第二話 入浴
夕食を終えた俺たち2人は夕食の片付けを手伝った後お風呂に入っていた。不思議なことにこの世界には地球のものと似た入浴の文化がとても広く普及しているのだ。また、石鹸も地球のもの程の洗浄力はないものの存在しているので…
「ルゥ、石鹸を取ってもらえないか?」
「うん、はい石鹸」
ルクスは夕食の後しばらく経って大分立ち直っていた。石鹸を手に取り俺たちは互いに石鹸を泡立て身体を洗う。
「お兄ちゃん、背中洗うよ。」
「ありがとう、じゃあお返しに俺もルゥの背中を洗おう。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
少し手の届きにくい背中を互いに洗い合う。そのようにして互いに身体を洗い終わると湯船に浸かる。
「「ふぅ~」」
湯船に浸かると互いに思わず深く息を吐く。
「温かいね、お兄ちゃん。」
「そうだな」
などと意味のない会話をしつつのんびりと浸かっていると不意にルクスが不思議そうに口を開いた。
「ねえ、このお湯はどこから来てるの?」
ルクスは心の底から疑問そうに聞いてきた。俺は透き通った色の石…いわゆる魔石を指差して
「それはな…あの石が火と水の魔力を持っていてその力でお湯を生み出しているんだ」
「そうなんだ!なんだかすごいね。」
ルクスは完全にいつのもの調子に戻り、不思議なことに対して目を輝かせている。
「魔力で生み出しているんなら、お兄ちゃんも同じことができるの?」
「できるぞ、ただし火の魔力が使えないから水になるけどな。」
「水でもいいから見せて!見せて!」
加えて、ルクスは俺にお湯を出せるのかと聞いてきたので水になると断りつつ、腕を浴槽の外に突き出し詠唱文を唱え始める。
「魔力よ、水を生み出せ。流水生成」
詠唱文を唱え終える。そして、手に魔法陣を描くとその魔法陣からそこそこの量の水が溢れ出し浴槽の外へと落ちていく。
「すごい!すごい!」
ルクスは更に目を輝かせながら魔法陣から湧き出してゆく水を眺める。
「ねえ、僕もお兄ちゃんみたいなことできるようになるかな?」
「ああ、きっとできるようになるさ」
ルクスが心の底からワクワクした様子で聞いてきたので肯定する。
「そろそろ上がろう?」
「そうだな」
そんなことがありながらゆっくり入っているとルクスが言ってきたのでのぼせない内に上がろうと思い答える。
そうして俺たちはお風呂から上がりリビングへと戻って行き寝る準備をして寝室へ向かう。
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