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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十章:新年

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1385/1387

1385:今日は出なかった

 そのまま北上して地図を作りきり、西へ向かう所。南北の長さは七十三層と大して変わらないように感じたので、七十四層の広さは七十三層と同じぐらい、という所だろうか。


「この広さなら階段も楽に見つかるかもしれないな。体感的には一層よりちょっと狭いぐらいの広さだ。東西も同じ長さだった場合七十三層と同じような場所に階段があるかもしれないから、階段に戻ったら決め打ちで試しにそこまで行ってみることにしよう」


 そのまま西進。どうやら壁際に階段がないのがこのマップの特徴である可能性は高いが、それでも全体図を持っているかどうかを考えると、いざというときにどっちに行けばいいかわかりやすいし、地図作りではなくモンスター退治のほうに主眼を置くようなケースになればもっと楽にどんどんモンスターだけを狩っていけるようになる。


 言い換えれば、未来の自分のための投資の時間だ。その未来の投資のために今頑張っているのだとすればこれは無駄な作業ではない。ここも【熱変動耐性】さえ手に入れてしまえばダッシュ場所として大いに栄える可能性だってある。魅せプレイが出来る場所はある程度確保しておかないとな。


 マグマゴーレムも七十三層よりは数が増えているものの、既にスキルオーブを入手してしまっているのでいるだけ邪魔……まあ魔結晶の数少ない収入源でもあるし、おそらくポーションも落とすだろうから倒さない理由はないとはいえ、ちょっと残念な所ではある。スキルオーブ狙いの時のモンスターはまあこんなもんだろう。


 ゴーレムから【物理耐性】をひたすら狙っていたころを思い出すな。こっちもゴーレムだがあっちもゴーレム。フレイムサラマンダーからも【熱変動耐性】が出ないわけではないだろうが、今のところは出会ってもあまり期待値が高いモンスターではないのが悲しいところ。


 フレイムサラマンダーをひたすら倒して数を稼いでスキルオーブを狙っていくしかないか。まあ、スキルオーブより今は地図だ。ちゃんと描ききって階段まで戻ろう。


 西の端まで来た。ここからは南だ。凸凹しながらのマップなので綺麗に道筋通りに出来ているというわけではないが、ダンジョンのマップの外周部は出来上がっていることに間違いはない。それ以上深く入り込まなくていい、という分だけ後で楽が出来る寸法だ。


「階段が外周部にあったら便利だー、とは言いましたけど、この辺にあっても逆に遠くて困りものですね」

「もし外周から回らず外周に階段があった場合ってのが一番問題だからな。何とかのゲームと違ってランダムにダンジョンが変わるわけじゃないんだから作った地図は無駄にはならない……ウォッシュ」


 また汗が垂れてきたのでウォッシュと乾燥で肌感覚をサラッサラにして水分を補給。眩暈が始まる前に水分とミネラルは補給しないと倒れてしまいそうなこの階層、果たして普通に潜り抜けることはできるんだろうか。割と地味に命を狙ってくる階層だと思うんだが、そのへんダンジョンマスターはどう考えてこのマップを作り上げたんだろう。


 確実に体力を削ってくるマップというのはいくつかあったが、ここが過去一厳しいマップであることは確か。早く【熱変動耐性】を入手して楽しいダンジョンに早変わりしてもらわないとな。この体力の消耗具合ではダッシュ探索なんてもってのほかだ。倒れたままダンジョンマスター向けの配信が永遠に終了してしまう。


 そのまま南に向かい、この辺に階段があったら遠くて面倒だろうな……等と考えながら地図を描き描き。頼むからもうちょっと階段同士が近いところにあってくれよと考えながら進む。


 モンスターの分布は全体的にまばら、といったところ。どこかに偏っているというイメージはない。偏っているならそこの周りに階段が偏っている可能性はあるが、索敵にもその様子は見受けられない。


 今のところ索敵を逆算して階段の位置をはじき出す……というのもなかなかうまくいかない様子で、芽生さんの勘にもまだ引っかかってない様子だ。この調子でまた一周して、内側を回ることになるかな。


 通りすがって一瞬で殺されたフレイムサラマンダーが階段がこの辺に無くて残念だったね、と言わんばかりに革をくれた。革は革で大量に確保しておくに越したことはない。もしかしたらアレを縫い合わせて防火素材としての役目を担った新しい服や設備、防火扉の新素材としての役目が待っているかもしれない。


