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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十一章:年度末に向けて

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1404/1409

1404:七十六層を制覇せよ

 アラームが鳴り、いつも通り止める。布団の外もエアコンが利いてるので寒くないし出たくないという気持ちもない。ただ、一晩点けっぱなしだったので喉が渇いて仕方がない。のどを潤すには寒い廊下を出てリビングまで行かなければならない。


 さすがにそこまで出かけて水を飲んで、また眠るというのはあり得ないので、いつも通り行動することにしよう。


 そしてリビングについてふと思い出す、そういえばトマトジュースは最近消費してなかったような。水の代わりにトマトジュースで喉の渇きを潤すと、いつもの朝食を作って食べる。今日はトマトジュースの分だけいつもよりちょっとだけ健康的だな。


 まだ結構残っているのでこれからしばらくはトマトジュースを完全に消化するために毎朝飲んで出かけることにしよう。前に箱で買った分だけ賞味期限こそ切れてないものの、開封したらお早めにお飲みくださいとも書いてあるし、お早めにお飲みになることにしよう。


 さて、今日の昼食は何を作っていこうか……三分悩んで思いつかなかったので今日はカレー曜日だ。鶏肉のカレーと行こう。いつも通り材料を切りそろえて、玉ねぎを炒めている間に鶏肉を解凍し他の野菜を切る。この肉を解凍する手間をとるか、それとも十万円の査定金額を捨てて他のダンジョン肉を使うかだが、早めに飯を決めたおかげで充分に時間がある。玉ねぎをあめ色にするぐらいの時間だってある。


 鶏肉を解凍するとぶつ切りにして飴色タマネギと共に炒める。肉に色がついたところで野菜も投入して炒め……っと、炊飯器のスイッチを入れるのを忘れていた。まだギリギリ間に合うな。表面に油がコーティングされて少し柔らかくなったところで水を投入して煮る。沸騰してきたら一旦火を止めてルゥを入れて溶かし込んだ後に弱火で再点火してトロトロになるように煮込む。


 これでよし、と。後はサラダをいつも通り適当に散らしてもう一品作ると、ご飯が炊けるまでゆっくり待つ。ニュースをつけると、新しいダンジョンの話をやっていた。どうやらニュータウンのほうが先にオープンしたらしい。こんな所にダンジョンが開くのは予想外だった様子で、周辺住民への聞き込みなんかの取材が行われている。


 話を聞いている周辺住民の言うことをそのまま受け取ると「ダンジョンって身近にあるものじゃなかったからなんだか怖い」という話をするおばちゃんや、「時間をかけて通わなくて良くなった分収入が増える」と喜ぶ探索者、「ダンジョンと言ってもモンスターが中から出てきたり危険な物じゃないんでしょう? だったらいいんじゃないかしら」と素直に答える多少ダンジョンの知識がある人と大まかに三分割されていた。


 メディアとしてはダンジョンの危険性やその周囲に今後出現するであろう様々な問題にクローズアップしていきたいところなんだろうが、今のところうまいこと行ってない雰囲気だ。今後の続報に期待しよう。


 さて、炊飯器でご飯が炊けた音が聞こえたので、深皿にご飯を盛り付けて、カレーは後がけにしよう。そのまま鍋ごと保管庫に放り込むと出発準備はできている。……と、もう一杯トマトジュースを飲んでおこうかな。健康にちょっとでも意識が行っている間に栄養素を補充しておく事は必要だな。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 車、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。さあ今日こそ七十七層への階段見つけるぞ。それ以外にも人数分の【熱変動耐性】を手に入れるとかサブクエストはいくつかあるが、まずはメインクエストをきっちりクリアすることが大事だ。順番を守れるかどうかはわからないが、流石に今日で終わってくれることだろう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 いつもの時間でいつもの到着。そしていつもの場所で待ち構えている芽生さん。


「昨日の実入りはどうでしたか、しっかり稼げましたか? 」

「結衣さん達が七十二層に散歩に来てたんで、七十三層への階段の位置だけは教えておいた。まだスキルオーブは渡してない。自力で七十二層をちゃんと巡れるようになるまでは七十三層にはいかないて言ってた。後七十二層のグリフォンから【風魔法】が落ちたのでそのまま結衣さんに覚えてもらった、というところかな」


