分断
愛漸の口元には笑みが浮かんだ。
「馬鹿じゃないのかしら」
「愛漸さん。御嶽では中立なんじゃないの?」
蓮矢が苛立ちを込めて言う。
「だって、貴方達の味方したら御嶽終わっちゃうじゃない」
「、、、」
蓮矢は黙り込んだ。
「愛は御嶽の味方なの。御嶽の敵となりうるなら、容赦しないわよ」
「わかった」
「ごめんね。愛にも愛の事情があるの」
少しだけ申し訳なさそうにする。
「翡呂、翠調子はどう?」
愛漸が話しかけた。
「もうだいぶええよ」
「同じくです」
翡呂も翠も顔色はすっかり良くなった。
翡呂はもう、管を抜いてもらっていた。
翠も、完全復活して今は一応安静にしている。
「そう。それは良かったわ」
愛漸は嬉しそうにする。
「愛漸さん。ここは敵しかいないんじゃないの?」
誠が割り込んできた。
「そうねぇ。愛は、戦線に出るつもりはないわ。誌穂と一緒に姉様の守護をするわ」
「そうか。じゃあ、お互い不干渉で行こう」
「承知よ♡」
「あっそうだ」
愛漸は翡呂と翠の方を見た。
「翡呂、翠、貴方達今日は家に来なさい」
「え?なんで?」
「誌乃が、会いたがってるわ」
愛漸は目を細めて言う。
「そっかぁ、ほないくかぁ」
「おい?大丈夫なのか?」
誠が翡呂を止めた。
「約束してんねん」
ーまだ、もう一人の家族を連れてかんとなぁ
「翠は来るか?」
「まぁ、誌穂さんに聞きたいことありますしね」
翠は頷いた。
「誠様安心してください。いざとなれば私が守ります」
「なら、大丈夫か」
誠は安心したように言った。
「俺、そんなに弱そうなんか、、?」
翡呂はぽかんと口を開けた。
「準備できたら玄関に着て頂戴♡」
それだけ言って外に出ようとする。
出る瞬間にボソッと。
「まぁ、これが最後になると思うけどね、、」
誰にも聞こえない声でボソッと呟いた。
「愛漸さん敵かぁ、、、ちょっとめんどいなぁ」
蓮矢はそう言った。
「お父様の直属の部下全員向こうの味方だろうな」
誠はそう言った。
「お父さんも、、?」
阿響斗は少し不安そうな顔をした。
「どうだろうな」
それしか、誠には言えなかった。
* * * * *
ー狼雅直属の部下の会議ー
「じゃあ、お前らは俺の下につくで本当にいいのか?」
「私は構わないわ」
知佳が言う。
「、、、」
廻は頷いた。
「愛はもちろん。狼ちゃんの味方よ♡」
愛漸が言う。
「拙者は、、」
霧が阿響斗を思い出し少しだけためらった。
「どうするんだ?」
狼雅が言い放った。
知佳がこちらを見ている。
(恩義に報いなくては、)
「もちろんお主の味方だな!」
後悔なんてあるものだろうか。
「といっても、一気に攻め込むのは分が悪いわね」
知佳が深刻そうに言う。
「それはそうなのだな」
「愛は、誠ちゃん一旦止めてほしいところだけど」
愛漸は狼雅を見る。
「いや、あいつらを束ねるのに必要不可欠な奴を潰すか」
廻は狼雅を見た。
* * * * *
「おっす!」
翡呂は元気に言った。
「準備できました」
「あら?翠が私服なんて珍しい」
スーツで行こうとしたら翡呂に止められた。
「俺がコーディネートしたんや」
「あぁ、だから絶妙なセンスなのね♡」
猫耳の半そでパーカーを渡され嫌そうながら翠は来ていた。
「ひどない?双子コーデやん!」
「翡呂。貴方は犬ではないわ」
「うわぁ、それゆっちゃうの?」
そう言いながらも3人で歩き出した。
「久しぶりやなぁ。こういうの」
「まぁ、そうねぇ。二人がいたずら小僧だった時以来かしら」
「うっわ。懐かしいなぁ」
「あれは楽しかったですよね」
翠は笑みを浮かべる。
翡呂は少し驚いた顔をして、そのあと、笑みを浮かべた。
「やっぱ楽しかったやんな!」
「いやぁ、翠ってきり俺のことなんも見てへんと思ってたわ」
翡呂はそうぼやいた。
「心外なんだけど」
翠は少しだけムスッとしたように言った。
「あら?翡呂、それは翠に失礼よ」
愛漸が翡呂に注意した。
「なんでぇ?」
「嫌だって、翠がだんs」
「愛漸さん。やめてください」
翠が愛漸を止めた。
「あら?昔の話なのに覚えてたの?」
「覚えてるからまだこうしてるんですよ!」
翠がキレたように言った。
「もうそろそろ敬語やめてもいいのよ」
「やめると毒舌でしかないですよ?」
「ええやん。そっちのがおもろいやん」
翡呂は適当に返した。
「で?さっきの話はなんなん?」
「いやだから!」
翡呂が翠を抑える。
「よっしゃこい!」
「翡呂、モテないわよ」
「俺、女性苦手やねんって」
「まぁ、そうね。誌穂だって、5年?以上かかってやっとしゃべれるようになったぐらいだしね」
「ほんま、ええ人よなぁ」
「あら?あげないわよ」
「取らへんわ。俺は、この人生結婚もしいへんわ」
「って言っておいて誠ちゃんとか狙ってたり」
「多様性の親は怖いわぁ」
「そうそう。で、翠は、、」
愛漸は翠をちらっと見る。
ありえない目つきで睨んでいた。
「やめておくわね。あとで殺されそう」
「正しい判断です」
翠は翡呂を投げ飛ばし、頷いた。
「俺の扱い酷ない?」
そうこうしているうちにやっと愛漸の家についた。




