第49話 ゴーレム娘 VS. 真の敵①
33 ~ 57話を連投中。
3/21(木) 9:00 ~ 19:00くらいまで。(前回実績:10話を4時間で投稿)
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申し訳ありません。
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「どのくらい待てばいいの?」
「すぐ終わるよ~、多分」
『魔力を一箇所に固めている力は、夢魔の魂に依るものだ。システム内だから拡散しにくいが、それでも数分で終わる』
「そっか」
すぐに終わると聞いて、なんとなくこの空間内をうろうろしてみることにする。
『ここも夢魔の拡散と同時に消えるだろう』とのことだったから、今の内に確認しなきゃね。何もないけど。
足元を見ると、現実世界の施設と同様 繋ぎ目の全くない真っ平らな床で出来ており、確かな感触を返してくる。
天井を見上げると、どこまでも果てしなく続いているような、開放感を感じさせる暗闇が広がっていた。星明かりの全くない夜空といえば良いだろうか。それでいて周囲は明るいのだから不思議な空間だ。
壁の方へ近寄ると、壁は何故かよく見る灰色の石が積まれて出来ていて、見た目はでこぼこと凹凸が激しい。だが手で触れると、のっぺりとした肌触りしか返ってこず、見た目とのギャップに戸惑ってしまった。見た目と実際が異なるようだ。
そのまま壁沿いをぐるりと一周するが、何も変化は見つからなかった。
…………………………………………あれ?
のんびりと歩いたため、結構時間が経ったはず。
周囲を見渡してみるが、この空間は未だにしっかりと形を残している。
「ナビ?」
『……………………おかしい。何故拡散しない?』
「この空間から魔力が外に出ていってないよ?壁があるみたいに。…………いや、あるんだけど、あの壁は魔力の拡散を防ぐことは出来ないはず」
ナツナツさんに私の疑問が出る前に潰された……
「……………………一度戻ってみる?」
『そうだな……外から精神魔法で軽く攻撃してみよう』
「…………………………………………待って」
私の一次退却宣言にナビが賛同したが、ナツナツからは静止されてしまう。
ナツナツは肩を蹴って高く飛び上がると、高所からぐるりと一周を確認し、最後にこちらを見た。
「ん?…………ルーシアナ、ちょっといい?」
「なぁに?」
何かを見つけて緊張するナツナツに、緩く声を返す。
「腰の…………バックルが光ってる」
「『え?』」
ナビと共に疑問の声を上げると、バックル型魔石スロットを手に取る。
確かにそこに納められたひとつの魔石が、煌々とした光を放っていた。
「『ベーシック・ドラゴン』の魔石…………?」
『なぜ?』
よく見るために魔石をスロットから外す。と、
「「『は?』」」
外した魔石は、『すいー……』と静かに浮かび上がると、『ヒュン!!』と鋭い風切音を鳴らして部屋の中央に飛んでいった。
「なにあれ?」
『ルーシアナ!!気を付けろ!!』
「魔力が魔石集まってる……!?」
ポカンとしていたら、二人から鋭い警告が飛んだ。どうやらアレが原因だったらしい。
周囲を警戒しつつ魔石の方を睨んでいると、目に見えるほど高密度に集まった魔力が、巨大な影を形作っていく…………
「《アストラル・ブロウ》!!」
小手調べの意味を込めた精神魔法だが、魔力をすり抜けて反対側の壁に飛んでいった。
「精神魔法じゃダメだよ!!」
『ルーシアナ。一時ここは現実世界と考えろ。この部屋の特性を取り込んで、物質化している』
「ここってシステム内だから、形があるように見えても本質は精神体なんじゃなかったっけ!?」
『精神体でありながら、それぞれに現実世界準拠の属性が割り振られているんだ。魔法も然り。分からなければ、現実世界と思えばいい』
「分からないことが分かりましたぁ!!」
でも現実世界と同じと考えるなら、あの中央に集まる魔力は精神生命体ではなく、通常の生物に近いってことだよね!!精神魔法効かなかったし!!
つまり、物理攻撃や地水火風の四大魔法の方が効く。
「それでもここは精神世界でもあるから、こういうのは用意できるよ」
と言ってナツナツが取り出したのは、ナノ微粒子となって消えたスティールブレイドだった。
「記憶にあるものなら、いくらでも手に入るよ」
「チコリちゃんとこで他の武器も見てくれば良かった!!」
『ドンマイ』
そうこうしている内に、ついに魔力が色を持ち始め、鱗に覆われた体を形作っていく……!!!!
そして、
「ぐるるるる……」
意外にも静かにその身の顕現を終えた。
深緑色の体躯、凶悪な爪に牙、冷静に状況を確認する瞳。
先日、必死になって倒したベーシック・ドラゴン、そのものである。
もちろんケガなど一切していない。
「…………………………………………」
「ぐるるるるる……………………」
なんとなく、なんでコイツがここに現れたのか、分かった気がした。
通じる確信を持って語り掛ける。
「再戦ってこと?最初のケガが無ければもっとやれたって?」
「ぐるぅ……」
頷いたわ。はは……
「勝ってもアンタにメリットは無いよ、多分。それでもいいの?」
「ぐる……か……け…………か、まわん」
喋ったよ。
「わ、れの、くい。どらごんの、ほこり。…………ぜんりょくで、こい」
「…………はっ」
鼻で笑ってやる。
「私の方が弱いのよ。全力で、卑怯な手も使うわよ」
「まちがえた、な。ぜんりょく、で、いく。…………こたえてくれ」
「上~等~……!!」
ベーシック・ドラゴンのセリフに、なかなかに凶悪な笑みが浮かぶのが分かる。
闘いに生き 闘いに死ぬ、ドラゴン種族の、稀有な《龍王の系譜》。
このスキルは、試練で巡り逢わされた持ち主と戦闘相手に強力な成長促進効果を与える。ドラゴンが勝てばその者が龍王へ近付き、相手が勝てば次の龍王候補の試練となる。正しく『龍王へ至る運命』だ。
しかし条件がひとつ。双方が全力を尽くすこと。
先日、私がコイツを倒してレベルアップを果たしたが、私の特殊スキルによる成長補正分しかステータスに加算されたように見えなかった。つまり《龍王の系譜》は発動していなかった。
私が全力で無かったことは断じて無い。ならばコイツが全力を振るえなかったのだろう。
それが悔いとなった。ドラゴン種族にとっての誇り、神聖な試練で手を抜いてしまった自分が許せず、こうして姿を現した。
それはもちろん自分の為、ドラゴン種族の為でもあったが…………
「かて…………!!!!つよく、なれ!!!!」
全力を尽くした私に、その感謝のために、ここにいる!!!!
ここで応えなきゃ女が廃るでしょう!!!!
「…………………………………………ゴーレムって戦闘種族だったっけ?」
『いやこれ、ルーシアナの本質だろう』
二人の会話を置いて、ベーシック・ドラゴンとの戦闘を開始した。
ルーシアナがドラゴンの真意を分かっているのは、《龍王の系譜》が媒体となって意志が通じ合っているためです。
思い込みではありません。念のため。
使用は出来ませんが現在の《龍王の系譜》の持ち主はルーシアナで、元の持ち主のドラゴンがそれを間借りしているような状態なのです。
通常はここまでの共鳴効果は起きません。『全力で闘えば強力な成長促進効果が得られる』というのがなんとなく分かるくらいです。




