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Prologue2〜Who is he?〜

 よお、見かけない顔だな。

 このバーは初めてか?というかこの街自体が、か?


「ーーーー。」


 ほぉ、わざわざここに一人暮らしするために越してきたのか。若ぇくせに結構行動力あるじゃねぇか。そういう奴は俺は好きだぜ。


 というかお前も物好きなもんだな。こんな街にわざわざ来るなんてな。お前さんも知らねぇわけじゃないだろ?この街のことは。


「ーーーー。」


 ああそうだ。この街は他の街とは勝手が違う。毎日毎日が喧騒的だ。騒がしいったらありゃしねぇ。普通の人間がここで生きていくのは厳しいと思うぜ?


「ーーーー。」


 え?俺はどうなのかって?まぁ、そうさな……ここでしか味わえない愉しさ、スリルってのは確かにあるな。今じゃそれが病みつきでこの街から離れられない。


 お前さんもそういうのを求めてきたくちか?やめとけ、やめとけ。俺がいうのもなんだが命がいくつあっても足りねぇぞ?大人しくしとくのが一番さ。


 一つ聞きたい事?ああいいぜ、聞いてやるよ。俺からの引越し祝いだ。なんでも答えてやる。これでも俺はこの街じゃ結構な情報通で通ってるからな。


「ーーーー。」


 ……【天寺あまでら 享一きょういち】って男について何か知らねぇかって?お前さん、あいつに関わるのだけはやめた方がいいぜ。これも俺が言えた義理じゃねぇんだが、あれはやばい。


 あいつを何かに例えるとするなら、『薬』ってところだな。あいつは、自分に関わった人間全てに、何かしらの影響を与える。

 人によっちゃあいつは『良薬』だったり、はたまた『毒薬』だったりするんだ。『毒薬』である事の方が圧倒的に多いがな……


 そして厄介なことにあいつは【愉しみ屋】だ。街に面白そうで、自分が愉しめそうなことがあったら、すぐにその輪の中に首を突っ込みたがるんだ。その輪をぶち壊して、強引にな。

 そんでもって愉しむだけ愉しんで、毒をばら撒いて愉快そうに笑って帰っていく。まさに『毒薬』だ。


 裏じゃ『街の死神』なんて二つ名までできてる始末だ。呆れて言葉が出て来ねぇ。ありゃそこいらの犯罪者よりよっぽどタチが悪い。ていうか99%黒に近いグレーだ。


「ーーーー。」


 まぁ、色々やってたな。

 街のギャングの連中の仕切る闇カジノで大儲けして、ギャングの連中に命を狙われたりもしたし、街のやべぇ奴らを集めて、バトルロワイヤルだなんて言いながら大戦争をおっ始めた事もあったな。


 なんにせよ、あいつはそれを見て笑ってやがるんだ。


 あれはな、この歪んだ街が生み出した怪物だ。

 爽やかそうな顔で「ゲームをしよう。」って言って近づいて来るんだ。気がついた時にはもう手遅れだ。勝とうが負けようが、どんな結果になっても慌て出す相手の顔を見てあいつは「愉しいね。」って笑うんだ。


 この街のごたごたの半分はあいつが引き起こしてるって言っても過言じゃねぇ。それ以上かもな。全部あいつが愉しむ為のお遊戯さ。ここはあいつの遊び場だ。俺たちゃあいつの玩具おもちゃなんだよ。


「ーーーー。」


 ただの子供?それもあながち間違っちゃいない。あいつの行動に悪意は無い。ある時はあるが……まぁ、ある方が珍しい。

 あれは退屈が大嫌いなお子様なんだ。この世で一番怖いもんだぜ?力を持った無邪気な子供ってのはよ。


 この街じゃ嫌われ者だなあれは、大抵の奴があいつの名前を聞くだけで嫌そうに顔をしかめる。自分からあいつと近づきたがるあんたみたいな物好きは稀だ。


 ……少し喋り過ぎたか。まぁいいだろう。お前さんがこの話を聞いてもまだ、あいつに会いたいって言うんなら、お前さんも【愉しみ屋】の仲間入りだ。


「ーーーー。」


 どこに行けば会えるか……言っただろ、俺たちはあいつの玩具おもちゃなんだ。お遊戯箱の中に新しい玩具おもちゃが入っていて、しかもそれが自分に興味津々ときた、それをわざわざ使わないガキはいない。つまりそう言う事だ。


 一つだけ言っておく。あいつと会ったんなら絶対にあいつと『ゲーム』だけはするな。トランプ、テレビゲーム、言葉遊び、なんでもアウトだ。


「ーーーー。」


 その理由はなんだって?そのうち分かる。というか会えばあいつの異常性が嫌でも分かるはずだ。もしやばいと感じたら逃げろ、最悪強行手段を取っても構わん。この街じゃよくある事だ。それでもあいつは「愉しい」って言いやがるんだろうがな。


 気をつけろよ?気がついたら泥沼だなんて事は何度もあった事だからな。『毒薬』ばら撒かれる前に逃げた方がいい。それか、お前にとって『良薬』である事を祈っておくんだな。


「ーーーー。」


 じゃあ、俺はそろそろ行かせてもらうとする。あばよ兄弟。お前のこれからの人生に幸多からんことを願ってるぜ。




 ーーとあるBARにて、情報屋Dとの会話より


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