 そう思えば、サンプルは多いほうが良いからな。ギルマスに追加枚数をせがまれてもすぐに出せるようにその分の数は確保しなければならない、という視点からしても、フレイムサラマンダーはスキルオーブも含めて今は美味しい獲物だと言えるだろう。


 七十四層ではフレイムサラマンダーに念入れして戦っていくことにしよう。マグマゴーレムは……まあ、お疲れ様。後二、三カ月ゆっくりしていってね。


 そのまま南へ進み、西南の端っこへたどり着いた、後は南を探索しつつ階段まで戻る。この様子では、外周には階段がない法則はそのまま有力な説として伝わりそうだ。だが、次の七十五層はボスマップ。ボス部屋の配置の都合上壁際に階段が設置されている可能性はまだ捨てきれない。


「やっぱり七十四層も階段は真ん中の何処かってことになるんですかねえ」

「その分七十五層に期待ってことだな。……っと、今回も外れか。でもポーションは落ちたな。のちの収入源だ、大切に持ち歩こう」


 フレイムサラマンダーからポーションを頂いて、そのまま階段まで戻る感じになった。どうやら外周一周しても階段はない、次は内側ってところだろう。時間は……後一時間ぐらいは七十四層に滞在できるな。


「さて、後一時間、片道三十分ほどさまよって、階段が見つかるまでうろうろしようか。前回の続きからいこうかな。どうにもそっちに階段の匂いがする」

「ということは東ですね。方向的に考えて北東方面が怪しいです。そっちへ向かうことにしましょう」


 ……そういうことになった。こんな時でも俺のセンサーは無事に発揮されると考えられているらしい。そして芽生さんの言う通り、階段から見て北東側に三十分ほど歩いたところに無事に階段を発見した。グスン。


「これで七十五層までの道は明らかになりましたね。どうします? 後三十分余裕があるとか言ってましたが七十五層チラ見していきますか? 」

「うーん、チラッとだけ見て、新しいモンスターがいるかどうかだけ確認したいかな。降りてそこに何もいなければ何もなかったですねで済むし」

「では、せっかくなので見に行きましょう。ボス部屋まで到達できなくてもちょっとでも地図の傾向が分かれば次回の探索のモチベーションにもつながろうというものです。それに、新しいモンスターが出てくるかもしれませんし、その時の戦闘状況を思い直してより効率的な探索が出来ると思えば体験は早いうちのほうが良いです」


 芽生さんが珍しく早口でまくし立てる。そんなに七十五層へ行きたいのかな、と思いつつも否定したり思いなおしたりする部分はないので快諾して七十五層の階段を下りる。


 七十五層に降り立ったその場には何もいなかったが、少し先に三匹編成のモンスターが居る。広さから行ってマグマゴーレム三体というのは考えにくいので、フレイムサラマンダーか他の新しいモンスターかのどちらかだろう。


 近づいていくと、正体がわかり始める。わんこだ。背中の骨に沿って炎をまとわりつかせている、背中が燃えてるわんこがいた。


「可愛くはないですけどわんこですね」

「ヘルハウンドって感じだな。よしお前の名前はヘルハウンドだ。何をくれるかは知らんが飯の糧になってもらうことにしよう」


 相手の索敵範囲に入ったのか、元気にこちらへ走り寄ってくるヘルハウンドが三匹。統制も取れているようで一直線に芽生さんのほうへ向かっていく。


「背中の炎消したら死んだりしませんよね」

「ガスみたいに噴出してるようにも見えるから大丈夫じゃないかな……と」


 試しに現在最高出力のチェインライトニングでまとめて倒そうとしたが、先頭の一匹は倒れ、二匹目はスタンが入ったが三匹目はそれほどダメージが入らずにそのまま走り込んでくる。結構頑丈だな。


 三匹目が芽生さんと対峙する。どうやらヘルハウンドはそのまま勢いを殺すことなく芽生さんに走り込み、噛みつかんとしているが、芽生さんがそれより先にウォーターカッターでヘルハウンドの首をちょんぱする。加速したままのヘルハウンドの身体をサッと避けて、後ろへ滑りながら黒い粒子に還った。


