い十字架を吹き飛ばした。


「!?」


「ば、馬鹿な!そんな馬鹿なこと!そんなこと!」

パニック状態になる緑蛾。


「使うしか!今使うしかない!」

緑蛾は呪文の詠唱を始める。


「お前ら禁じの魔法ばっかり使って大丈夫かよ?死ぬぞ?」

オルセンは緑蛾の前に立ち心配そうな顔をした。

緑蛾の目から血の涙が流れ出した。




「爆ぜろ!メ・ガ・ボ・ム!!」



緑蛾は両手を挙げ一気に振り下ろす。


オルセンを中心に周囲がオレンジ色に染まり大気がグニャリとズレる。



ドカーーーーーーーーーーーーーン!!!!



凄まじい爆発が起こり、緑蛾も爆発に巻き込まれ吹き飛ぶ。



◇◇◇◇



「あーあ、地形変わっちまったし…」

オルセンは漂う砂煙の中呟く。

腕には神崎 龍を抱えていた。

オルセンは龍を岩に寝かせ、頬を数回叩く。


「おい!しっかりしろ!龍!おい!」


龍はゆっくりと目を開く。

「…オルセンの兄貴…どうもすいやせん…」


「おお、目え覚めたな。大丈夫か?」


「…大丈夫です。」

龍は立ち上がり、周囲を見渡す。


「アイツらは…」


「あぁ…2人共死んじまった。」


「そうっスか…」

龍は悔しそうに下を見る。


「俺は俺のルートで調べてた、あの悪党2人が頭じゃねえ。やっぱり餓者が絡んでる。」

オルセンが煙草に火をつけた。


「餓者がこの街に入り込んでるってことですか?」


「そうだ、国の結界を悠々と突破して人間に悪知恵を与えるなんて事が出来る餓者兵を俺は1人しか知らん。」


「え!?そ、そいつは誰なんです?」



その瞬間!龍とオルセンは凄まじい殺気を感じ戦闘態勢を取る。


「やっぱりお前か。」

オルセンは戦闘態勢を解き、再び煙草を吸い出す。


「オルセンの兄貴!?アイツは誰なんですか!?」

龍は汗だくで視線の相手から目を離せない。


深夜の砂煙の中その男は居た。


ちょび髭にくたびれたスーツ姿の男が煙草を咥えてゆっくりと現れる。


「お久しぶりですね、獣王 オルセン。」


龍はガタガタと足が震え出す。


「はっ!なーんでお前がこんな所にいやがるんだよテスラ。」


テスラは煙をフーっと吹いた。





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