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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十九章:ダンジョン探索旅情編 ~旅先で色々と~

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1359/1382

1359:黒川温泉のいいお宿

 土産物屋を一通り見たところで外に出てみると、ここにも居るくまモン。お前本当にどこでもいるな。道の駅から適当に見る所を探してみると、近くにお寺があるらしい。


「芽生さん、あっちにお寺があるらしいよ。行ってみる? 」

「時間もお腹も余裕がありますし、行ってみましょうか」


 形容してはいけない鼻の長い国民的人気アニメーションのキャラクターの像を横目にしながら寺のほうへ行ってみる。徒歩十数分なんて我々にとっては時間とは言えないほどの時間だ。すぐに到着し、年月の風格を思わせる寺の門に到着した。調べてみると、本殿は火災で焼失してしまってないらしいが、そのまま上に上がって広場みたいなところに出る。


 境内にはイチョウの御神木があるだけで、他に見るべき点というものは特にはなかった。しかし、こういうのを楽しむのも旅行の内だろう。時間とお腹が大丈夫な限り、色々とうろついても何ら問題ないのだ。


「こういうところでゆっくりするのもたまにはいいですねえ」

「金にうるさい芽生さんが静かなのが不思議なぐらいいいね」

「私だって使うときは使うんですよ。今はダンジョンに潜ればかなり稼げるという貴重な時間を贅沢に使っているんですから、これ以上の金の使い道はないと思いませんか? 」


 たしかにそういう考え方もある。こうやってボーっとしてる間に空中にサメが飛び出してきて、期待値二百万円の戦闘を行っていることを考えると、地上のなんと平和なことか。


 しばらくボーっとしていると、鳥が三羽ぐらい飛んできた。仲が良さそうに見える。


「あれが私と洋一さんと結衣さんですよ」

「一匹が二匹に追い回されてるように見えるな」

「二人も追いかけてくれるなんて贅沢な鳥ですねえ」


 隣に座っている芽生さんが手を絡ませてきたのでそのまま恋人繋ぎにして、鳥の行く末をじっと見守る。しばらくすると追いかけまわされていた一匹が飛び立ち、二匹がそれに連れられて飛び去って行った。


「行っちゃいましたね」

「こっちもそろそろ行くか。他に何か見どころがあるものを見つけられるかもしれない」


 手をそのままで階段を下りてふと横を見ると、牛が飼われていた。食用なんだろうな。


 そのまま阿蘇駅周辺まで戻ってくる。国民的アニメのキャラクターとくまモン以外には何もないこの空間、さて道の駅に戻ってちょっと早めのお昼にしようかという時間になった。


 道の駅すぐのところには何もなかったが、片道十五分ほどのところに地元の国産和牛である「あか牛」を食べられる店があることが分かった。


「よし、お昼はここで食べよう」

「丁度腹ごなしの運動にもなりますし、距離的にも時間的にも良い感じですねえ。そこ行きましょう」


 歩いて店までたどり着き、ちょうどオープンの時間に入ることになった。そこそこ人気があるのか、既に俺たち以外の人も入っていた。


 あか牛の溶岩焼き、というのがここのおすすめメニューらしい。あか牛とはなんだろうと歩きながら検索していたが、あか牛という種類の和牛であることまではわかった。そして、ここでは溶岩プレートを加熱して焼いた石をお出しされるので自分で焼いて食べるスタイルらしい。


 スーツに跳ねが飛びそうなのでスーツの上着だけを脱ぎ横に置き、ワイシャツだけになる。さあ、盛り上がってまいりました。芽生さんも同じメニューを注文したからか、二人で一岩で使ってくれということらしい。


 早速焼き始めると、サシが気持ちいい形で入った肉がじわじわと焼けていく。程よく焼き目がついたところでひっくり返し、両面を焼いた後いただく。


 赤身と旨みの絶妙なバランスが口の中を喜ばせる。思わずおほっという声が上がる。これは、なかなか。甘みも香りも充分にあり、そして胃もたれをしなさそうなサッパリとした脂が特徴なのかな。付け合わせの野菜も焼いていき、肉の脂が蒸発しきらないうちに野菜に染み込ませながら食べていく。


 芽生さんは黙々と焼いては食べ、その味わいに喜んでいる様子。早速お代わりを要求し始めた。支払いは俺持ちで良いな。芽生さんにはその分旅館の費用を出してもらっていることだし、多分芽生さんの旅館の代金のほうがよほど高いはずなので細かいところはこっちでちょこちょこと出していこう。この支払いも一万円を超えることはなさそうだし、経費で落とせるはずだ。


