残響―Ⅱ
* * * * *
寂しくそびえ立つ丘に、少女はひとりきりで泣いていた。
悲しみに歪むわけでも、己を護るダレカを欲するわけでもなく、醜いこの世を憎んでいるのでもない。
ひたすら、自らと戦っているようだった。
可憐な容姿にかかわらず、少女の心は薄墨色で埋めつくされ、整った顔は整った顔のまま。
幸福で笑みが零れることを知らないようだ。
一目見た時から、気にかかる存在だった。
興味を持った、と言ったほうが適当な気もする。
依頼される前から、彼女のことは知っていた。
"コッチ"の者からすれば、彼女はあまりに目立ち過ぎた。だからというわけではないけれど、彼女にこの手を差し出した。
まるで、弱みに付け込むようにして。
"―――手ぇ、かしましょうーか?"
陽気を装った喋り方で。
襲われているのに、恐怖しているでもない彼女の口は言った。
"――…お願いします!!"
小さく、温かな手に触れたのは、それが初めてだった。微かに震えた手が、本当は、彼女は怖かったのだと、教えてくれた。
掴んできた少女の手を、強く握り返した。
彼女が結んでいると思っている「契約」なんて、本当はただの演技だ。私が本当に契約を交わしたのは、彼女じゃない。
生きた人間の願いをきくことは、してはならないことだから。
きちんと、彼ら自身の力で生きるべきなのだから。
―本来は。
懐かしい琥珀色の光の粒。
消えてしまいそうな危うい二つのそれは、数年もの間、漂い続けているのだろう。
空にも還れずに。
ただ、ひたすらに
愛を叫び続ける。
決して届くことのない、
透明な声で。
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