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第7話 ゴーレム娘のステータスチェック

「よーしよし。落ち着いた?」


「「うん」」


私とナツナツをまとめて抱きしめ、あやしてくれていたセレスに、ふたりで揃って頷いた。


「昨日 蘇生してから、なんか泣いてばっかりだ……」


「いいんじゃないか? 子供は泣いて育つって言うしな」


「それ、対象年齢が低すぎやしませんかね?」


乳幼児辺りと混ざってるんじゃなかろうか。


「で、そろそろステータスを見たいんだが」


「ほら、こっちおいで~」


「あ、大丈夫ですよ」


「「?」」


訓練室の端に置かれた分析用魔道具に、手招きするセレスを呼び止める。

疑問符を浮かべる二人は一先ず置いておいて、ナツナツに合図を送った。


「ナツナツ、お願い」


「うーい」


いつもの調子を取り戻したナツナツが、私のステータスを投影する。



名前:ルーシアナ・ゼロスケイプ (ルーシア・ケイプ)

性別:女

年齢:15歳

種族:フレッシュゴーレム (人間)

レベル:5

HP:760

MP:2,980 (800)

力:58

体力:99

魔力:391 (250)

敏捷:103

運:Best

特殊スキル

・刀剣マスタリー Lv.1

・格闘マスタリー Lv.1

・射撃マスタリー Lv.1

・火魔法マスタリー Lv.1

・水魔法マスタリー Lv.1

・風魔法マスタリー Lv.1

・土魔法マスタリー Lv.1

・生命魔法マスタリー Lv.1

・精神魔法マスタリー Lv.1

・時空魔法マスタリー Lv.2

・光魔法マスタリー Lv.2

・闇魔法マスタリー Lv.2

・錬金マスタリー Lv.2

・ゴーレムの心得

取得スキル

・異空間干渉

・スキャン

・ディスガイス

・どこでも錬金

・感覚調整



「あ、()内は《ディスガイス》で調整した値ね~」


ナツナツが投影した透明なプレートを、驚いた様子で受け取るギルド長たち。


「お、驚いたな。分析した結果などを特定の表示用魔道具に表示させるのは一般的だが、このような投影方法は初めて見た」


「ふふ~ん♪ ナビゲーターの基本機能で~す」


ギルド長の驚いた表情に、得意げに胸を張った。

そういえば、私はスルーしてたけど、これは一般的じゃないんだよね。

まぁ、絶対に不可能という技能でもないはずなので、中を見るように促す。


……………………驚きの表情が、さらに更新された。


「圧巻の特殊スキルだな」


「ステータスは魔道士寄りね。こっちも既に新人レベルを超えてるわ」


それは多分、元々の私のステータスを真似てるんだと思う。多少 レベルは上がってたし。


「スキルの効果は分かるか?」


「これ~」



特殊スキル

・○○マスタリー:○○に関連する動作をすることで、祖父の遺した魔法等をスキルとして取得出来る。さらに○○に関連するあらゆる動作を補助し、自身のレベルアップ時に特大の成長補正を受ける。

※成長補正計:HP+60、MP+240、力+8、体力+10、魔力+20、敏捷+8


・ゴーレムの心得:ゴーレム種族の種族特性。単純作業、反復作業等を無意識に行え、疲労を軽減する。また戦闘時に限り、HP、力、体力のステータスを跳ね上げるが、戦闘終了後一時的に同ステータスが激減する。スキル『感覚調整』を取得。


取得スキル

・異空間干渉:ルーシアナの所有する異空間にアクセスする。


・スキャン:対象のステータス等の情報を収集する。


・ディスガイス:情報収集系魔法で収集される情報を偽装する。


・どこでも錬金:異空間[錬金室]にアクセスし、作業行程を代行する。


・感覚調整:五感や痛覚、知覚速度などを増減する。



「「なんっっっっだこりゃ!!!!」」


一目見て大声を上げた。


「え? ダメですか?」


「ダメじゃねぇよ。なんだ、この反則みたいな効果は」


「今のレベル帯なら通常、レベルアップに付きHPMPは大体4~5。それ以外は0~2上昇。それを考えると、1アップで何回分上昇するの……?」


個々のステータスに依りますね。面倒なのでわざわざ計算しませんが。


「『戦闘時に限り、HP、力、体力のステータスを跳ね上げる』か。どのくらい上がるか試したか?」


「10倍でした。終わったら1/10でしたけど。

効果時間は『戦闘中』と私が思ってる間で、減少時間も同じ時間掛かります。

ただ、減少時間はナツナツの妖精魔法で短縮可能でした」


家を出た直後に、魔獣に襲われたので試したのだ。1/10になったときは、大急ぎで家に飛び込んだけど。


「妖精魔法?」


「見る~?」


と言って、ナツナツのステータスを投影する。



名前:ナツナツ

性別:女

年齢:0歳

種族:妖精

レベル:5

HP:215

MP:6,232

力:6

体力:20

魔力:1516

敏捷:116

運:Nomal

特殊スキル

・ナビゲート

・冷静

・好奇心

・ハイテンション

・魔力探知 Lv.2

・精霊の加護

・妖精の心得

取得スキル

・魔眼

・妖精魔法


特殊スキル

・ナビゲート:ルーシアナのOS、基幹システムにアクセス出来る。


・冷静:どんな心理状態であっても落ち着いて判断できる。


・好奇心:興味の引かれた対象に関わるとテンションが上がっていく。


・ハイテンション:テンションが上がりやすくなり、下がりにくくなる。


・魔力探知:魔力に関連する索敵系、情報収集系スキルを取得する。


・精霊の加護:精霊に無条件に好かれるが、嫌われた場合 関係を修復しにくくなる。


・妖精の心得:妖精種族の種族特性。テンションに応じてステータスが増減する。楽しいことが大好きで、テンションが上がると手がつけられなくなる。定期的にお祭り騒ぎを起こす。スキル『妖精魔法』を取得。


