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ドS配信事故を起こしたら、人気配信者と元カノと女神M女が釣れたので、一緒にダンジョンの覇者になることにした  作者: あきかたりれお


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第12話獣人族の思惑。サインくださいん!

「お加減はいかがですか?」


エレミアに茶を差し出され喉を潤す。


「ありがとう。大分落ち着いたけど、まだモヤモヤするっていうか……スッキリしないんだよね」


「力の放出を留めてしまいましたからね。後でこの階のボスに叩きつけましょう!」


「あ、あぁ……エレミアは、さっきの俺の力が何か分かる?」


「スキルだと思いますが……暴走しているようにも見えました」


「暴走……うん、途中から我を忘れて、感情のコントロールができなくなっていた。言うなれば、もう一人の俺……」


「理性を失い、痺れるような鞭をふるうイリス様も素敵でした」


「止めてくれてありたかったけど正直戸惑ってるよ……二重人格って言うのかな。自分が自分じゃないみたいで怖かった」


「イリス様……」


人に鞭を振るうのは嫌だって思ってきたけど、今回は完全に力にのまれてたな……


「おぃ、イリス」


鼻を啜りながら俺の前に立つアルベルト。美しく保っていたのだろう金髪は薄汚れ、顔も傷だらけだ。


半べそボンボン……まぁ、やったのは俺なんだけど。


「きょ、今日の所は僕の負けだ。こんな弱さじゃ、アヤに振り向いて貰えないということが分かったよ……」


「まぁ、アンタも被害者だしな。また日を改めて話し合いでも――」


「だが、次はそうはいかない!鍛錬を重ね、次こそ貴様からアヤを奪い返して見せる!覚えていろ!」


コイツ、もう一回泣かせとくか?


「行くぞ、フローレン!」


「ちょっとお待ちください。あの、イリス様」


ひょこり、白い耳が顔を出す。獣人族の少女だ。メイド服にはアンバランスな荒縄で縛ったままであった。


「ごめん。今解くから。痕が残らないようにはしたけど……ん、大丈夫だね」


縄を回収する。アルベルトの付き人だろうか。あれが主人とは苦労しそうだ。


「ありがとうございます。イリス様、お願いがございます」


「ン?えっと……」


「私はキルシュタイン家のメイド、フローレンです。イリス様」


琥珀色の瞳を揺らし、白い耳が垂れる。俺は言葉を待つよう首を傾げた。


アルベルトに忠誠を誓ってるなら奴をボコボコにした俺への文句か……?今回は言われても仕方ないしな。意図的では無いにせよ殺しかけたわけだし……


バッ


フローレンの懐から出てきたのは白く薄っぺらい――色紙。


「サインを下さい」


もしかしてこの犬耳女も変なのか……?


「えっと……サイン?」


俺はどこにでもいるダンジョン配信者。そこらの一般人に紛れたら特になんの変哲もない。才能も特になし。


獣人族の少女にサインを求められるなんて思いもよらないことだ。


「誰かと間違ってない、かな?」


「SM健全配信者、その前はイリアヤカップル配信者」


「えっ、うん。その頃から知ってくれてるんだ。でも俺ただの一般人で、俺のサインとかあっても……」


「そんな事はありません。イリス様の鞭さばき、全てを見下す冷たい瞳。いつか支配者となるお方として尊敬しております。ですからサインを」


獣人族の彼女は色紙を両手で差し出しながら俺を見あげてくる。仕草は可愛いものだが、琥珀色の瞳は揺れることなく無表情だ。


何考えてるか分かんないな……一応主人をボコボコにして足蹴にした挙句殺しかけた奴なんだけど……


チラとアルベルトと見遣れば予想通りと言うべきか、あんぐりと口を開け、己の使用人の行為に驚いているようだった。


「あの……ご主人様ショック受けてるけど。ご主人様にとって俺は敵なわけだし……」


「いいのです。あの人にはいい薬になりました」


「フローレン?!」


「えぇ……サインて、名前書くだけでもいいの?そこに純白のエレミアもいるよ?」


「イリス様ので」


「分かったよ」


ここまで頼まれてまだ渋るほど野望ではない。色紙にサインと称した名前を書いてフローレンに手渡す。


「フローレンへって書いてください」


「あ、うん」


ちゃっかりしてやがる。


「ありがとうございました。さ、アルベルト様。帰りますよ」


「ふ、フローレン……お前イリスのファンだったのか?!奴は主人の仇でありクズ野郎でもあるんだぞ」


「アルベルト様が勝手に逆恨みしてるだけじゃないですか」


「お前っ!まさかサインが欲しくて僕を騙したなぁっ?!」


「いいえ。嘘は言ってませんので」


「だとしても……ぐぬぬっ!やはりイリス、貴様は侮れん。アヤだけでは足らず、フローレンの心まで誑かすとは……恐ろしい男よ」


馬鹿は加速するばかりだ。もう何も言うまい。


「いいかイリス!覚えておけ!僕は必ず」


「先程聞きましたから。では、イリス様」


「フローレン!まだ僕が――」


テレポートにて二人は地上へと帰っていった。



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