第21話 〜ハル〜
「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
今まで、圧倒的な格下だと思っていた3人が唐突に、その本領と頭角を現し、ブルーベアーは死の匂いを濃厚に感じ取る。
だが————
その考えになるのがブルーベアーは遅すぎた。
————グチャッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
ブルーベアーの右手が弾け飛ぶ。
フールの棍棒術、追撃の効果が今で始めた。
「グオ?」
ブルーベアーには現状況が読み取れない。
自分の最も強固に感じていた、右腕が無くなり、そして、粗末な剣が体を蝕んでいく。
このあまりにも不利な状況、自分の自尊心がズタズタに。
そのことにより、ブルーベアーの憤怒を買う、3人。
そう、ブルーベアーが怒り出したのだ。
「来たぞ!」
ベアー系の魔物は怒り出すと、とても怖く、とても厄介。
目が赤くなり、力、俊敏、耐久、全てのステータスが跳ね上がる。
特に力が強くなり、その力は———
————ドガァンッッッッッッッッッッッッッッッッ!
「なっ!?」
ブルーベアーは左手で地面を軽く殴ると、地面はヒビがはいり、地面は割れる。
その範囲は約50メートル。
勿論、スアイフ、デデルの地面も割れている為、2人は体勢が崩れる。
それと同じに、ブルーベアーに1番近いフールが1番の影響を受ける。
そう、体勢が崩れたフールは格好の的だ。
「そうはさせないよ! 上級錬金術 『空気の壁』!」
デデルはフールの目の前に、薄い空気を硬質させた特殊な空気状の板を1000枚以上、出現させる。
空気とは極小量の魔力で創り出せることが出来、しかも極小量のMPで硬質化させることも出来る。
例え1枚が柔らかくとも、何千枚とある空気の壁はそう易易と壊せることは出来はしない。
しかし、そんなことはブルーベアーにとっては関係がない。
ブルーベアーならば、いとも簡単に壊せることだろう。
では、どうするのか?
もう皆は分かっているだろう。このパーティーには———
《付与魔術師》がいる。
「【その空気はより硬質に その盾はより強く!】付与魔法『超硬質化』!」
スアイフは何千枚とある空気の壁に全て、硬質化の付与魔法をする。
その圧倒的な実力と、魔力。
この3人の完璧な連携は、この国随一。
これにはブルーベアーは手足も出せず、自分の一撃を止められる。
筈……だった————
————バリンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
全ての空気の壁をぶち破る。
これが圧倒的な強化種、圧巻的な強さ———
これがブルーベアーだ。
「やべぇなこれ!」
フールは一応、棍棒に気を纏わせ防御する形はとっていたが、この攻撃を喰らったら確実に瀕死。
「ぐっっっっっっっっ!?」
軋む筋肉、悲鳴をあげる体。
消費される多大な気。
フールはブルーベアーの攻撃を、素直に受け止める。
1秒、確かにフールは体勢を維持し、攻撃を受け止めた。
ただ———
それまでだった。
————ドンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
フールは木を潰し、壊れさせるほどの勢いで約……200メートル程、吹き飛んでいった。
「……デデ———」
「ゼロだよ」
スアイフの言いたいことを確実に理解し、その上でその言葉を遮り、絶望の勝率を言い放つ。
フールは再起不能、もしかしたら死んでいる。
いいや、もしかしたら死んでいるではない。もう死んでいるという、思考に2人は切り替える。
また戻ってくる前提の作戦、立ち回りなどそれは無謀に過ぎない。
しかし、戻ってきたとしてもフールは満身創痍、まともに動けるはずがないだろう。
圧倒的な死の匂いが鼻にこびり付き、デデルは冷や汗と苦笑いを、スアイフは震える手を抑える。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ブルーベアーは大きい咆哮を放ち、俺はまだいける、お前たちを殺すまではという存在を放つ。
引くことも、戦っても全てに死が待っている。
「…………あれを使うわよ」
「……………………死ぬよりはましか」
2人は覚悟を決め、後衛職のスアイフが————
前に出る。
「……ふぅーーーーーーーーーーー!」
フール、スアイフ、デデル。
3人にはそれぞれ、国家レベルの秘匿情報を持っている。
その情報はこの国には多大な貢献をし、他国に知られたら多大な損害になる。
その1つであるモノを使おうとしている。
————スタスタスタスタッッッッッッッッッ
そこへ、1人の男性が颯爽と現れ————
————ストンッ!
ブルーベアーの首を切り落とした。
一振。
刀を持った男性があの圧倒的な強さのブルーベアーを一振で葬った。
ブルーベアーは首が切り落とされたことが、分からないのか体だけが動いたが———
瞬時、死んだことに気づき地面に倒れる。
「危なかったでござるね。拙者が来て良かったでごぞるよ」
その独特な喋り方、そして……古風な格好。
その格好の特徴はあの国の服に似ている。
「あ、挨拶がまだだったでござるね。拙者、転生国家の横綱級 力士 【人斬り春凮】こと、ハル・ミウラでござる」
「地球人か……」
【人斬り春凮】
その名の通り、転生国家随一の戦闘の実力の持ち主であり、切手の刀の使い手である。
その実力は勿論、転移された時に授かった能力もあるが——
それ以上にハルの刀の才能がずば抜けていたとでもある。
しかし、何故、この国に侵略し続けている国のトップクラスの実力の者がいるのか?
その理由には2人は完全に気づく、ハルの目線によって。
「ミルちゃんか……」




