No.5 ××中
どうも鬼無里です。
うお~!!いつの間にか日刊ランキングに載ってる~!!
ていうか、結構上位!!
作者は小心者故にここまでいきなり上がると何者かの策略かと疑いをもってしまいます。
感想も何件か届いており、皆様の鋭いご指摘のおかげでかなりのミスを発見できました。不甲斐ないばかりです。
今まで、感想などとは無関係だっために返信が遅れてしまっています。
申し訳ありません。
そんなわけでド〇えもんの映画BGMを流しながら書き上げた第五話です。
どうぞよろしくお願いします。
「――オイ、いったいアイツはどこへ消えた?」
「分からない……。先ほどまであった気配が完全に消えている。」
「くそっ!!……そういえば、お前確か『索敵』の魔法が使えたはずだよな。かけてみろよ。」
「さっきから使ってますよ~。それなのにまるで“阻害”されているかのように上手く位置が特定できないんですよ~。」
「はあ!?魔法の“阻害”そんな話聞いたことが――」
『背後がガラ空き』
「がっ!!」
木から飛び降りた俺は、その木の根元付近で話していた三人のうちの一人で最も声を大きくしていた奴――恐らく獣人族の虎種である大柄な男の背後の着地し、気付かれるよりも速くナイフで喉を深く切り裂いた。
ナイフを素早く引き抜いて、すぐさま次の動作へと切り替える。
「なっ!!」
「まさか木の上に!!そんな全然気配がしな――うごっ!!」
驚いている二人のうち、さっき『索敵』を使っていたローブ姿の奴へ向かい、右ナナメ上から振り下ろすようにして首筋に蹴りを入れそのまま右足を振り抜いた。
バキリ――と、首の骨を砕いたのかいい手応え――もとい足応えが伝わってくる。
シテンと同様に、その小柄な奴は近くの木に向かって飛んでいく。
だが、俺はその後の結果を確認する間を惜しみ、蹴りを放った体勢から体を捩じるようにしてワザと倒れて地面を転がる。
ビュッ――という風を切る音とともに直前まで俺の体が在った場所を、ショートソードに似ている剣が横に薙いでいくようにして通り過ぎた。
「チッ!!」
斬りつけてきた人物から悔しそうな声が漏れる。
もちろん三人のウチの最後の一人。
背が高くヒョロっとした体形で目つきの鋭さや鱗がちらほらと肌から生えているところを見ると、蛇種あたりの爬虫類系の獣人族だと思われる。
仲間のことに気を囚われないですぐさまに斬りかかってくることは流石だが、爬虫類系の見た目をしているだけあって冷血だけど、もう少し殺気を隠さないと簡単に気付かれてしまうぞ。――俺みたいに。
ああ、そうか。仲間を殺されて怒っているのか。
それなら殺気を上手く抑えきれていないことにも納得する。まあ、本当に仲間だったのかは俺には分からないけど。
俺にも仲間を殺された怒りで殺気を抑えきれなくなった経験はあるから、なっ!!
柔道の受け身よろしく転んだ力でそのまま起き上がる――その一連の動作の中でまるで水が流れるが如く、なめらかに、虎種の男を切り裂いた血が付着して赤い色に染まっているナイフを投げつけた。
「な!!――くっ!!」
俺が起き上がるところを斬りつけるつもりだったのだろう。
ちょうど剣を振り上げていた背の高い奴の顔に向かって飛んでいくナイフは、しかし顔に当たることはなかった。握っていた剣を離し、顔を庇うようにして振り下ろされた左手の甲に突き刺さることによって止められた。
兜でもあればナイフなど気にしなくてもよかっただろう。また、回避できれば手で受け止めるよりはまだそちらの方が幾分もよかっただろう。
しかし、背の高い奴は戦争でもないので兜などつけていないし、回避するにも俺を斬りつけようと足を踏み込んでいて、すでに重心が、体重が、片足にかかってしまっていて困難を極める。
俺のように体を倒すという方法もあるがこのタイミングでは既に不可能。
首を傾けて避けるという手段も有ったのだろうが、投げつけられたナイフは刃渡りが包丁やちょっとした小刀よりも長く、そんな大きなナイフを首を動かすだけで避けることなど少なくとも俺には不可能な手段だ。
投げつけることが分かっていればまだ避けることができたかもしれないが、今回は完全に不意を打っている。
だから、左手で顔を覆ってしまった。
当然、顔を覆っているのだから視界も覆うことになる。
それに、ナイフが左手に突き刺さった痛み一瞬目を閉じてしまっている。
そんな行為は隙になる。俺は隙を見逃すような甘い奴じゃあない――。
一気に距離を詰めて背の高い奴に迫り、腰のベルトから外した新たナイフを喉ぼとけ辺りに突き刺した。
「がっ…………!」
――やっぱり、断末魔の叫び声が聞こえてこないこの殺し方は騒がしくないのでいい。
念を入れて首を俺から見て右に切り裂いてナイフを抜き取り、血飛沫が上がる反対に方向に体を引いた。
ナイフを握っていた右腕の学生服の袖に少しだけ血がかかったが、防水加工をしてある学生服は水洗い可能なためあとで洗濯すれば落ちるだろう。