 要点だけをまとめて伝える。芽生さんはそれで理解した様子。


「なるほど、それはいいことづくめでしたねえ。スキルオーブ買い付けの度に誰かがいなくて探索が思うように進まないぐらいなら、多少懐を痛めてもその場で受け取った方がその分巻き返しの機会もあるでしょうし経済的だと思います」


 平田さんと同じことを言っている。やはりここまで金を持っているとそういう話の流れになるのか。俺もスキルを買いあさる時があったら同じことを考えることにしよう。


 自力で出そうとすることも必要だが、あくまで余裕があれば……今回の七十三層から七十六層みたいに通りがかりについでに探せるような環境なら別だが、【毒耐性】を多重化させたいから上層に潜る、といった行為は控えるように心がけよう。


 入ダン手続きを済ませようと受付嬢のところへ行くと、一言追加された。


「安村さん、ギルマスから伝言です。今日からポーション査定開始、とのことです。それだけ伝えれば伝わるからそう言っておいてだそうで」

「なるほど……今日からですか、わかりました。早速下層から持って帰ってくることにしますよ」


 どうやら若返りのポーション、無事査定開始らしい。そう言えば査定前に渡した九本分の査定結果はいつ貰えるのかな。その辺は査定嬢に伝えておいてくれてあるんだろうか。今日の帰りにギルマスがいてくれたら確実なんだが……まあ、伝言を残しておくということは朝一から来てる可能性は低そうだな。


「ちなみにですが、ギルマスは今日は遅番ですか、早番ですか? 」

「今日は遅番の予定です。いつも帰って来られる時間帯にはいると思いますよ」


 よし、一日でまとめて査定してもらえるようになるな。これで記録更新だ。しばらく記録更新のめどが立たなそうなこの多量の若返りのポーション。まとめて査定してもらって精々記録を打ち立ててもらうことになるだろう。ギルド税も馬鹿にならないがこっちの受け取りはそれ以上になるんだからきっちり支払ってもらわないとな。


 いつもの専用リヤカーを引いて七層、いつもの茂君刈り取り。良いね、今日ももっさもさだね。と投網で茂君を綺麗に刈り取ると颯爽とダッシュで戻る。帰ってきて再びリヤカーをエレベーターに押し込んで七十層を倍速でポチッとな。


「さて、今日からようやく若返りのポーションの査定日だ。七十三層から先、フレイムサラマンダーの革以外は全部査定に出せる。今日は一日でかなりの報酬となる予定なので張り切っていこう」

「ちなみにいつも通り七十六層で一時間働き続けるとして、その分だけでどのくらいの金額が見込めるんですか? 」


 芽生さんの質問に対して、スマホの計算機能とノートのモンスターのおよそのドロップ金額を見込んで計算を始める。


「魔結晶がいくらかまでは算定できないが……今日の分だけで税込み最大六億ほどを見込んでもいいはずだ。そこに加えて今までのポーションの査定が済んでない分と、既にギルドに引き渡した分があるから……二人合わせて百億というところか。一気に桁が飛んだな」

「流石にあれだけ通い詰めて貯め続ければそうもなりますか。ダンジョン探索はお金になりますねえ」


 芽生さんは既にこれだけの金額を受け取る前提で話を進めている。気楽なもんだな。まあそのぐらい気負わない方がかえって探索に向いているのかもしれない。俺もあまり気負わず、出た分だけ出たので持って来た、という形で堂々としていればいいか。何も悪いことをして稼いだお金じゃないんだしな。


 七十層についてリヤカーを置くと、二台ほどリヤカーが停まっていた。結衣さん達と……高橋さん達かな? さすがにまだ他の探索者はここまで下りてくるのは難しいだろうし、七十一層辺りで出会う様うな気がするので会ったら挨拶ぐらいは返すようにしてみよう。


「今日は小西三強パーティー揃い踏みですか。高橋さん達はしばらく顔を見なかったんですけど、やっぱりダンジョニウムがらみなんですかねえ? 」

「かもしれない。しばらく顔を合わせてないから上の層でとにかく現物を多く納めろと上から指示されていたのかもしれないが、首を突っ込むようなことでもないしな。彼らには彼らのやるべきことがあるようだし、そっちを優先した結果、ということだろう」

