そばに居たとしても⑦
「封印!!!」
清吉はやっと違和感が何かがわかった。
蔦が一切生えてきていないのだ。
発動をしているはずなのにシバは扇子を開いて仰いでいる。
「結界術:完全領域」
シバの結界が可視化された。
シバの体の形に添って出来上がっている領域のようだった。
「な、、、なにそれ」
清吉は動揺をした。
「結界術:不完全領域」
結界が消えたように見えた。
清吉は少し迷ったが、自分を奮い立たせ。
「硬化体技」
清吉は踏み切る足を硬化させさらなる力を入れたのち、シバに向かって行き。刀を振った。
ガキン
「なっ」
「行けると思ったか」
余裕そうにシバが言う。
「送り火」
清吉は多くの火の球を宙に浮かせた。
そしてシバに向かって時はなった。
「もー嫌じゃのお」
そう言ってシバは扇子で軌道を変えた。
「なるほど、不完全だと物理攻撃が聞かないってことか」
「その通りじゃ」
少し考えこんでいる清吉をシバはしっかりと見ていた。
「傀儡火」
「なっ!」
シバの反応に清吉はニヤリとしたが、結界の色が変わった。
ジュッ
結界の外で消えた。
「結界術:反転領域」
その瞬間に清吉は刀をシバに突き付けた。
「しまっ」
首の横に刀が来ていた。
(切られる)
シバはギュッと目をつぶった。が何も当たらなかった。
「はいはい終わりねー」
時月が手を2回叩いた。
清吉は勢い余ってそのまま空振って転んでしまった。
「わお、ごめん」時月が謝った。
「カッコ悪いのぉ」そう言ってシバも苦笑いした。
「コロさぁ、なめてかかりすぎねぇ」
子供を叱る母親のような言い方をした。
「そして、清吉は私が来たことに安心してそのままコロに本気でぶつけに行ったね?」
「バレてたか、ありがとう」
「いやぁ清吉強くなったなぁ。今の当たってたらさすがの我も切り傷がついたじゃろうな」
シバはしみじみ言う。
「切り傷、、、」
清吉は若干ショックを受けた。
「じゃが負けは負けじゃ」
シバは清吉をしっかり見て。
「次は絶対守れるんじゃろうな?」
「はい!!!」
清吉はしっかりそう言ってシバを見た。
その年に清吉と時月は結婚をした。
そこまで見てからシバは、時月と陽子の元を去った。
だが、時月はそうなることを知っていたのか急にいなくなっても何も言わなかった。
そして誰にも気づかれぬように霊体の姿をした。
霊体は同等の力の持ち主かそれ以上のものしか見ることはできない。
シバは上級霊なため、それを見れるのは神格はもちろんのこと、同等の力で言うと上級の怨霊と上級の式神だけだ。あと一部の巫ぐらいだろう。
だから、きっと陽子はもちろんのこと、清吉も時月も見ることはできないだろう。
「罪を犯した。だからそばに居るべきではない」その思考と「自分のせいで時月が大怪我をした」という責任感がずっとシバを縛り続けていた。
時月と陽子にばれないようにすべての荷物をまとめて去った時、振り返らずに行こうとしたが、玄関で少しだけ振り返ってボソッと
「幸せに生きてくれ」
霊がいるのだから言霊だってあるだろう。ただの迷信だが祈りを込めてその言葉を残していった。
時月も陽子も清吉も毎日祠へ来た。
そして今日あったことを手短に言って帰っていった。
時月の目はほぼ見えていなかったが、だんだん回復をしていったそうだ。
霊力を使わなかったのと、清吉が霊力を分けたことによるものらしい。
そして時月はたまに子供を連れてきていた。女の子と男の子だ。名前は茜と陽平だそうだ。
幸せそうに毎日話してきてシバはうれしく思っていた。
何十年の時が過ぎ、みんな年老いていった。
ある日、時月が祠に来た。
「わしは何十年もここにいてなぁ。コロがいつか帰ってくることを待っていたんじゃ。きっとコロのことだから、いろんなことに責任を感じてるのだろう。でもね、誰もコロをそんな風に思って居らんよ」
今日もコロは祠の上で話を聞いている。
優しい声だ何年たっても、それは変わらない。
陽子が亡くなった時も、「父上に会いに行っちゃった。」そう寂しそうに言っていた。
陽子の骨は時雨の場所と同じではない。それも申し訳なく思っていた。
「わしも母上も父上も清吉も村の者も誰もお主のことを恨んでもおらんよ」
ふと、思い出したように目を閉じた。
「あと、何度も言うておるが、わしはこの傷のことを一切恨んでおらん。顔で寄ってくる奴が居なくなってせいせいするわ。それに、清吉という素敵な男と結ばれた」
時月は目を開けて不意に祠の上を見た。
シバは目が合った気がしたが気のせいだろう。
「わしは幸せ者だった。」
今も昔も変わらないその笑みをシバは素敵だと思った。。
清吉と子供たちと幸せそうな姿をずっと見ていた。
昔ずっとそばに居たのに、不幸ばっか呼びつけていたと思ってた。
そばに居たとしても、、、自分じゃ幸せにできない。
そう思って離れた。だけど時月は一緒にいた時間すら幸せだと言ってくれた。
「ありがとう」
涙が溢れて止まらない。
だけど、そんなダサい姿を時月に見られなくてよかった。
気づいたら時月も涙を流していた。
「またね、シバ」
ボソッと時月が言った。
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