第20話 〜勝機〜
固有スキル『殺人者』
固有スキルとは地球人、異世界人が誰でも持っている特殊で、多種多様すぎなほどあるスキル。
そのスキル次第で人の人生は変わり、様々な形に変化する。
その中でもミルが所有している『殺人者』
この殺人者のスキルは常に発動しており、血の量や、臭い、何かを殺すと殺人衝動、殺したい衝動が抑えられなくなってくるのだ。
そう、今ならばブルーベアを殺したら次はフール、スアイフ、デデルを殺していただろう。
その危険と、自分の意思と裏腹に殺す衝動に駆られるミルを見てられず、フールはミルの頭を棍棒で叩き気絶させる。
だが、この行為。とんだ大馬鹿者の行動である。
ホワイトベアーに対しても逃げていたフール達が、その圧倒的な上位種、ブルーベアーを殺せるわけがない。
なのに———
この3人の目には、戦いの闘志は消えていない。
いや、湧き出ている。
「…………いけると思う人?」
「むり」
「むりよ」
「だよな〜、嬢ちゃんに任せておけばよかったな」
フールは左手で自分の頭を掻きながら、目を見開き、ブルーベアを見つめる。
「だけど」
「ああ」
「そうね」
1人は棍棒を、1人は杖を、1人は手を向け———
「「「いける気しかしない(わね)」」」
フールは棍棒を構え、走り出し横殴りでブルーベアーに殴りかかる。
その間にデデルは錬金術を、スアイフは詠唱が終わりフールに付与魔法を施す。
「付与魔法『超筋力増量』」
スアイフの付与魔法によって、筋力が著しく上がるフール。
その棍棒は留まることを知らない。
「うおりやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!」
フールは大きくジャンプをし、ブルーベアーに棍棒を叩きつける。
それをブルーベアーは左手と右手を交差させ、ガードをする。
————グウィンッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
圧倒的な衝撃により、辺りに衝撃波が波打つ。
木々は揺れ、石は吹き飛ぶ。
この圧倒的な攻撃の前にブルーベアーは大ダメージを負うはずだった———
「グオオオオオオオオオオオオオ!」
プルーベアーが薙ぎ払いをし、フールは吹き飛ぶ。
「ぐはっっっっっっっっっっ!?」
2つの木を貫通し、3つ目の木でやっと止まる。
「ブッ!」
圧倒的な衝撃にフールは口から血反吐を吐き、立ち上がり、歩き出し、ポーションを手に取り全てを飲み干す。
「俺はまだまだ行けるぞ!」
このパーティー、前衛職の者が1人しか居ない。
フールが抜ければ、それはタンクが居なくなるも同然。
それを分かっている、フールだからこそ立ち上がり、また走り出し、ブルーベアーに攻撃をする。
「フール流 棍棒術 『ぶん殴り』!」
フールは棍棒に『気』を纏わせる。
この世界には魔法と対局の『気』というものがある。
それは魔力などのものではなく、自分の命の火を燃やし、身体能力を格段にパワーアップ、剣や弓、棍棒などの物に気を纏わせ、切れ味、威力を格段に上げることができる。
しかし、それにも弱点がある。
気を鍛錬しすぎると、魔力、魔法の扱いが極端に難しくなる。
それは魔法にも当てはまり、魔力や魔法を鍛錬しすぎると極端に気の扱いが難しくなる。
フール 彼は棍棒使いとして『気』を鍛錬してきた。
その気の量は一般人とは比べ物にはないぐらい、強く、堅い気になっていった。
そう、その一撃はとても重く、とても高威力。
だが———
————ガァンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
「くっっっっっっっっっ!?」
簡単に弾かれてしまう。
「デデル!」
「……分かってる。中級錬金術『百の飛剣』!」
デデルかブルーベアーの周りに、百の粗末な剣を現れる。
その粗末の剣になったのはMPを極力使わないための荒業。
MPが高かったのなら、良質な剣を生成出来たはずだが——
しかし、今はそんなことは関係ない。
百の剣はブルーベアーへと放たれる。
————グサッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
「グオオオオオオオオオオ!?」
百の剣の内の、5本がブルーベアーに刺し込む。
フールの棍棒、ミルの『吹き荒れる風の刃』でも傷一つ、つかなかったブルーベアーの硬質な体毛と、皮。
それなのに、粗末な剣が刺さるなど有り得ない。
その理由は———
「スアイフにしては上出来」
「そろそろ私の実力を認めてもいいわよ」
そう、スアイフの付与魔法によって、あの粗末な剣は切れ味を増し、刺さったのだ。
そして、この2人が圧倒的に輝き、圧倒的な程に活躍している中、1人だけ活躍せず、1人だけ『気』を溜めてる人物がいる。
「フール流 棍棒術 『追撃追砲の棍棒』!」
フールは棍棒でブルーベアーへと殴りかかる。
その圧倒的な速さと、何故か、イマイチ不思議な圧倒的な力を感じ、ブルーベアーは咄嗟に右手の爪で受け止める。
————グギィッッッッッッッッッ!
ブルーベアーの右手の爪が————
砕け散る。