 肉を次々と焼きながら野菜とご飯も楽しみつつ、満足して昼食をとることが出来た。定食にはクリームブリュレかおはぎを選択できるとの事だったので、ここはおはぎを選択。田舎おはぎ、非常に興味がある。


 でてきたおはぎは米が半殺しでいい感じに潰されたところが特徴の、美味しいおはぎだった。甘味もお肉も味わって、ここまでは充分に満足できたな。


 さて、食事を終えて歩いて戻ってきて、再び道の駅である。さっき見回らなかったあたりを見ると、ホットドッグとアイスクリームを販売しているのを見つける。これで昼食……というのもわびしかったので、ちゃんとした店で飯を喰えたことにちょっと感謝。流石にこの後また食事……と思っていたら芽生さんはソフトクリームに手を伸ばしていた。


「今日はチートデイだから大丈夫です。昨日の夜の分も取り戻そうと考えたらまだセーフですし、大丈夫ですよ美味しいですし」


 明日からダイエットみたいな言い訳をしつつソフトクリームにかぶり付いている芽生さんだがこの後温泉街に移動した後も食事はするんだよな? 本当に夕食入るんだろうか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 なんだかんだで色々して時間を潰し、バスの時間になったのでバス乗り場に移動。バスにはそれなりの数の外国人が乗り込んでいた。軽く調べてみると、近年黒川温泉周辺は価格が高すぎて日本人向けの施設にはならなくなってきているらしい。外国人のビジターがメイン客となっているそうだ。


 つまり、ここでは俺達のほうがよそ者ってことにもなるのか。それはそれでちょっと寂しいな。聞こえてくる外国語を横目にしながら、ここから五十分ほどバスで移動して温泉街まで向かうらしい。人口密度が高いうえに暖房が効いてるので少しだけ暑く感じる。


「暑いですねえ」

「赤砂の砂漠に比べれば楽かな。もしかして芽生さんもスーツで来た方がよかったんじゃないのか? 」

「今だけはそう感じますが、せっかくの旅行感がないじゃないですか。私服で良いんですよ私服で」

「俺は半分私服で、按分かけてスーツ買い込んでるからこれも私服ってことで」

「まあ、男性はそれでもいいかもしれませんねえ。洋一さんはスーツ姿も中々似合ってますし」


 のろけを聞き流しながら外の風景を見ながらバスは走る。山道の上にグネグネしているので、三半規管が弱かったらバス酔いしてたかもしれないな。


 長くも感じたバスの時間を終え、黒川温泉周辺にたどり着くことが出来た。周辺には坂道が多いが、同時に店も多い。どうやら入泉手形を販売しており、一枚で三ヶ所のお湯に浸かることができるらしい。


「芽生さんや、これは買ってから向こうへ行くのかい? 」

「洋一さん、それは明日のお楽しみですよ。今日のところはお宿のほうへ直接行って、向こうでゆっくりする手はずになっています。合流地点に向かいましょう」


 芽生さんの後についていく。すると、特定の旅館の停留所らしきところに着いた。すでに車も到着しており、運転手さんが降りてタバコを吸っていた。


「今日二名で予約した文月です。少々お待たせしてしまってすいません」

「いつものバスが遅れたんですかね。こちらも少し早めに来たので問題ありません、旅館のほうへご案内させていただきます。ささ、お乗りください」


 タバコをもみ消して携帯灰皿にタバコを仕舞うと、早速運転し始めた。ここからは歩きではちょっと辛い距離に旅館はあるらしい。思ったより今日は移動が多いが、その分楽しみも増えていくんだと喜ぶべきところだろうな。


 車で十分ほど移動したところで車を降り、旅館の前に立つ。風情があってひっじょうによろしい。


「家族風呂も大浴場もあって人気らしいです。偶然二人分の予約が取れてラッキーでしたねえ」

「人気の宿なのか。それは確かにラッキーだったな」

「はい、これからチェックインしたらまずは風景を楽しみながらお風呂に入りましょう。それからご飯を食べてお風呂に入りましょう。ここは源泉かけ流しの最上流のお湯が評判なので好きに汚し放題ですよ」

