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ゆきと春香  作者: のこころ
26/63

絶望




「どうなっている?チャトラン討伐報告はまだなのか!いつまでかかっているのだ!」


兜王の上で、間久部が苛立っていた。




「はっ!それが、先程から前線の兵からの連絡が来なくなりまして…自分が見てきます!」


兜軍騎士が敬礼をして、走り出した。




「全く!」


間久部は酒を飲み、かなり顔が赤かった。




暫くして、さっきの騎士が慌てふためいて戻ってきた。


「ま、間久部元帥!全滅!我が兜軍がほぼ全滅しております!餓者軍の中将が…!あごあっ!!!!」




グシャァー!




騎士は縦半分に突然裂けた。




「!?」




間久部は一気に酔いが醒めた。




そこに現れたのは、返り血を大量に浴びた、くろねこだった。




「貴様!中将か!!」


間久部は杯を床に叩きつけた。




「だったらどーするの?ふふっ♡」


くろねこはペロッと唇を舐めた。




「我が兜軍は負けぬ!!」


間久部は、銃を出した。




「あー!魔銃(まじゅう)ってやつね!初めて見たわ。ねえ!撃ってみてよ!」


くろねこは身体を大きく広げた。




「馬鹿め!!」




突然くろねこの足元から赤い鎖が無数に飛び出した。




「!?」




くろねこは両手足を拘束される。




「なにこれ!?」


くろねこは鎖を外そうと動くが全く外せない。




「ははは!!兜軍には、大魔法使い ヒャクシキが居るのを知らんようだな!」




「やだ!この鎖!取れない!」


くろねこは必死に暴れた。




間久部の後ろに、老婆が現れる。


「間久部よ、早うトドメを!」




「あぁ!今仕留める。ヒャク婆しっかり抑えておいてくれよ!」




「赤の鎖は簡単には解けぬ。」


ヒャク婆は杖を握り直した。




間久部が呪文の詠唱を始めると、


持っていた銃が光り出す。




ブオン




「対魔の光、一点集中砲、くらうがいい!!」




ドギャーン!!!


銃から光の弾が撃ち出される。




くろねこは、ニヤッと笑った。




くろねこの足元から骸骨兵が大量に出現して壁を作った。




「何だと!?」




バチーーーン!!


大量の骸骨兵は間久部の砲撃を受け、花火のように砕け散った!




「ぐふっ…」


間久部が振り向くとヒャク婆の腹から長い剣が突き出ていた。




「ヒャク婆!!」


間久部が叫んだ!




ヒャク婆の後ろには、剣を持ったパルメが立っていた。




「あっはっは!鎖が消えちゃった!大魔法使いしゅーりょー!」




ドサッ


ヒャク婆は倒れた。




「さぁ!どーするの?降参しちゃう?」


くろねこは手を上げてググッと伸びをした。




「我が兜軍に降参など無い!!」


間久部は兜王に跨り、くろねこに突進した。




ドドドドドド!!!




「キモイ!何この虫!」


くろねこはゾワッとした。




「うおおおおおおおお!!!」


間久部は玉砕覚悟だった。




「くろねこ様!」


パルメが叫んだ!




「キモイから死ね!」


くろねこは突進する兜王に、口から黒い炎を勢いよく吹いた。




ボウッ!




兜王は炎に包まれ、間久部は炎の勢いで兜王から地面に転がり落ちた。


「うわああ!」




兜王は、苦しみながらメラメラと黒焦げになっていった。




「あぁ…兜王!!くそおおお!!」


間久部は地面を殴った。




うなだれた間久部の前にくろねこが立つ。




「はい!ゲームオーバーね!結構スッキリしたかもー!じゃあ、死んでね。」




くろねこは間久部の頭に手刀を下ろした。




「無念!!」


間久部は目を閉じた。




ガシッ




手刀は誰かに掴まれた。




「はぁ?誰だよお前?」


くろねこは手を振りほどく。




「てめぇ…結構やらかしてくれたじゃねえか…」


そこには神崎 龍が立っていた。




「人間ごときが私に触れてんじゃねえ!!」


くろねこは手刀を繰り出した。




スバッ! ズバッ!


