表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十九章:ダンジョン探索旅情編 ~旅先で色々と~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1342/1387

1342:ヘルプ俺

ここからまた新章です、よろしくおねがいします。ちなみに短めです。

「ガンテツからヘルプが来てるんだけど行ってくれないかな」


 いつもの七十層での昼飯時に、ふらりと現れたミルコにそう伝えられたのは、十二月も中旬を過ぎて年末進行で世の中が忙しいだろうな、という頃である。


 最近何もイベントがないな、と思っていた所であるので暇つぶしがわりに話を聞いてみることにする。


「直接ミルコにヘルプが来たのか、ミルコを通して俺にヘルプが来たのか、によって対応は大きく変わるんだが。ぶっちゃけ俺じゃなくてもいいなら現地で顔の通った探索者相手にしてもらった方が好都合だと思うぞ」


 たしかに熊本旅行としゃれこむのも息抜きとしては悪くない。最近進捗がないから週五で通ってその内二回は芽生さんと。布団の山本にも先日休みのついでに納品に行ったばっかりで手元であれこれする、という風な予定はない。暇と言えば暇であるし、忙しいと言えば忙しい。


「今回は僕を通して安村に直接ヘルプが飛んできている。具体的に話すけどいいかい? 行ってもらうことになると思うけど」

「とりあえず内容だけ聞いてその後……じゃだめかな」

「まあ、僕としてはちゃんと伝えたから、という姿勢は大事だしね。話を聞いた後で安村がやっぱり行くべきだろうなと決めたなら僕は止めはしない。次の階層が出来上がるまで暇してそうだからちょうどいい話だと思って了承したところもある。言い方を変えれば、工事で構えない間、よそのヘルプに行ってもらうって話になるね」


 ざっくり言うとそういうことになるらしい。なるほど、しかし俺のところにそういう話が飛んでくるということは、緒方さん達がこっちへ来ていて熊本第二ダンジョンに顔なじみの探索者がいない、ということにもつながってくるのか。そういえば最近顔を合わせないが、彼らは今頃何層辺りにいるんだろうか。


「で、具体的になんてヘルプが飛んできてるんだ? 」

「えーと、食材のネタが尽きた、なんかくれ。後酒も。だそうだ」


 ド直球のヘルプもあったもんだな。しかし、ネタ切れか。そこまで階層が進んでいるということにもなるのか。頑張ってるなガンテツ。


「食材のネタかあ……新しい階層なんだからそれなりに高級品をそろえてやらないといけないってことになるのかな」

「その辺は任せる、ということらしい。高級食材を選ぶのか高級にしたい食材を選ぶのか、それとももっと違う何かを選ぶかは安村のセンスにかかっているってことだね」


 ふむ……確かにあの時のプレゼンではご用意できなかった食材はいくつもあるし、生ものはあえて避けた。今回は生ものでもいつものダンジョン仕様の謎真空パックでいけるということなら、色々用意して見せることはできる。テントはいつもの奴を組み立てた状態で持っていけばいいし、誰も見ていない間にシュッと出してシュッと仕舞えば問題ないはずだ。


「ふむ……いつになるかどうかは約束できないが前向きに考えてみよう」


 そう言いつつ、芽生さんに相談のレインを送る。熊本旅行ダンジョンの予定を立てようと思うんだけどどうかな? と送っておいた。


 さて、高級食材か……早速スマホで調べてみるが、やはり三大珍味と言われるトリュフ・フォアグラ・キャビアは外せないか。後はマツタケも欲しい所だな。しかし、キノコ類はともかくとしてフォアグラはドロップとして適切かどうかか。


 いや、まあ鴨のモンスターがでてくるならそれもありかどうかはわからんが、でも人型限定と言っていたし、鳥人みたいなモンスター……ハーピーとか出て来るならありか。そこも相談するとして、それなら多分納得するであろう、という路線を含めてまたプレゼンするしかないか。


 後は……キノコ類はいいとして、干しアワビや干しナマコ、ツバメの巣なんかもあっても面白いな。お取り寄せで手に入るものなら手に入れて持っていくことにするか。


 アワビで思いついたが、牡蠣とかどうだろう。ダンジョン産なら当たらない生牡蠣がドロップしても面白いんじゃないだろうか。これは早速今日中に手配していこう。


 芽生さんから返事が来た。「婚前旅行ですか? 楽しみにしてればいいんですかね? 」


 ……まあ、そういうことにも、なるのか? なるのだろうな。


 とりあえずレインを返しておく。「半分以上は仕事だけど、そういう時間も取ろうか。日程詰めたいけど大丈夫かな」観光もするってことにしとくか。婚前旅行、婚前旅行か……つまり早いこと覚悟を決めろということなのだろうな。


