表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
備前宰相の猫・二巻  作者: 山田忍
23/30

猫と地図

「いらっしゃ~い。饅頭はいかが?」

「……」

 如月が饅頭を売っている。ただ、着ている服は、なぜかバニーガールだ。

「饅頭、買って」

「買います!」

 男性客が鼻の下を伸ばして饅頭を買っているのを見て、呆れていると、

「今から、全員が買った饅頭の個数が千個超えたら、ここに居る全員にボクの胸、好きにしていいよ」

 如月は恥じらうようなそぶりは無く、何事も無いように笑って言った。

「十個買った‼」

「こっちは百個だ‼」

「はいはい。まいど」

 饅頭は飛ぶように売れているが……それよりも、

「如月、なんしょん?」

「猫ちゃん。見たら分かるだろ、饅頭売っているって事ぐらい」

「饅頭? いや、どう見ても、いかがわしい事の間違いだろ」

 男性客の表情は饅頭を買うのではなく、違う店の顔だ。例えるなら、エリンギが好きな店の様な……。

「いいじゃない。人助けよ」

「人助けねえ」

「それより、猫ちゃん。饅頭買わない? 楽しいわよ」

「買わねえよ。饅頭より!」

「何かあるの?」

「実は、かくかくしかじかで——」

 数珠丸恒次が盗まれた事を如月に説明した。

「あーら。そんな事があったの」

「それで、イルカ見かけなかったか? イルカ型のタイムマシン」

 取りあえず、如月にも聞いてみる事にした。もしかしたら、何か知っているかもしれないと思ったが、

「そうねえ……カブトムシなら、見た事あるわよ」

「何だよ! カブトムシじゃなくてイルカだよ‼ イ・ル・カ‼」

「冗談だよ。イルカのタイムマシンなんて見ていないわ」

 見ていないのか。

「そうか。じゃあ、何か分かったら教えてくれ」

「そう。分かったら、でいい」

「じゃあ、またなー! 如月」

 饅頭屋で怪しげな事をしている如月と別れ、また情報を探しに出かけた。

 そして夜、オレの部屋で八郎とエリンギが集まった。

「まず、オレからだ。町中、聞いてみたが、知らないみたいだ」

「猫丸は収穫無しか」

「それで、八郎。何か分かったか?」

 八郎は落胆して、

「猫丸、何も分からなかった」

「そっか」

「今の所、他の大名も情報はつかめていない様だ。えりんぎは?」

 エリンギはアクビをして、

「雌猫に聞いたが、分からん。野郎には聞いていない」

「何だよ‼ エリンギ‼ オスにも聞け‼ オスにも‼」

 オレがエリンギを揺さぶっていると、八郎はため息をつき、

「猫丸、明日は二人と一匹で大坂の外に出るぞ。そうしないと、見つからないかもしれない」

「そうだな」

「楽しみだな。明日もガールハントだ‼」

 エリンギの目が輝いている。

「エリンギ、違うぞ」

 オレが呆れて、エリンギにツッコミを入れると、

「猫ちゃん! 元気?」

「「うわっ⁉」」「ふにゃ‼」

 上から、如月が飛び降りてやって来た。ただし、服はバニーガールではなく、露出度の高い普段着だ。

「如月、何だよ。急に?」

「猫ちゃん。実はね……聞いたの」

 人差し指を唇に当て、セクシーに如月が擦り寄って来た。

「聞いたって?」

「イルカ型のタイムマシンだよ。はい! 地図」

 如月はオレに紙を手渡し、去ろうとする前に、

「如月! 何で分かったん?」

「ああ、客に聞いたんだ。そしたら、その事を知っているヤツが居てね。それで、更にサービスして、教えてもらったって訳さ」

「サービス……」

 聞くのは、やめよう。

「あら、してほしい?」

「絶対に嫌です」

 オレが露骨に嫌がっているが、八郎は真面目な顔で如月に、

「如月。何故、知ったのかは分かった。だが、如月なら、一番に小西殿に話すだろう。何故、猫丸に教えるのだ?」

 ——そうだ。

 確かに、イルカ型のタイムマシンは聞いた。だが、如月なら弥九郎さんに、それを教えてもいいと思うのだが……。

「弥九郎様には、数珠丸恒次の場所が分かったわ……って、言ったの。その代わり、報酬として、ボクに濃厚な一夜を……欲しがると、『それやったら、いらんわ‼ ボケ‼』ってキレて追い出されたのよ。それで、ボクに見つけたら教えてくれと、言った猫ちゃんに教えただけさ」

「そうか。それで猫丸に」

 八郎が感心していると、

「それじゃあね。猫ちゃん」

 ウインクをした如月は飛び上がって、何処かに消えた。

 こうして、オレ達だけになり地図を見ると、

「森の中に隠れているのか」

「これは見つかりにくいな」

「八郎。どうする?」

 場所が分かったので、八郎に聞くと、

「そうだな。探しに行くか」

「今から⁉ もう夜だぞ⁉」

 八郎は真剣な表情で、

「夜でも探しに行かなければ、連中がいなくなってしまうかもしれない」

「……その可能性はあるな」

 今は恐らく、如月の地図通りかもしれないが、朝になったら、連中のイルカ型のタイムマシンが居なくなっている可能性がある。

「今からか……女か雌猫はいないか」

 真剣な八郎に対して、エリンギは眠そうな目だが、顔にはスケベ感が出ている。

「エリンギ! それより、数珠丸恒次‼」

「ふにゃ~あぁ」

「猫丸、今から準備をするぞ」

 八郎は部屋を出て行った。

「ああ、分かった! エリンギもだぞ」

「……はあ。分かった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