「流石に汚し放題はないと思うし、最上流だからこそ気を使っている気がするぞ、自然派シャンプーとかそんな感じで」


 旅館の名前で検索をしてみると、たしかに風情も風景も良いのは間違いないようだ。五千坪の面積に十部屋しかない客室、そのすべてに気を使っているような五つ星と呼ぶにふさわしい旅館なのだろう。


 中に入ってふと横を見ると、「飲めます」と書かれた湧き水らしきものが出ていたので一口。ミネラルを感じさせる中々美味しいお水だった。これが源流の美味しさなのだろうか。


 外国人の受付が内部を案内してくれているが、ホテルの中に温泉卵の売り場があった。百円だったが、たしか道中にある温泉卵も百円だった気がする。次に通りかかった時にお腹が空いていたら食べてみよう。


 芽生さんが記帳し、チェックイン。ここのことは芽生さんに完全にお任せしているので俺はフリーハンドだ。何かあったら芽生さんに頼るか旅館の従業員に聞くのが良さそうだな。


「では、お部屋のほうに案内いたしますのでこちらへどうぞ」


 部屋に連れられて行くと、部屋に入ってすぐに寝床。フカフカそうなベッドにゆったりとした布団が既に設置されており、いつでも眠れるし風呂にも入れるように丁寧にセッティングされた後だった。出迎え用という精神がこれでもかと攻撃をしてくる。


「おぉ……いい感じだ」

「でしょー。ちゃんとお高い料金払って泊まるだけの価値はありますよここは」

「それでは、何かありましたらお気軽にお声をかけてください。夕食は午後六時にお持ちいたしますので、それまではごゆっくりおくつろぎください」


 従業員が部屋を出ていくと同時に服を脱ぎ始め、浴衣に着替え始める芽生さん。俺もスーツにウォッシュをかけてから浴衣に着替え始める。少し肌寒いが、室内はしっかりと暖房が効いているので慣れるまでの話だろう。


 とりあえず庭部分に出て少し寒さを感じつつも風景を楽しむ。庭にも温泉があり、どうやらここが露天風呂なんだろう。外からは見えないように風景がきちんと配置されている。覗かれる心配はなさそうだな。しかし、今一人で入るのはちょっと風情がない。どうせなら夜のほうがいい。しかし、洗い場も外なのがちょっといただけないかもな。


 洗い場だけは中にあってほしかったな。そうすれば寒い思いをしながら体を洗って、その後ゆっくり……いや、あえて湯温の高さを感じさせるために両方外に出してあるのかもしれないな。どこまで考えているかは解らないが、すぐに風呂が楽しめることに違いはないらしい。


「今はやめときましょう。こっちは日が落ちた後にゆっくり入るほうのお風呂。今の時間は大浴場に行きましょう」

「大浴場もあるのか、風呂尽くしだな」

「大浴場のほうでしっかり綺麗に体を洗って、ゆっくりお風呂に浸かって、夕飯を食べた後に一緒に露天風呂。そういうコースで行きましょう。楽しみは夜に取っておくのがいいのですよ」


 ふむ、芽生さんのプランに乗っていくのが今日の予定だからな。素直に乗っかっていって、俺も大浴場に向かおう。大浴場とはいえ十部屋しかないこの旅館、他に楽しめるものがあるかどうかはさておき、風呂に入りに来たのだから風呂は堪能していかないとな。


 大浴場へ早速出かける。大浴場はしっかりとした作りとなっており、屋内ではなくこちらも屋外だったが、開放的になっていているのでより広く見える感じだ。寒い風があまり吹き込まないような形にはなっているが、それでも屋内浴場に比べれば肌寒さがあるのは仕方ない。さっさと洗い終わって湯船につかろう。


 どうやら比較的温い湯と冷たい水風呂と熱い源泉かけ流しの三種類の湯があるらしい。まずは比較的温めの湯から入って、徐々に熱い湯へ移動していくことにしよう。せっかくの源泉かけ流し、味わわないのはもったいない。


 風呂の種類は単純硫黄泉で、糖尿病、皮膚病、リウマチ、神経病なんかに効果があるらしい。疲労とかに効果がある湯だったらより良かったんだろうが、この際贅沢は言わず、もしかしたらその内引っかかるかもしれない糖尿病に効果があるということで納得しておこう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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定期的に高ランクポーション飲んでおけばどれだけ不摂生しても問題無いのかもしれないね
地元の話題が出てきてニヨニヨしております
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