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エルフの大森林 その5★

エルフの大森林 完

大鬼主(オークキング)』を討伐し、私たちは長老の下へ帰還する。私は『大鬼主(オークキング)の牙』を長老に見せると、長老は非常に喜び、すぐさま宴の準備を始めた。

大鬼主(オークキング)』を倒したことで、彼らの平和を脅かすものはもういないようだ。もちろん、アリーシェも宴の準備に参加するので、私たちは一度宿に戻ることとする。その間に、私は先ほど回収したクラフトを眺める。


「さっきからそればかり見てますね。何か気になる事でもあるんですか?」

「まぁね。これを見たときのアリーシェの顔が気になってね。これと何か関係があるようで、ないようでそれが気になって仕方ないんだ」

「リリアって、この里に来てからアリーシェさんのこと気になってますよね。何かあったんです?」

「いや、ただ確証はあるんだ。彼女がただのエルフではないことをね」


 私はクラリスにそういうと、クラリスは首を傾げる。そうしているとガイウスが、私たちが泊っている部屋に来る。


「二人とも、飯ができたみたいだぜ」

「ガイウスさん、女性の部屋にノックなしで入るの礼儀悪いですよ。まぁ、食事なら行きますけど」


 ガイウスはなんだよそれっという顔をしながら私たちとエルフの宴会に向かう。宴会の会場に向かうと、豪勢な食事と里中から集まってきたエルフたちが既に宴会をしていた。


「みんな、お待たせ!」

「アリーシェさん、お疲れ様です。こんなに豪勢な料理を振舞ってくれるなんて」

「みんなのおかげだよ。それだけ里のみんなも感謝してるから」

「それはよかったぜ。でも、こんなにいただいていいのか?」

「この森は獲物が豊富だから問題はないよ。それより、早く食べよ」


 アリーシェは私たちを席に案内する。そして、長老の声と共に宴か開始された。豪勢な食事に圧巻されたが、私はアリーシェの顔を見る。変な話、私は彼女を気に入ったようだ。だからこそ、彼女の正体に気づき、彼女を4人目のメンバーとして迎え入れたい。

 彼女が、『勇者 ユウキ』と同類の人間だから、パーティーに誘いたいのだ。


 宴会を終え、私たちは自分たちの部屋に戻る。不思議なことに今日は日記が一筆も進んでいなく、ただ夜空を見ていただけだ。

 

「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない。日記も書いたし、寝ようか」


 クラリスに心配されながら、私は眠りにつく。しかし、中々眠れないので、私は一人真夜中の里を歩く。月の光が差し込むように開けた土地だからか、周りを見渡すと木々で覆われている不思議なところだ。


「リリアさん。眠れないの?」

「アリーシェか。君こそ寝ないのかい?」

「私は見張り番をしてたから、まだ起きてただけ。こんな時間だし、もう寝ないと」


 アリーシェが、後ろを向いて離れようとしている。私は、彼女に話しかけ、溜まっていたもの言う。


「アリーシェ」

「何?」

「この2日、君のことを観察させてもらった。確かに、君の料理は実に美味しかった。でも、あの料理は東方の国にもない変わった料理だ。それ、どこで覚えた?」

「え? 何を言ってるの?」

「それに、これを見て君はどんな反応をした? 見られないものと感じたのか、あるいは()()()()だか」


 私がクラフトを見せると、アリーシェは驚いた顔をした。


「それって?」

「さっき拾ったクラフトだ。これを見た時の君は、どこか悲しそうな顔をしていた。それはまるで、故郷を懐かしむような、悲しい顔だ」


 私の問いかけに、アリーシェは沈黙する。そして、重い口を開き話し始めた。


「……やっぱり、リリアさんはわかっていたんだね……。長老しか知らない、私の正体を……」

「あぁ、そうだ。ここへ来た時から、そうにらんでいた。でも、これを拾った時に確証したんだ。アリーシェ、君が『転生者』だと」


 アリーシェは私の隣に座り、私の肩に頭をうずくまる。そう、私は彼女を『転生者』だと気づいていた。

 料理の時点でそうかもしれないと思ってたが、あのクラフトを見て確証した。彼女も『転生者』であることも。


「……辛かったろう。エルフ故の長寿で、異世界のご家族のことが今何をしているか。数百年、考えていたんだろ?」

「……うん。私、本当はすごく寂しいの……。本当の家族をおいて、私はこの世界にエルフとして、転生(うま)れたこと……。ふと一人になると、本当の家族のことを思い出して、こうして一人……泣いて……」

「無理もないさ。異世界の記憶をもって生まれる子供はたまにいる。彼らは自分の前世が何者で、何のために生まれたかを話し者もいれば、選ばれた勇者と思い込んでいる者もいる。ただ、君は稀なタイプだ。エルフで転生(うま)れてきた転生者なんて、めすらしいものさ」


 涙を流すアリーシェの頭をなでる。そして、私は彼女にあるお願いを言う。


「アリーシェ。私たちとパーティを組まないか? 君のその弓術が欲しい。どうか、ガイウスの援護と私たちの護衛を君に頼みたい」

「いいの?」

「あぁ、クラリスもガイウスも喜ぶだろう。それに、その料理スキルも、私たちにくれないか?」


 アリーシェは私の言葉と共に、泣き続ける。こうして私は、二人のいる方向を見ながら、アリーシェの頭を撫でるのだった。


 そして翌朝。ついに私たちはエルフの里を後にする。彼女もまた、長老に出発のあいさつする。


「達者でのう、アリーシェ。気を付けて行くんじゃよ」

「ありがとうございます、長老。みんなも元気でね」


 彼女は同胞たちに別れを告げると、私たちと共にエルフの里を後にする。クラリスは、地図を広げながら、北へと進んだ。


「いや~、良い里だったな~」

「そうだね。でも、目標は『港町 ダンツフィ』だよ。ここを抜ければすぐだ」


 私たちの後を彼女はついていく。


「どうした?」

「い、いや。私がこのメンバーついてよかったのかなって」

「そんなことはないぜ。むしろ、大歓迎だよ、なぁ」

「そうですね。強い中衛がいるのなら、安泰です! まぁ、正体には少し驚きましたが」


 クラリスとガイウスは、彼女を鼓舞する。


「さぁ、行こうか『アカネ』。ここからは本当の旅路だ」


 私はアリーシェことアカネに声をかける。

三浦 茜(アカネ・ミウラ)』。それが彼女の本当の名前だ。私たちは、彼女のことアカネと呼ぶことにし、パーティへと誘った。もちろん、長老にも承諾は得ている。これでメンバーは4人。クラリスと長年2人で旅をしていたがこの短期間で仲間が増えた。

 騒がしいのか、賑やかなのかがわからない集団だが、旅は道連れというものだ。

 こうして私たちは、『港町 ダンツフィ』に向かうのだった。

次回からは 『港町 ダンツフィ』に入ります。更新は未定です。

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