「自衛隊勤めも楽ではないですねえ。私もそう言うのに駆り出されたりするんでしょうかねえ」

「かもしれんな。最初の一カ月ぐらいは新人研修ってことで浅い階層に潜らされる可能性はあるからそのぐらいは覚悟しておかなきゃいけないぞ」

「面倒ですが……これも洋一さんとギルドとダンジョンを繋ぎとめる役割と考えれば仕方ないのかもしれません」


 そこまで考えて役所勤めを選んだのか。確かに俺が一方的に情報を遮断すると色々と問題が発生してくるのも事実。中間クッションとして、実績を上げるため、と色んな理由で芽生さんに仕事を振ってみるのもありだろうな。


 車を出して乗り込み、七十一層方面へ向かうと、階段のところで高橋さん達と鉢合わせすることになった。


「おはようございます高橋さん、お久しぶりですね」

「おはようございます安村さん、またしばらくダンジョニウムの確保に駆り出されてましたよ」


 やっぱりか。定期的に取得してはいろんな研究や銃弾や砲弾としての応用が利くか、等に使われるためにかなりの数が求められているんだろう。ちょっと取ってくる程度ではあれだけ長い期間拘束されることもなかっただろうに、深く潜ったばっかりに駆り出されるのは大変だな。


「安村さん達は七十三層以降にもきちんと潜り込めてるようで何よりです。ボスは倒せましたか? 」


 探りを入れてくる高橋さん。ここは素直に答えておこうかな。


「倒せはしましたが保管庫頼りでしたね。実力で勝てたとは言えません、いずれ再戦しますよ」

「それは相当強いってことでしょうね。通りかかったら試しに戦う、というようなふらりボス狩りみたいにはいかなさそうです」


 高橋さんが俺の口調から、特殊な戦い方をしない限り倒せない、というようなイメージを持たれたようだ。そのイメージであってると思うから無理はしないでほしい。


「それが良いと思います……と言っても今はまだリポップ待ちの段階だとは思いますが」

「とりあえず今日は肩慣らしと調子合わせに七十一層をぐるっと回る予定です。安村さん達は七十三層方面へ……? 」

「その予定です。まだ七十七層向けの階段を見つけていないのでそれを確かめる工程ですね。せっかく作ってくれた迷宮式のマップですし、全部回って義理は果たそうと思います」

「それは大変そうですね。もしかしたら後日地図を売ってもらうような可能性もあるかもしれませんのでしっかり作ってもらえることは有り難いところです。頑張ってください」

「そちらも、どうぞお気をつけて」


 階段を下りてサメを雷撃のアッパーカットで倒した後、高橋さん達とは別れる。こっちは真っ直ぐ七十二層に向かい、彼らは何となくモンスターが多そうな方向へ歩いていった。流石に迷うような距離へ行く可能性は低いだろうが、彼らなら多少遭難しても自力で脱出するぐらいの実力はあるだろう。


 後は結衣さん達に出会ってないが、七十一層の何処かを歩いていることだろう。七十一層なら問題ないとは言っていたし実際に見てそうだと判断できていたので多分大丈夫だ。二日続けて顔を合わせて、またスキルオーブをドロップする、なんてことにはならないとは思う。


 そういえば最近スキルオーブのドロップ回数が多いな……何だろう、今年は後厄のはずだが、この後で悪いことが続いたりするのだろうか。多少はげんを担ぐ職業としては毎回ではないがミルコへの納品が効果を上げているとは考えにくいが、それだけ多く戦っているという証拠だろうか。


 サメとエイとグリフォンの混成部隊を焼き殺しながら七十二層へ向かい、着実な午前の収入を溜めこんでいく。今日からは午後の作業も金になる……ということでここでモンスターに執着する必要もなくなったので気楽なものだな。


 七十二層の階段のところで小休止している結衣さん達を発見。ここにいたか。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
雷撃のアッパーカットの時は拳を上に突き上げて某聖闘士の真似をしたいですね。 まあどんなポーズで出しても威力には全く影響はありませんけど。
高橋さん達は宮仕え故にやれと言われたらやらなきゃならんもんなあ ダンジョニウム集めご苦労様ですわ
今回も面白かった。 > さすがにそこまで出かけて水を飲んで、また眠るというのはあり得ないので、いつも通り行動することにしよう。 常識的にはそうだけど、安村さん保管庫にスポドリかお茶くらいは常備してるよ…
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