龍の学生服はズタズタになって血が吹き出す。




ガシッ!




龍は手刀を喰らいながら、またくろねこの手を掴んだ。




「何だ!コイツ!!」




「お前?将官か?」


龍はくろねこの手を引いて、腹に膝蹴りを放つ。




ズドッ!




「ぐはっ!!」




さらに龍はくろねこの髪の毛を掴み、強力な頭突きをぶちかました。




ドカン!!




「ギャッ!!」




吹き飛ぶくろねこ。




ザクッ!


龍の背中に剣が刺さる。




「何!?」


パルメは驚愕した。剣が龍の身体を貫通しないのだ。




「もう1人居たか…痛えじゃねえか!!」


龍はパルメに拳を繰り出した。




ドカッ!!




パルメの右肩が吹き飛んだ。


「ぐっ!」




「お前ら2人将官か?答えろコノヤロウ!!」


龍が大声で叫んだ。




「パルメ、アイツは誰だよ。」




「はっ!…ムーンブルク軍の兵では、あのような者はいないはず…ですが…ハァハァ…」


パルメはちぎれ落ちそうな右腕を左手で支えて苦しそうだった。




「パルメ、お前は下がっていろ!私が()る。」




「はっ!しかし…」


パルメは、くろねこが本気になっているのを感じた。




「それでは、下がります!」


パルメは、敬礼をして龍から離れた。




「ほう、部下思いなんだな。タイマン上等!!」


龍は、学生服とシャツを破り捨てた。


サラシを巻いた龍の背中には、昇り龍の彫り物があった。




「餓者軍中将くろねこ様を舐めるなよっ!!!」


くろねこは髪の毛が逆立ち、全身から禍々(まがまが)しい黒いオーラを発した。




間久部は二人の闘気に腰が抜けて動けなかった。


「どっちも化け物だ…。」




ドカッ!


龍が地面を蹴り、爆発的な勢いでくろねこに殴りかかる。




くろねこは黒い炎を吐いた!


ボウッ!




炎は龍を直撃した。




「あっはっは!単純な人間だ!冥界の炎で灰にな…!?」




バキッ!!




「ぎゃあ!!!」




龍は炎を突き破り、くろねこの顔面を殴りつけた。


吹き飛ぶくろねこ。




「硬えな!中将クラスは!」


龍の拳から血が滲む。




起き上がったくろねこは、自分の顔を触った。




「わ、私の顔が!私の顔が!!!てめえええええ!!!殺す!!!!」


くろねこの顔は鼻を中心にベッコリと陥没していた。




「かかってこいやあ!!」


龍は右手で自分の首を掻っ切るジェスチャーをした。




くろねこは全身に黒炎を纏い、龍に突進!凄まじい手刀を繰り出した。




ギャオン!ギャオン!ギャオン!




龍の上半身の肉が引き裂かれる。


「うおおおおおおおお!!!」




龍がくろねこに回し蹴りを繰り出す!


が!くろねこは紙一重で避け、カウンターで回し蹴りを放つ!




ドカッ!!




「ぐわあ!!!!」


龍は脇腹に蹴りをくらい、吹き飛ぶ。




くろねこは呪文を詠唱した。


滅殺黒炎柱(アバンギャルド)!!」




倒れている龍の真下から激しい火柱が天に突き抜けた。




ゴオオオオオオオオオオオオ!!!




周りの地面が10メートル程衝撃で吹き飛んだ。




間久部も衝撃で飛ばされる。


「うわあああ!!」




くろねこは息を整えた。


「フー!フー!」




離れた場所に飛ばされた間久部が見たのは、隕石でも落ちたような衝撃の跡。その中心に龍がうつ伏せで倒れていた。




「あぁ…こんな化け物にどうやって勝てと言うのだ…」


間久部は自分の無力さを悔やんだ。



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