 スタンしたままの二匹目に雷撃を追加で入れて確実にトドメ。ドロップはどれも魔結晶のみ。牙とか落としそうな雰囲気だったがそうでもないらしい。もしくは倒す数が足りないかだな。


「素早いのは困りものですが、洋一さん相手ではあまり効果がないかもしれませんねえ」

「それよりも耐久力があるほうが問題だな。一発で二匹は落とせると思ったのに残ってしまった」

「その辺はまあ、相手のスピードと距離によるんじゃないですかねえ? それなりに離れてましたし、距離減衰と考えたらわからなくはないです」


 ドロップに関しては……まあいいだろう。とりあえず新しいモンスターに出会えるということが分かったので七十五層はちょっと巡って終わりにしておきたい。


「もう少しだけ探索しておくか。次回同じ道を通るかどうかは置いといて、モンスターの密度については調べておきたい」

「そうですねえ。一回だけ戦って終わりではちょっと物足りなさも感じますし、収入的には七十四層より美味しいはずですからもう二、三グループと戦ってから感想戦をしたい感じですねえ」


 少しだけ前へ進むことにした。例によって東南からスタートだ。二分ほど進んだ辺りで次のマグマゴーレムに遭遇。お前は良いマグマゴーレムのはずだから一つドロップのほうを頼むよ、と念じながら進むことでスキルオーブのドロップ率を可能な限り低く見積もることができる。


 名付けて物欲センサー狩り。雑念を全身に取り入れることでモンスター退治に逆に集中できるという物欲の権化にしかできない方法。これによって俺は汗をかき続けるが集中力を切らすことなく戦いに没頭できる、そして水分不足で俺が倒れそうになる。


 マグマゴーレム二匹の後に水分を補給し、全身を乾燥させると再び南東方向へ。今度はフレイムサラマンダーが三匹出てきた。これが終わったら帰りの時間かな。てくてくシュッと倒し終わると、今日の所の七十五層探索は終了だ。七十五層ではマグマゴーレムが二匹連れだって出てくることもある。それが収穫だな。


 真っ直ぐ階段まで戻り、七十四層へ上がるとそのまま七十三層へモンスターを倒しながら抜けていく。同じ階層に何もいなかったからか、階段周辺以外のモンスターは湧きなおしており、フレイムサラマンダーをしっかりと倒しマグマゴーレムを片手間で倒しながら戻りの道を行く。


 七十三層へ上がって再び俺のテンションが上がる。ここでマグマゴーレムからポロッと落ちると美味しいぞ、という気持ちで満たされているが、その気持ちがある限りスキルオーブがポロッと出ることはなかった。やはり物欲センサーは信用できるな。


 七十二層と七十三層の間ではそもそもマグマゴーレム三匹としか出会えない。その三匹に全ての念を込めて狩ったところで、四千分の一とも言われる確率を簡単に引き当てることは難しいだろう。今後に期待だな。


 七十二層に上がってすぐのグリフォンを片付けると、ウォッシュと乾燥で一気に体を乾かした後、水分を補給する。気分的に三リットルぐらい汗をかいた気がする。しばらくサウナは要らないな、灼熱マップがある。


「ふぅ……水風呂に服ごと飛び込んだ気分だ」

「達しましたか」

「ここで達したらさすがにやばいな。ちゃんと水分も補給しないと血流がドロドロになってしまう。サウナの後は適切な水分補給が大切だ」


 そういうと、ペットボトルの経口補水液を一気に飲み干す。適切な水分補給としてはちょっとずつ飲むのが正しいことは承知しているが、のど越しと渇水感に心が堪えきれなかった。


「いつになったら出るのかは解らないが、しばらく俺には低温サウナがあるということにしておこう。その気持ちで挑んでいればいずれは【熱変動耐性】も出てくれるはずだ。遠い未来じゃなくできるだけ近くで出てくれると嬉しいところなんだけどな」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 未来の自分のための投資」 かっこいい言い方をする金ならあるおじさん > 魅せプレイ」 オーディエンスを意識するおじさん > …ウォッシュ」 語尾がウォッシュになるおじさん > 水分を補給」 …
ヘルハウンド(仮)もスケルトンの骨に反応するのかな?
このままではダイエットが捗ってしまうなあ 痩せすぎる前に耐性落ちればいいんですが
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