時間は待ってくれないから①
「アビ?」
「蓮矢様ごめん。重たい空気になっちゃったね」
阿響斗は申し訳なさそうに言った。
「無理するなよ」
「僕は平気だよ」
阿響斗はいつもの感じはなかった。
「人も霊もみんな色々抱えてるんだ。だから、僕は誰も恨まないよ」
「アビ」
蓮夜は阿響斗にチョップをした。
「いたっなんで?!」
「大人ぶんなクソガキ」
「蓮矢様だってまだまだガキじゃん」
「なんだと!」
(向き合うべきなのは間違いないと思う。だけど、今じゃない)
蓮矢はそう思った。
御嶽の家に着いた。
「アビありがとな。今日ついて来てくれて」
蓮矢は阿響斗の頭を撫でた。
「僕の過去知っても今まで通りに接してよ」
「当たり前だろ」
「あっ阿響斗おかえり」
誠が阿響斗を見た。
「誠様!」
そう言って駆け寄った。
「僕今日ね!、、」
楽しそうに今日の話をしていた。
悲しそうな顔一つせずに、
誠の後ろに翠もついて来ていた。
「、、、翠」
「なんですか?」
「いや、、、」
蓮矢はあの戦いのあとも、まだ翠と上手に話ができていない。
「阿響斗、寝るなら部屋で寝なよ」
たくさん遊んだからか、阿響斗は寝かけながら話していた。
「器用なことしますね阿響斗は」
「それでね、、僕ね!たくさん楽しかったんですよぉ、」
「ほら部屋でたくさん聞いてやるから」
誠は笑って、連れて行った。
翠もそれに続いて。
「あらあら♡まだ痴話喧嘩?」
「愛漸さん、空気読んでくれ」
「あら失礼、オホホ」
いつも通りお気楽に愛漸が笑っている。
「ねぇ、愛漸さん。少しおかしなこと聞いていいか?」
「なにかしら♡」
「御嶽家だれが継ぐと思いますか?」
「フフッなかなか面白いことになりそうよ」
そう言って愛漸はニヤニヤしている。
「やっぱ愛漸さんは知っているのですか?」
狼雅の側近は東西南北とで4人いる。
そのなかでも、愛漸は特に狼雅と仲がいい。
「さーどうかしら。ただレンちゃん。覚悟はしておきなさいね」
「愛漸」
「ひゃー狼ちゃん♡怒らないでぇ」
愛漸は楽しそうに狼雅から逃げていった。
「あの、野郎」
「お父様」
「なんだ?」
「何でもありません」
「そうか。、、、怪我は大丈夫なのか?」
「珍しい」
心の声がボソッと出てしまった。
「ガハハッこれでも父親だぞ!」
「失礼しました。もうだいぶ良くなりました。」
手の傷も背中の傷も治りが早くなっていた。これもうにゃのおかげなのかもしれない。
「それはなによりだ」
そうって狼雅は通り過ぎていった。
(心配してくれた、、?)
蓮矢が唖然とした顔で狼雅の行く先を見ていた。
目の端にスカートが映った。
ニヤニヤ顔で愛漸がこちらを見ていた。
(愛漸さんさぁ、、、)
次の日は、久しぶりに外を出歩いた。
「一人の散歩は久しぶりだなぁ」
ふと、手の裏を見た。
うにゃとの式神の契約の証の形が、猫型になっていた。
(ねこ、、、?)
「、、、!」
その瞬間にすべてがつながった。
(あれは、あの一つ目の猫はうにゃだったのか、、!)
蓮矢は気づけなかったことにすごく申し訳なさでいっぱいだった。
話し声が聞こえて、蓮矢は物陰に隠れた。
(、、、翠?)
翠がスーツ姿の男と話をしていた。
5分ほどして、翠はその男と別れた。
男が去っていく瞬間、翠は蓮矢の方を見ていた。
「、、、っ!」
蓮矢は迷ったが、翠の前に姿を現した。
「蓮矢様こんなところで、珍しいですね」
淡々とした声で言った。
「翠、あれは誰だ?」
「私の友人です」
「違うな」
それにしては距離感が違いすぎた。
「、、、さぁどうですかね」
翠はそれだけ言って去ろうとしていた。
「うにゃとはまだ合体しているのか?」
「あぁ、今更気づいたのですか?」
「そうだな」
翠は胸に手を当てた。
ーうにゃ。しゃべりますか
ー今は良いです
「うにゃは話したくないそうです」
「そんなわけ!」
まくしたてるように言う蓮矢に翠は冷たい視線を送る。
「そういう。自意識過剰なところ治してはどうですか?」
「お前、ほんとにどうしたんだ?」
「何もないですよ。今更、”元”主が何なんですか?」
「元だとしても」
「理解できるわけないんですよ。私の気持ちなんて」
「少なくともうにゃの主は俺だ」
「そのうにゃにすら話すのを断られてるのは貴方でしょう」
それだけ言って、翠は後ろを向いた。
「もういいでしょう。私は帰りますね」
去っていく後姿を蓮矢はただ見つめることしかできなかった。
「教えてやろうかだな?」
隣で風が流れてたように霧が現れた。
「お前、、、ここに降りてきていいのか?」
「親として覚悟を決めねばならぬときがあると思うのだな」
そう言って照れくさそうに霧が言う。
「交換条件だな。拙者が翠殿の秘密を言う。だから、阿響斗との仲直り方法を教えてほしいのだな」
そう言って深々と頭を下げた。
(こいつから見て俺は本当に子供ぐらいにしか見えないのに、それでも頭を下げるなんて)
「わかった約束する。」
「では、翠殿の今つかめている情報を上げよう」
「翠殿は御嶽家を乗っ取るつもりじゃ」
「、、、!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
長髪が揺れる。
「最近、来客が多いわね。」
知佳が落ち着いたように言う。
「うにゃがお世話になったそうでお礼にと」
「貴方とあった時から怖かったのよね。霊能力なくてよかったとさえ思ったわ」
すべてを見据えているかのような瞳を持っている。
「うにゃはとんでもないのと契約したのね」
「ハハッそんなこと言わないでくださいよ」
「貴方はどこまで見ているの?」
「そうですね。最後かな、、、?」
照れくさそうに翠は頬をかいた。




