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10話 コンタクト失敗




 何はともあれ幽霊のレイさん、地上に来て初の魔獣撃破です。


 ……こんなに達成感の無い勝利も珍しい。

 まぁ、俺幽霊だしな。それに、ドラ子達が苦戦の末勝利したケツァルコアトルと違って、あからさまな雑魚だし。

 ちなみに、命を奪う事の忌避感は二ヶ月の間に克服済。ドラ子達がまだ弱かった頃、ちょっと目を離した隙に魔獣に襲われていた事があったのだ。それを助ける為、思わず加減とか考えずにマジックガンをぶっぱしてしまった。

 ……結果としてドラ子達は助かったものの、地形が大きく変わる程の破壊行為をしてしまった。小さな命がどうのこうと言う前に、結構な数の命を奪ってしまったのである。

 だが、あまりショックというものは感じなかった。

 自分がこんな存在だからなのか、それとも元々の性格なのかは分からないが、それとは別に自分の力のとんでもなさを実感した。だから、それからは自分の力をコントロールするべく、より一層の修練を積むことにした。

 まぁ、その修練の結果がこれなのだが。

 まだまだ、力の調節とやらは難しい。まあ、浮島の魔獣達よりも地上の魔獣は脆弱だという事もあるんだろうが。


 ともあれ、脅威は居なくなったわけだ。

 早速、この世界の人間達にコンタクトを取ってみましょう。……最初の相手がこれでいいのかという気持ちはあるが、選り好みしている状況でもない。


 俺はドラ子達に身を隠すように指示すると、そろりそろりとへっぽこチームに近づく。

 いくらへっぽこどもと言えども、ドラ子達と顔を合わせるのはまだ心配がある。まずは、俺が見えるかどうかの確認をするべきだろう。


 いきなり目の前でゴブリンが瞬殺されて唖然とした様子のへっぽこ達だったが、やがてチームリーダーの剣士が笑い声を上げた。


「や……やった! 見たか、俺の剣! 俺の剣の一振りでゴブリンはおろか森の木々もバッサリだぜ!!」


 ……は?


「ほ、本当かよ。すげぇな、遂に覚醒したのかケン!!」

「す、凄いよ!! これなら、どんな敵が現れても大丈夫だね!!」


 戦士と僧侶が褒め称えると、剣士はまんざらでもない表情でニヤリと笑い、高々と剣を掲げたのだった。

 ……なんかの勝利ポーズっすか?


「……ちょっと待って」


 浮かれている様子の三人であるが、そんな中で一人難しい顔をした魔法使いが声を掛ける。

 まぁさすがに今の斬撃が剣士のものではない事に気づくよな。


「その前にゴブリンの頭を吹き飛ばした謎の光……。ひょっとしたら、あたしの魔法かもしれない」


 ……は?


「ああ、ケンの斬撃に気を取られていたが、あれはマリエの魔法だったのか」

「凄いよマリちゃん! 一撃でゴブリンの頭を吹き飛ばすなんて、なかなか出来る事じゃないよ!」


 魔法使いは「ふふっ」と不敵な笑みを浮かべると、バサッとマントを翻してポーズを決める。

 なんだろう。格好つけているつもりなのかな?


 いやいやいや。

 いくらなんでもそれはねぇだろ。

 俺の存在を感じ取って感謝しろとまでは言わないが、何故に自分達の実力で解決したのだと勘違いするのだ?

 普通に神様の奇跡に感謝するとか、何者かが助けてくれたのだとか思わね?


 ないわー。

 何か結構本気でイラッとしたぞおい。


『助けたのオレなんですけどー!!』


 ………

 ……

 …


 その後、しばらく様子を見ていたのであるが、さっきの俺による助っ人的行動はへっぽこチームの隠された力が奇跡的に発動したという結論に達したのであった。


「くそっ! やはりあれは一時的に力が覚醒したのであって、何度も繰り返すのは無理か……」

「まあ、生きるか死ぬかの瀬戸際だったからな」

「そうね。あたしも魔力がすっからかんで、さっきみたいなのはもう撃てないみたいだし」

「でも、一回出来たんだから、また出せるよ!!」


 あぁ、こいつ等アホだったんだな。

 初めて遭遇した人間がコレって、なんて運が悪いんだ俺は……。


 ……もういいや。

 アホどもとコンタクトを取るのは諦めて、先を急ぐことにした。


 一応、確認したかったことは出来たからな。


 やはり、俺の姿も声も彼等は見えないし、聞こえない。

 魔力を介して干渉は出来るが、この世界に生きる者と俺は触れ合う事が出来ないみたいだ。


 いくらチートな力を持っていても、俺は所詮幽霊か―――


「がう」

「きゅう」

「ぐう」


 ドラ子達と別れた場所に戻ると、俺の姿を確認した途端に飛びついてきた。

 全く、こんなにでかくなったのに小さい頃と何にも変わらないな。……まあ、まだ生まれて2ヶ月ちょいだから、まだまだ赤ん坊みたいなもんなんだろうけど。


 それにしても、こいつ等もこの世界の生き物の筈なのに、なんで俺の姿が見えたり、触れ合ったり出来るのかねぇ?

 まぁいいや。改めて、俺は何のためにこの世界に存在しているのかが再確認出来たよ。


 俺はドラ子達の頭を撫で終わると、今後の方針を改めて伝える。


 まず、人間と交流を持つ事は諦めた。

 予想はしていたが、向こうがこちらの姿を視認できないのでは仕方がない。

 でも、交流は諦めるが、人間の世界そのものには非常に興味はある。なので、まずは人間の住む町に行ってみましょう。

 それに、あのへっぽこチームから面白い話は聞けた。


「今のケンなら、王都にある伝説の聖剣も抜けるんじゃねぇか?」


 戦士が言った言葉に俺は非常に興味を覚えた。

 伝説の聖剣?

 アーサー王のエクスカリバーよろしく、抜いた者こそが伝説の勇者とかそういうアレか?


 それは凄い面白そう。是非とも見てみたい!


 という事で、幽霊である俺としては人間の世界はあくまでも観光感覚で臨むとしよう。ドラゴン育てながら、ファンタジー世界をのんびり観光というのも面白いじゃないか。


 俺は今度はソロネの背中に跨ると、ここから東にあると言う王都とやらへ針路を定めた。


 ……ついでに、こっそり助けた俺に対して感謝の欠片も抱かなかったへっぽこチームに対して、俺は魔法によってあの付近の周囲の気温と湿度を上げるという嫌がらせをした。

 真夏のじめっとした暑さのアレである。あれだけ厚着をしたアイツらなら、効果てきめんであろう。


「……なんか急に暑くなってね?」

「何? 力が覚醒した副作用かと思っていたが、お前もなのか?」

「あつい~~」

「脱ぎたい……でも、こいつ等の前で裸になんてなりたくないー」

「うるっせぇ! この中で一番厚着なのは俺なんだぞ!!」


 嫌がらせ成功。

 あのアホどもとはもう会いたくないな。




次話、ようやくヒロイン登場します。

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