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進め!!我ら食いしん坊行進曲!!  作者: ゴハンスキー・パンモスキー
前菜
13/13

始まりの街ソフ‐5

難産でした…遅くなってすみません。

「ふざけるにゃーーーーー!!」

「悪ふざけは大概にしやがれ!!!」


そう言ったんはねぇちゃんやなく、いつの間にか教会に登り、『アポロン』の見えん位置にいたらしいプレイヤー達やった。

…あれは!!


「コマの姉ちゃんに牛の兄ちゃん!?」


映された塔。そこにおったんは、コマの姉ちゃんに牛の兄ちゃんやった。


「さっきっから聞いてたにゃけど、なんなのナ!!“人”に興味がある?“人”をもっと知りたい?

別にそう思うのはいいのにゃ。向上心が在るのはいいことなのナ。けど、だからって集団監禁(こんな)事をやっていい理由にはならないのナ!!」

「全くだ。こんな事して…お前はガキか?

迷惑ってのは、かけても大丈夫なのとワルいのがある。今回は完璧に後者の方だ。うちのやこの間のシスブラコンのガキ共みたいに自分達だけで解決・完結できる問題は兎も角、お前さんの自分本意の欲求に俺達を巻き込むんじゃねぇよ。」


フシャーと猫のように毛を逆立て怒る姉ちゃんに、怒りのオーラを背中に背負いながらも淡々と語る兄ちゃん。

姉ちゃんはいかにも!ってな感じの怒り方やけど、尻尾まで逆立ててるんでどれくらい怒っとるのかが分かる。メッチャ腹立てとるわ。

兄ちゃんは姉ちゃんに比べると静な感じなんやけど、眼がヤバイ。冷たい目っていうか、冷た過ぎて凍傷になりそうな氷の眼って言えばええんやろか?冷た過ぎて冷た過ぎて…逆に熱が篭っとる。冷たいけど熱い、そんな眼やわ…。


…ところで兄ちゃん?“この間のシスブラコンのガキ共”って誰の事?もしかしてワイら?ワイらの事言うとるん?


「イイぞー!その通りだー!」「おコマさーん!もっと言ってやれー!!」「俺達を帰せー!!」


外野から野次(やじ)が飛ぶ。

ブー!ブー!といった野次はドンドン大きくなって、1つの声みたいや。


『アポロン』はソレをただ聞く。

罵声、雑言、汚い言葉が投げられるが、奴はソレをただただ聞いとるだけ。なんのリアクションも起こさない。

なんや?あいつなに思…!?


そして…不意に気づいた。


「なぁ、ねぇちゃん。」

「どうした。」

「ねぇちゃん、なんであいつ…







              笑っとるの?」


目は何処か虚ろで、口には何故か三日月のような細い笑み。何処を見とるのか分からんその瞳は、欲しいオモチャをもらった子供のようにキラキラしとった。

気づいた途端、背中に氷水入れられたみたいな寒気が走る。なんや?なんであいつ笑っとるん?訳のわからん奴の表情。


笑み(ソレ)が、恐ろしかった。


やがて、ワイの呟きが漏れたのか、それとも他に気づいた人がおったんか、周りも奴の笑みに気づき始め、徐々に声が小さなっていき、ついに静寂が訪れる。


『なんだ、もう終わりですか?』


はぁ。と、小さい溜め息を1つ漏らし、奴が口を開く。


『まったく…せっかく“罵倒される”という貴重な体験のチャンスでしたのに…。はぁ。誰です?僕の表情に気づいたの?誰かさんのせいでせっかくの貴重な体験が終わってしまったではありませんか。』


やれやれ、とでもいうのか。

奴は軽く手を振る。その顔は楽しく観ていたテレビ番組が緊急ニュースで中断されたような、“楽しみを阻害された顔”やった。

…あいつ、まさか罵詈雑言(アレ)を体験として楽しんでたんか!?


『まったく…しょうがないですね…







      誰だ?俺達の楽しみの邪魔をしたのは?』

「ヒッ!?」


顔を上げ、こちらを睨む真っ赤な眼。

それは真っ赤で熱そうな色なのに、どこまでも冷たいイロを孕んだ瞳。

声は温度を無くしたかのように、熱が存在しないような、こっちの熱を奪っていくかのような、底のない低い声。









まるで…あの人等のような…そんな表情やった。


―――――イッショニイッテシマエバヨカッタノニ。


一瞬、耳の何処かで、底のような声が聴こえる。


ちゃう、ちゃうちゃうちがう!!

“あれ”は“アイツ等” やない!!“あいつ”は“アレラ等”や無い!!“アレ”はいない!!ここに“アレ達”はいない!!“アレ”はもう“ワイ”の前にはおらへんし“ワイ”がもう“アイツ等”にいることは無い!!“アレ”は、“アイツ等”は、“ワイ”は








――――――“  ”ハ、「言ったのは私だ!!」


!?