 何を贈れば婚約という形になるのか、それもまだ決まってすらいない。給料三か月分の指輪なんて現実的じゃないことはお互い解っていることではあるし、出来ればムードのある中で安物でもいいからきちんと指輪を送って、それを示す必要はあるわけだ。安村洋一四十二歳、この年になって覚悟を決めることになるとはだれが予想しようか。


「とりあえず冬休みに入ってからなら問題なしですが、早めの出発もできますよ」


 芽生さんとしては多少融通が利くらしい。旅行プランはともかくとして、第一目標である新熊本第二ダンジョンに潜ることだけは伝えておかないとな。


「ガンテツからヘルプ要請が来ているので、まず新熊本第二ダンジョンに行く。その後はまあ、気のすむまで旅行するのも良いかもね」


 俺一人で旅行というか遠方に出ると何もせずに帰ってきてしまう癖があるからな、ここは第一目標だけ伝えて、それ以外の部分については芽生さんに行きたいところを示してもらうほうが効率的……いや、この際効率的という言い方はよくないな。芽生さんが満足するまで楽しんでもらうことのほうが大事だ。


 さて、芽生さんと旅行する行先はともかくとして、探索には赴くことを伝えてはいるので手ぶらで来ることはないはずだ。少なくとも数日分の着替えとスーツ、それに槍ぐらいは持ち運びに来るだろうからそれを保管庫にしまい込む用事はあるとして……何を持っていくかだろうな。


 食材か……先ほど挙げた品物をそれぞれネットの通販で検索し、明日まとめて届くように注文をしておく。熊の手は希少価値と賞味期限からして手に入らないかと思ったが、どうやら数日待てば冷凍した熊の手が手に入るように手配が出来たのでヨシ。やはりここからネット注文もできるってのは通信ができるダンジョンの強みだな。


「うん、どうやら何とかなりそうだ。新熊本第二ダンジョン、行くことにするよ」

「それは有り難いね。ガンテツにもその内安村が訪れることを伝えておく。悪いね、顎で使いっ走りをさせるようなことをしてしまって」

「まあ、たまには旅行もいいもんかもしれないからな。俺一人で行って帰ってくるんじゃせっかくの旅行の楽しみもないだろうから、芽生さんとさっさと予定を消化して、その後は年内にでも帰ってくるよ」


 熊本旅行の予定は芽生さんに立ててもらうことにしよう。さて、後は酒だな。久しぶりに飲ませるんだから良いものを飲ませてやりたい。向こうでどんな酒を味わっているかも気になるしな。もしかしたら焼酎ばかり飲んでいるかもしれない。


 いくらダンジョンマスターだからと言ってお世話になっているお礼にワインやブランデーを味わっている可能性もある。ここは一つ金に物を言わせて良いものを買いあさってそうそう手に入らないものだと主張しつつ渡してご機嫌取りに向かうか。


 酒のほうもネットで手配。後はこっちの地元の蔵で出来たウィスキーも含めて何本か仕入れてみることにする。明日纏めて受け取りという形になるだろうから明日は休みだな。


「ふむ。とりあえず心当たりのある食材は手に入れることはできた。後は現地までの輸送とその間に食品がきちんと保管できるか、それと……新熊本第二ダンジョンがどこまで掘り下げられているか、辺りが気になるな。出来るだけ底のほうで出会いたいからな。十四層ぐらいまではもう掘り下げられているだろうから、二十一層辺りかその次、二十八層まで潜り込まないといけないかもしれない。そこでどれだけ時間がかかるかを計算しておかないといけないな」

「そういう情報までは送ってくれなかったな。聞いておきたいところかい? それとも潜る楽しみを優先してあえて情報無しで潜るかい? 」


 ふむ……ダンジョンに潜る楽しみか。あっちは二階層おきにマップが切り替わってセーフエリアはすべて同じ階層で出来ている、という話だったな。


「そうだな、楽しみは大事だ。事前情報なしとまではいかないがある程度情報を仕入れずに進んだ方が再びダンジョンを一から攻略していく楽しみがある。それを忘れないようにしないといけないし、もしかしたら他の新しいダンジョンにも同じように支援要請が来る可能性だってある。それを考えれば今回はそのケースの一つとして体験しておく必要があるな」

「そう言ってくれると僕も仲介をしただけの甲斐はあったかな。じゃあ、よろしく頼むよ」


 さて、午後は午後できちんと仕事をこなして帰る必要はあるだろう。しばらく探索に赴かずに旅行の準備であくせくしそうだな。旅行先の宿泊予定を芽生さんと詰めないといけない。