取得スキル

・魔眼:魔力の流れを視覚的に把握する。


・妖精魔法:イメージに基づく結果を、過程を飛ばして具現化する。テンションにより効果、魔力消費が増減する。



「……………………唯一《冷静》にじいさんの自制心が垣間見えるな」


「テンションに従って色々仕込んだはいいけど、『こいつにナビゲートさせるのか……?』って途中で気が付いて、ムリヤリ捩じ込んだ気がするわね」


「……………………面目無いです……」


両手で顔を覆って謝るナツナツ。貴女は悪くないのよ~?


「妖精魔法……使い勝手がいいのか悪いのか……」


「『イメージを具現化する魔法』。要するに、これだけなのよね。イメージによって千差万別するみたいだけど」


「しかも、テンションによって効果が左右される……戦況が有利な内は効果が高いが、不利になると効果が下がる可能性が高いな」


「ステータスもね……最初から最後までテンション頼りの種族なのね……」


不思議な種族だ……


ギルド長たちは、一通り内容を確認するとこちらに顔を向ける。


「大体分かった。ルーシアナはとりあえず、レベルを上げろ。そうすれは、マスタリー系も上がるだろ」


「ナツナツちゃんも一緒にレベル上げね。ただ貴女の場合、妖精魔法がキモだから、これの使い方を色々と試してみてね。

特に重要なのは、テンションを上げる方法と維持する方法」


「分かりました」


「あーい」


ビシッと敬礼モドキをして返答した。

そして、セレスは顎に指を当てて首を傾げ、やることを指折り数える。


「後はギルドカードの発行に、ナツナツちゃん用の隠蔽魔道具、非常時連絡用魔道具の用意、かしら?」


「宿は取ったか?」


「あ、まだです」


ギルドの先の宿屋に寄ろうとしてたからね。


「なら、ウチに泊まれ。家賃は食事付きで一月50,000な。家事は分担」


「あ、はい」


「ありがと~♪」


「……………………」


「そこは『金取るんかい!!』じゃないの?」


そんなこと言われても……あ~でもギルド長がちょっと寂しそうにしてるし……


「宿は一泊5,000テトくらいが妥当と聞いていましたので、一月50,000テトなら『安いなぁ』と……………………はっ!!!! そういえば『安すぎる宿は注意しろ』と門番さんに…………!!!!

何をさせる気ですか!!!?」


「「家事」」


「せっかくボケたのに!?」


なんて酷いボケ殺しだ……

ふたりは『してやったり』と言いそうな表情をしている。


ちきせう。


「じゃあ、ギルドカード作ってくるけど、ロールはどうする?」


「どうすると言われても……ロールってなんです?」


ロール……回転? あぁ……昔作ったバームクーヘンは美味しかったな……


『食べた~い!!』


『二人に要相談だね。売ってるなら簡単だけど』


『ルーシアナが作ったやつがいい~』


『可愛い奴め!!』


「……………………なんか関係ないこと考えてない?」


「関係無くないです。ロール系です」


ロールケーキ系だけど。


「…………まぁ、いいけど。ロールっていうのは、冒険者がパーティを組む際の役割分担のことよ。得意な役割を申請しておくと、パーティが組みやすくなるわ」


「前衛なら、剣士、格闘士、槍士、重士、楯士。後衛なら、各種魔道士、弓士、特殊」


「重士は、斧や槌などの重量系武器全般ね。特殊は、収納や採集等に特化した非戦闘系」


「はぁ……」


武器は基本、重量系以外なら何でも使える。

ただ、主な使い方は牽制や防御で、攻撃は魔法で行う。そして、収納はすごい。


「重士、楯士、採集以外は、大体出来そうですね。ただ、武器は大体使えますが、『牽制や防御として』です。攻撃は魔法で行います。

でも、物理系のマスタリーのレベルが上がったら、どうなるか分かりませんね。

あと…………収納は結構、かなり、とても、入ります」


「なんだそりゃ」


「具体的には?」


「家が入ります」


「「…………………………………………」」


「時間も止まります」


「「…………………………………………」」


驚きますよね。私も驚きました。

思い出の詰まった家とお別れかと思ったら、『持っていかないの~?』とか言われて、入るんだもん。手こずったけど。


ちなみに……


「まだまだ余裕です」


「…………バレないようにね」


「後で平均的な容量を教える。あと、時間が止まることも言うなよ」


頭を抱えてられてしまった。

復帰するまでしばらく待つ。


「とりあえずロールは、あんまりパーティに誘われないように『オール』にしておくわね」


「そうだな」


「なら、聞かなくてもよかったじゃん……」


「ボロが出そうだなと思ったのよ? (ニッゴリ)」


「ひぃ!!!! ごめんなさい!?」


深みのある笑顔で叱られた。


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