いつの間にか座りこんどったのか、頭を抱え踞るワイの上から一人の女の声が聞こえた。


「ねぇ……ちゃん?」


声の主は、ディスプレイからこちらを睨む『アポロン』からワイを隠すように立つねぇちゃんやった。


『ほぅ…貴女は確か、先程訓練所で話題になった“棒使いの女性”ですね?』

「ふん。断定しているのに疑問文を使うとは…貴様、日本語が正しく使えてないんじゃないか?案外高性能というのは間違いなんじゃないか?国語力が疑われるぞ?」


せせら嘲笑(わら)う『アポロン』。

けど、ねぇちゃんのが上手やった。ねぇちゃんは【潜入者の耳飾り】を引きちぎるようにとったと思えば、こっちの尻の産毛が逆立つようなそれはそれは恐ろしいような艶やかなような嘲笑い声で奴を皮肉った。

……ねぇちゃんの背にいるけど分かる。ねぇちゃん、今、人を喰ったようなものっそい邪悪な嘲笑い方しとるんやろなぁ。背中からなんや黒赤いゴウゴウとしたオーラが幻視(みえ)るモン。

周りから「ヒッ!?」って息を呑む声が聞こえたモン。ねぇちゃんの正体やなくて、今の表情見て戦慄した声上がったモン。


『ほう…言いますね。』

「ん?事実であろう?」


ピキッ!って音が聴こえそうな程穏やかに笑った顔を作る『アポロン』。一見矛盾した表現やろうけど、ねぇちゃん越しに見える奴の表情(かお)は、まさにその表現が一等ピッタリや。

ソレを「なに事実を言われて怒っているのだ?」と顔に書いたねぇちゃんがおかしそうに首を傾げ、嘲笑う。

………や、ヤバイ。ここだけメッチャ寒い。奴とねぇちゃんの視線がバチバチいうて極寒造り出しとる!!ワイ、ねぇちゃんの背で見えんけど解る。ワイの前で、2人が龍と虎が尻尾撒いて逃げ出すような極悪オーラで嘲笑い合ってる姿が視える!!


「だいたい、さっきっから聞いていればなんなのだ貴様は?“人”を知りたいだのなんだのと…それと監禁(コレ)とは別物だろう?そんな事も理解できんのか?“人”を知りたいのであれば、それこそβの時の様に観察していればよかったのではないか?ん?違うのか?違うのであれば理由と根拠と監禁(コレ)によって生まれる希望観測データをグラフにし、資料にしてメリットデメリットの演説とβ版から取れた実験データを纏めて発表して貰いたい。なんせ、私はまだ“ガキ”なのでな?まだまだただの“子供”なのでな?“お偉い博士”に作られた、“最高”と認められた高性能AI“様”が、“そんな”子供っぽい理由で、“こんな下らない”事をする筈は無いのであろう?なんせ、仮想世界(ここ)に私達を監禁すると言うことは、私達から“時間”を奪うということ。“時間”というのは、金なんぞでは買えないかけがえのない貴重品というのは知っているか?知っているだろ?なんせ“常識”なのだからな。当然貴様の知能にインプットされているであろう?違うか?違うのであったら今ここで覚えるがいい。“時間”は“有限”なのだとな!!ここにいる全員は、“今”は仮想世界(ここ)に居られる時間の在る者達だ。だが、少し時間が経てば“居られない”人達でもある。それは学校だったり会社だったり何かの用事だったり…。その者達の時間を貴様は“奪い取る”のだ。幾ら仮想世界(ここ)が現実の世界の数倍のスピードで時間が進んでいようとも、時間は時間だ。進めば進むだけ取り返す事が出来ない。予定に間に合わなければ、その分不利益が発生する。当然ながら、それだけの価値をえぇ?そうであろう?だから“子供”な私達にも、ここにいる大勢の“大人”達にも、納得出来るような“説明”をして貰いたい。当然、出来るであろうなぁ…“高性能AI様”?」


ねぇちゃんが捲し立てる捲し立てる。…見えんでも解る。周りが、周りがねぇちゃんを見てメッチャ引いとるのが判る。ねぇちゃんの閻魔様が裸足で逃げ出す悪鬼羅刹スマイル(幼馴染み命名)見て、ドン引きしとるのが判る!!


ねぇちゃんの後ろでガクブルしながらも、二人のイヤミ合戦(大変マイルドな表現)は火花を散らして続いた。大変汚い言葉におぞましい表現を卵でふんわり包んでソッと相手に渡す世にも恐ろしい言い合いは永遠に続くんやないかと思う程やった…。


けど、この世に“永遠”なんて無い。

それを正銘するかのように、やがて言い合いは沈静していき…沈黙が訪れる。


そして…くっくっと奴が笑い始めた。

シリアスな雰囲気を出した主人公。彼の過去にいったい何が…


そしてそれを吹き飛ばすねぇちゃんスマイル。彼女は弟の変化に敏感です。弟の為なら『神』に喧嘩は売るし『閻魔様』にだって立ち向かい、悪鬼羅刹にだってなってみせます。


偶々偶然『アポロン』の近くにいてねぇちゃんのエガオを直撃で見てしまったKさん「だからって、やり過ぎにゃないのかナ?(ガクガクブルブル)」

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