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ゆきと春香  作者: のこころ
53/63

66分の1




ぽん爺、ゆき、コーリーが春香を待つこと20分が過ぎた。




「どうしたの?春香ちゃんは?」


一軒家から空が出てきた。




「空さん!」


ゆきが、空の元に駆け寄った。




空は、ゆきの顔色に違和感を感じ、ぽん爺をギロっと睨む。


「ぽん爺、春香ちゃんは?」




「ドルテインの契約中じゃ。」


ぽん爺が答えると、空の顔色が一気に曇る。




「ジェイスの指示なの?」




「そうじゃ…」




空は、ゆきの心配そうな顔を優しく見つめた。


「ゆきちゃん大丈夫だよ、春香ちゃんはちゃんと戻ってくる!信じてあげて。」


そう言ってゆきの頭を優しく撫でた。




「うん…」




コーリーはその様子を見て、心から春香の帰還を願った。





◇◇◇◇





「あなたは、コイン66枚(レベル66)の試練まで辿り着きました…会話の解放をします。」


シニカは、静かに語った。




春香は、ふーっと息を吐いた。


「話せる!ありがとう、シニカさん!」




「…桐生 春香、ここまでの試練に辿り着いた者は初めてです。怖くないのですか?」




春香は、シニカの目を見て答えた。


「怖くないです。」




「契約なので、蘇生などの魔法は一切受け付けませんよ?分かっていますか?」




「はい!」




「…何故そこまで自分の命を軽視出来るのか…お聞きしてもいいですか?」




シニカの質問に、春香はちょっと考えてから答えた。


「私、ゆきとかコーリー君みたいに早起きも出来ないし、頭も悪くて…でも、みんな頑張ってるのに私だけみんなの足引っ張ったり、そんなの嫌で…餓者軍倒せなかったら、家族もチャンタとかピトーとかも、国の人とかもきっと死んじゃって、だから私が出来ることだったら何でも挑戦するの!だから怖くないです!」




春香の言葉を聞き、シニカは黙っていた。




「試練は必ず乗り越えてみせる!シニカさん、試練お願いします!」




「…人間の"覚悟"というものですね。とても興味深い…いいでしょう、覚悟というもので乗り越えれるなら乗り越えてみなさい、桐生 春香。」




シニカの周りにコインが、大量に円を描いて回りだした。そしてコインは回りながら春香の前に止まる。




そして、最初に出てきた大きな鎌が春香の首元近くにふわ〜っと移動する。




「ドルテイン試練66です、この66枚のコインの中から当たりを1枚選びなさい、桐生 春香。外れた瞬間この鎌であなたの首を落とします。」




春香は、大きく深呼吸をした。


(お父さん、お母さん、私を守って!!)




そして春香は、無造作に1枚のコインを掴んだ。


その瞬間!春香の目の前が闇に包まれた。




…うふふっ、桐生 春香あなたは、本当に面白い人間ですね…




シニカの声がうっすらと聞こえた。




(…何も見えない…私…死んじゃったのかな…ゆき、コーリー君ゴメンね…)




春香の意識は、薄れていった。




━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━


━━━━━━


━━




…るか!




「春香っ!!」


ぼんやりとした意識の中、春香は声を聞いた。


(ゆきの声?)




「春香っ!!お願い!起きて!!」




春香が目を開けると、目の前にゆきの泣き顔が見えた。




「ゆき?泣いてるの?」


春香の声を聞き、ゆきは春香を強く抱きしめる。




「春香ぁ!!もうっ!心配したんだからっ!!」




「お帰り春香ちゃん。」


空がニッコリと微笑んだ。




「良かったです!お帰りなさい春香さん!」


コーリーは涙目だった。




「みんな…私、生き…」




「!?」




その時、春香の口が意志とは別に勝手に閉じた。




「ふぇふぇふぇ、春香ちゃんドルテイン取得したようじゃのぅ…大したもんじゃ。口が勝手に閉じたじゃろ?ドルテインの契約内容は、誰にも話せんのじゃ。」




「そうなのね!じゃあ!言わない!」




「ふぇふぇふぇ、言おうと思っても言えんから大丈夫じゃよ。」




「春香ちゃん、ドルテイン取得おめでとう!ちょっとビックリしちゃったよ!本当に戻って来れて良かった…」


空も春香を抱きしめた。




「本当に良かったよお…」


ゆきは中々泣き止まない。




「ふぇふぇふぇ、明日からドルテインの使い方教えんとのぉ。」




「うん!ぽん爺さんお願いします!ゆきーもう泣かないで!」






突然、大きな黒い影が全員をすっぽり包み込む。


皆思わず見上げると、巨大なドラゴンが上空に気球のように浮かんでいた。




「あ!ドラゴンのガイルさんだ!」


春香が声を上げた。




「ジェイスさん、帰って来たんですね。」


コーリーが呟く。




グワアアーーーーーーーー!!!!


ドラゴンのガイルが雄叫びを上げると、ガイルの背中からジェイスが飛び降りた。




「うわあ!!落ちた!」


コーリーは思わず目を瞑った。




10メートル以上の高さから飛び降り、華麗に着地するジェイス。


ガイルは、飛び去っていった。




「ジェイスさん、お帰りなさい!」


「ふぇふぇふぇ、お帰り。」


「あわわ、お、お帰りなさいジェイスさん。」


「ジェイス様!お帰りなさい!」


「お帰り…」




「よお!ただいま!春香ドルテイン取ったか?ふはは!」




その瞬間、空の回し蹴りがジェイスの顔面に直撃する。




「ぐはぁ!!」


ジェイスは、吹き飛び岩にぶつかり悶絶する。




「うわあ!!」


コーリーが叫ぶ。




ゆき、春香、ぽん爺は呆然と見ていた。




「ジェイス!!春香ちゃんにドルテインなんて私は聞いてないよ!!」


ジェイスに怒りの声で叫ぶ空。




ムクっと起き上がるジェイス。


「いてて…まぁ、空に言ったら止められるからな…そこは許せ!ふはは!」




「開き直ったわね!こんな可愛い子に!悪魔と契約させて!!」


空の皮膚の色が赤くなっていく。




「まぁまぁ、落ち着くのじゃ空。」




「ぽん爺!!あんたもだよ!!止めれただろ!!」




「ひぃぃぃ!!」




「おい、空とりあえず落ち着いて…げぶっ!!」






ゆき、春香、コーリーの目の前で、ジェイスとぽん爺は、空にボコボコにされたのだった。




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