捨てられたバイク
3年前──
ディルは前の持ち主に捨てられ、気がつけばゴミ処理場の山のような粗大ゴミ置場にいた。
いつスクラップにされるか分からない恐怖と、自分が捨てられたという事実……。
誰かが助けてくれるという希望も無く、ただ絶望だけが先にある日々。
そうして、全てを諦めていたディムだったが、ある日、思いもかけない事が起こった。
雪が溶けてすっかり春になった頃、孤児院の見学会があった。
その見学会が終わるときに、案内をしていたゴミ処理場の所長が
「まだ使える物が沢山捨てられていてね……よかったら、気に入った物を持って行っていいよ。」
と言ったらしく、孤児院の子達が、何か使えそうな物は無いかと探しに来た。
「君……寂しいの?」
不意に声をかけられて、まさかと思いながら前を見ると、そこに一人の少年が立っていた。
少し茶髪の混じった黒髪と淡い緑の目が印象に残った。
だがよく見ると、その少年の左目には何も映っていない。
左目……見えていないんだ。
そんなこと思っていると、少年がまた話し掛けて来た。
「僕と一緒に行かない?」
嬉しかった。
もし、自分が人間だったら泣いていただろう。
諦めていた奇跡が起こった事に感謝した。
その返事に、迷うことは無かった。
「行(生)きたい……」
そして、当時14歳だった直人にこの命を救われた。
直人は孤児院に帰った後、専門書を片手にディムを修理し、町のいろんな所を走り回って遊んだ。
一年経つ頃には、お互いをの事を『相棒』と思えるほどの仲になっていた。
それからも、一緒に町の風景を写しにあちこちに出掛けたり、たまに町を出て海や山まで写真を撮りに行った事もあった。
そして、それは今も──




