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カノンと土の塔  作者: 一ノ瀬一
第3章 七不思議編
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第23話 二つ目

 七不思議について各々で調査することが決まった翌日、人魂を調査した五人は始業前に集まっていた。集めた張本人であるシルヴィが神妙な面持ちで口を開く。

「二つ目の七不思議が分かったの」

「さすがシルヴィ……研究会で訊いたけど私の方は何も分からなかった」

「俺たちもだ。それで、肝心の内容は?」

「『教科書を机の上に忘れて帰ると精霊に落書きをされる』だって」

「なぁ、それってやっぱり……」

「まあ先生が噂を流してるのは確定と考えてよさそうね。下校時刻以降は鍵の閉まっている教室でも先生なら開けられるし、場所が机の上って指定されてるのはおそらく教室の外から見てもチェックしやすいから。で、教科書にされるっていう落書きはおそらく──」

「「「「術式」」」」

 皆それほど大きな声は出していなかったものの、声が揃ったことで周りから少し注目を浴びる。しかし、話しているのが殿下のいるグループだと分かった途端に目を逸らしていく。

「十中八九そうよね、ってことで今日あたしは教科書を置いて帰るから。一応、本当に落書きされる可能性もあるし教科書を置いてくかは皆の判断に任せるけど」

「今日置いてく。明日から貰った術式を練習したいからな」

「私も」

「そう言うと思った。しっかし、精霊だなんておとぎ話の中だけで本当にいるわけないのに……もう少しマシな話にならなかったのかねぇ」

「たしかに」

「…………」

「あれ、殿下どうかされましたか?」

「ん? ああ、何でもない。なんで先生はただ術式を配るような真似をしてるのかと思って」

 やはり殿下も私と同じことを考えていた。口には出さないけど、シルヴィも他の二人も考えているんだろう。殿下は本当に分からないという表情で真剣に考えているようだけど、シルヴィはどうだろうとシルヴィの方を向くのと同時に口を開くシルヴィ。

「そんなのどうだっていいじゃない、貰えるものは貰っておけばいいし。あたしが思うに、課外授業みたいなものなんじゃないかな。ほら、魔術師にとって洞察力は重要だって先生よく言ってるし」

「まあそれもそうだな」

「それじゃ、各自研究会の後教室に戻って教科書を置いていくってことで」

 廊下からはカツ、カツ、とジュアン先生の履いている革靴の音。先生に見られる前に私たちは素早く席についた。




 翌朝、一晩教室で寝かせた教科書はどうなったかと学園に来てみると、扉を開けた私にシルヴィが意味深な笑みを投げかける。これは術式があったということだろう。

 早速教科書を開いてペラペラと捲ると、術式の一覧が載っている教科書の最後に昨日まではなかった模様があった。術式を見たところ、どうやらこれは地面から壁を生やす土属性魔術のアレンジらしい。

 高さや壁の作り方はよく知られたものと同じだけど、形状の部分が違う。角度がこうで……長さが二倍くらいあるから……半円状に曲面の壁を作る魔術みたい。

 人魂のときに貰ったのは生成したものを制御する魔術で、こっちはもともとあるものを動かす魔術──系統の違う魔術を選んだのは満遍なく生徒に学んでほしいため? まだ分からないけど、七不思議全ての術式を集め終わったころには分かっているのかもしれない。

 それにシルヴィは二つ目だけが分かったと言っていたけど、不自然な気がする。七不思議って名前ならみんな七つが何なのか気になるはず。なのに、大まかな内容すら他の五つは分からないというのは、流している先生が噂を作りながら流しているから?

 みんなあまり気にしていないけど、術式を配っているのはジュアン先生一人なのか、それとも学園の先生たちがやっているのかもまだ分からない。人魂の時点でジュアン先生が関わっているのかは確かだけど、精霊の方は誰がやったか分からない。

 まあ結局その辺もシルヴィの言うように「どうでもいい」のだけど……とりあえずこの魔術も使えるようになっておかないと。


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