 芽生さんに再びレイン。「今日時間ある? 可能なら家まで来て欲しいんだけど。詳しい話も詰めたい」


 しばらくしてレインが帰ってくる。「いつもの時間で良いんですよね。家で待ってることにします」


 よし、今日はちょっと短めの探索にして早めに帰宅。旅行の日程を詰めることにしよう。新熊本第二ダンジョンへは何で行くのが一番早いんだろう、と乗り換え検索をしてみると、やはり新幹線で行くのが一番早いらしい。


 ここらへんは空港の都合上乗り換えがやたら多くなり、空港の乗り換えの待ち時間を考えたら新幹線一本、いや二本で現地まで行く方が早いとのこと。


 ふむ……やはり交通の便が良いとも悪いともいえないのがこの辺か。名古屋へ出るだけならそれほど厳しくはないんだが、遠くへ行こうと考えるとそうそう気楽に行けるものでもないな。やはり普段の自分の通う所に通うのがダンジョン探索者としては気が楽だな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午後の探索を一時間早く切り上げ、茂君もきっちり回収したところで探索を終えて地上に帰還。手早く査定を終えて今日の収入は三億六千八百八十万九千二百円になった。普段の査定から考えると一時間短い分だけポーション一本分ぐらい少ない収入となったが、その収入よりも大事な仕事がこの後待っている。


 バスの時間を確認し、しばらく来ないことを確認すると自転車で……この自転車もいずれ原付か何かにしたいところだが、原付に乗ったのは車の免許を取った時以来全くない。いきなり乗り出してこけたりするぐらいなら体力と時間を使って大人しく自転車で帰ることにしよう。


 自転車で飛ばし気味に走り、駅の駐輪場できちんと停めたふりをして保管庫に収納。寒かったが体が温まったのでちょうどいい感じになった。後は家に帰れば芽生さんがもう来ているはず。早速旅行の日程や本来の目的などを共有して、了解を得るか、了解が得られなかったり日程が合わなかった場合は俺が一人で行くことになる。せっかくだから着いてきて欲しいというのは俺のわがままでもある。


 ただ、レインから伝わってくる婚前旅行という文字について非常に悩ましいところがある。就職もまだなのにいざ内定式に向かったらその間に姓が変わってました、なんてのは出来るだけ避けてあげたいので、通名でそのまま使えるように何とか交渉するべき場を設けるか、さっさと籍を入れて早めの対応を心がけるかだな。


 電車で家に着く前に夕飯を見繕っていく。コンビニ飯だが腹が減ってはこの後使う頭にも影響してくるからな。しっかり炭水化物を取って……と、芽生さんの分はどうしよう? レインで芽生さんに飛ばしておこう。


 しばらくレインの返事を雑誌の立ち読みをしながら待っているとコンビニのほうへ芽生さんがやってきた。


「お、やっぱりここに居ましたねえ。夕飯の相談が来るからきっと近所のコンビニに居るんじゃないかと思って」

「勘がよろしいことで。で、夕飯どうする? 」

「そうですね、作って待ってもらうのもアレなので私もここで都合していきます。お支払いは……これも経費で落ちるんでしょうかねえ」

「会食にあたるのか、それとも買い食いにあたるのか。まあ会食ということにしておいて、後で認められませんならそういうことにしておこう。ちなみに旅行の往復運賃はきっちり経費で落とす予定だ」


 ダンジョンへ行って活動するのだから多少遠方であっても、その交通費は経費で落ちるだろう。料金をちゃんと調べておいて搭乗履歴とダンジョンでの入出場記録からちゃんとダンジョンには潜ってましたよ、というポーズをとることは重要だな。


 夕飯をお互い決めると俺がまとめて会計。二千円ほどの会計になった。今回はおやつなんかは買っていないので純粋に食事代だけだ。家に着いたら食事をしつつ、色々と調べていこう。芽生さんにも本筋はまだ説明していないことだし、なぜ熊本旅行に行くのか、という話もしないといけない。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
結衣さんは居ない事になってるのかな?? 年齢的により責任を持つべきなのは結衣さんの方だよね? 二人に手を出しておいて、あっさり片方捨てるのは人としてどうなんだろう……
熊本だし冒険者が持ってくるのは焼酎じゃないのかな? あとキノコならポルチーニとかも出るなら人気が出るだろうね 日本じゃなかなか流通してないスターフルーツやドラゴンフルーツもあると面白い
あらあら熊本旅行の予定が生えてきちゃったねえ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