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結界と竜巻


「さぁ、撃って来いよ。豆鉄砲ドラゴン」


 俺の言葉はドラゴンに通じる。

 会話をする気がなくても、こちらの言葉は届く。


「オォオオォオォオオオォオオオオッ!」


 俺の挑発に銃龍は乗った。

 数多の銃口がこちらを向き、一斉に銃弾を解き放つ。

 浴びせられる弾丸の雨は、しかし鎌鼬によって被弾の直前に弾かれた。


「そんなもんかよ」


 更に煽ると今度は背中の銃身が俺へと向けられる。

 そして、四肢を踏み締めて大口径の銃弾が放たれた。

 重い銃声と共に、音速を超えた速度でそれが直進する。

 でも、発砲のタイミングさえわかっているなら対処は可能だ。

 見切り、踏み込み、一太刀のもとに両断する。

 二つに分かたれた銃弾は、風龍の鎌鼬によって左右へと弾かれた。


「オォオオォオオオォオオオォオオオッ!」


 一度目の銃声から間を置かず、二度、三度と轟く。

 下方から掬い上げるように斬り上げたきっさきが銃弾を断ち、刀身を翻す。

 目と鼻の先まで迫った銃弾を袈裟斬りに叩き切り、銃龍の銃撃を三度に渡って防ぎ切った。

 四発目は飛んでこない。

 弾切れだ。


「一つ」


 振り下ろした刀を手前に引き戻す。


「二つ」


 顔を持ち上げて銃龍とにらみ合う


「三つ」


 銃口がこちらを狙い澄まし。


「四つ」


 背中の銃身に次弾が装填された。


「五つ」


 そして四発目が放たれる。


「――」


 だが、それが俺を撃ち抜くことは決してない。

 銃口に貼り付いた結界が、伸縮を利用して大口径の銃弾を受け止めたからだ。


「宣言通りだな」

「やらざるを得なくされたから」


 結界がよく伸びて銃弾の勢いがゼロになる。

 その瞬間、勢いよく縮み、弾道をなぞるように跳ね返す。

 放った物が返ってくるのは銃龍にとってこれで二度目。

 今度は致命傷だ。


「オォオオォオオォオオオオッ!?」


 跳ね返った銃弾が逆流し、銃を模した骨格のことごとくを破壊する。

 最後には底から突き抜けて、完全に銃身を破壊した。


「トドメは任せたよ」

「あぁ、任された」


 背中の銃身を破壊されて怯んだ銃龍を見据え、周囲の鎌鼬をすべて左手に集約させる。

 集めて圧縮し、解き放つのは一条の竜巻。

 風龍のブレス。

 魔力を帯びた鋭い風の渦が大地を這い、地表を削り取りながら馳せる。

 背中の銃身を失った銃龍に、これを撃ち砕く術はない。

 呑まれ、幾千の刃に身を晒し、竜巻が赤く染まるほどの血が流れた。

 そうして竜巻が己の役目を全うすると、切り刻まれた銃龍が地に落ちる。

 命の灯火は完全に吹き消されていた。


「ふぅ……お疲れ」

「うん、お疲れ」


 無事に銃龍を仕留めて一息をつく。

 明希がいてよかった。

 一人だともっと手こずっていたかも知れない。


「たしか仕留めたドラゴンは折半だっけ」


 ドラゴンの肉体には捨てるところがないほど多種多様な需要がある。

 角は漢方に、鱗は武具に、肉は食用に、骨は工芸品に、とにかく色々だ。

 二人で協力して仕留めたこの銃龍を、一人で平らげてしまうことはできない。

 俺の取り分はこの半分。

 半分でドラゴンのスキルを獲得できるかな?


「いいよ。全部、空人にあげる」

「え? なんで」

「試験のとき助けてくれたお礼。あと、空人とデュオを組みたいからかな」


 そう言った明希は小さく微笑んだ。

 ここまでされたら、嫌とは言えないな。


「わかった」


 そう返事をして銃龍から逆鱗を回収し、スキルを使用して銃龍の亡骸を平らげる。

 そしてドラゴンの力がこの身に宿り、手元にライフル銃が構築された。

 それが完成すると共に衣装も様変わりし、和装から一変して近代的な格好になる。

 目立たない柄のマントを身に纏い、周囲の景色に融け込みやすくなった。


「銃か」


 種類も変えられるようでライフル銃が拳銃へと造り直される。

 試しに一発、断層に向かって引き金を引く。

 すると確かな手応えと銃声と共に、魔力の弾丸が放たれた。

 撃った箇所にはしっかりと弾痕が残されている。


「こっちのほうが扱いやすいな」


 硝煙を吹き消して足に巻き付いたホルスターに仕舞った。


「それじゃあ帰るか」

「うん。帰ろう」


 用事も済んだので、その足で待たせてある馬車へと向かう。


「あぁ、そうだ」


 途中で立ち止まり、明希が振り返る。


「これからよろしく、明希」

「うん。よろしく、空人」


 こうして俺達は正式にデュオとなった。

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