ドチャリ、と血を流しながら背の高い蛇種っぽい奴は倒れ、一度だけ痙攣を起こして全身を震わせた後、そのまま動かなくなった。
「ふぅ……。」
小さく息を吐く。
これで十四人目といったところ。
やっと半分。
蛇種らしき獣人族の左手の手の甲からナイフを抜き取る。
「あっちゃー……。刃こぼれしてる。」
オーガのように分厚い皮を持っているわけではないが蛇種などの爬虫類系の獣人族独特の鱗を貫いたせいでナイフは刃こぼれを起こしていた。
首を切り裂いたナイフも同様。
この二本のナイフは特注品ではない。武器屋などで扱っている安物のため、強度が脆く、人筋肉を刺した程度でも刃こぼれする。
刀のように鋭ければ骨ごとバッサリ切っても三回ほどはもつのだけれども。
しかし、西洋風のナイフ、もちろんこの異世界には西洋風のナイフとかそんな区別があるわけではないが、とにかく元の世界で西洋風と呼ばれることもあるナイフは基本的に刃が脆い。もともと人を斬ることを想定していないナイフなどは尚更だ。
実は今のところ同じように何人か葬り去ったことでナイフを五本ほど消耗してしまっており、ゴブリンやシテンに投げたナイフなども回収していないので計八本も消耗している。
できるだけ体術などで殺そうとしているのだが、人間族より獣人族は総じて体格が良いため、体術だけで殺すのは難しく、ナイフで殺した方が手っ取り早い。
そんな理由でナイフが大量消費。
まあ、移動するのが面倒だから投擲しているナイフを回収していないからさらに消耗しいてるのだけれども。
帰りのことを考えると、もうこれ以上はナイフを使わない方がいいのかもしれない。
そう思いいたって、ベルトから携帯用の警棒を取り出した。
普段は二十㎝に満たない大きさだが、釣竿のように二段・三段と伸ばすことができ、持ち運びに非常に便利な警棒だ。
ああ、別に携帯用だからってそれ以外の警棒を持っているわけじゃないから。小さくすることができるから携帯用と呼んでいるだけだから。
金属棒という呼び方をするかもしれない。
これならば獣人族でも頭を砕くことができるだろう。
魔物相手だとたまに無理だけど。
地面に転がっている三体の死体に目を向ける。
……確かに気配を隠すことは上手かったが、実際に戦ってみると実力がなさすぎるように感じた。
はっきり言って弱い。つーか雑魚。
暗殺者の端くれならまず背後を取られることなどしない。
うーん。
近くの木に背中を預けて考える。
暗殺者のように隠密行動が上手くて実力があまり高くないと考えると…………。
盗賊かな。
どうやら思ったより面倒なことになりそうだ。
後でシテンに訊いてみることにしよう。
……ちなみに、そのシテンも順調に片付けているようで、俺とは違って時折『ギャァァァぁぁ!!』とか『ぐわぁぁぁ!!』とか『あべし!!』といった断末魔やそれに似た声が森の中から聞こえてくる。
十人以上は殺しただろう。
それにしても今日は生き物を殺してばかりだな。
こんな大自然に来ているのに緑豊かな自然で心を癒すどころか、ある意味で殺風景な赤い景色で悩み事をすることになるとは皮肉なものだ。
自虐的な笑みがこぼれかける。
もっと平穏が欲しい。平穏が。
帰ったらまたウエイターのアルバイトでもしようかな……。
……駄目だ。今、暗殺ギルドのギルドマスターに選抜されてしまったという問題があった。
絶対に一悶着あるだろうな。
そんなことで頭を悩ませながら、どこからか漏れてきた殺気に反応して、俺は反射的にその場から飛び退いた。
カカカカッ、と凭れ掛かっていた木にダーツのように矢が四本突き刺さる。
矢をよく見てみるとクロスボウによく使われる矢で、先端から毒薬と思われる液体が流れ出ていた。
『チッ……!』
オイオイ、目標を前にして舌打ちとかどんな三流だよ。
漏れてきた殺気もそうだけどレベルが低い。それも、矢を放ってきた奴等だけでなく今まで殺してきた全員の。
なんだかやる気がなくなってきた。
まあいいか。
さっさと終わらしてギルドマスターの一件について話をつけなければ。
――そんなことを思いながら、警棒を片手に森の中を疾駆していく。
ずっと虐殺のことを描写していても読者の皆様方にとってはつまらないことだと思うので、ここらで少しシテンのことについて話そうと思う。
仕事のこともあり、あまり顔を合わせることもなかったが、それでもシテンと俺は顔を覚える程度には会っていた。
これは暗殺者にとっては稀なことで、隠密行動中は仮面をつけたり、頭巾やローブを深くかぶったりして顔を隠すことが普通である。
また、暗殺ギルドに依頼を受けに行ったり、呼び出されるときには大抵がならず者で信じられない連中ばかりがギルドには集まっているので、ギルド内でも顔を隠すのは常識。
俺も仕事中や暗殺ギルドに出向くときにはスカーフで口元を覆いローブを深く被って極力顔を見られないようにしている。
まあ、それでも俺のようにいろいろなことをやるとバレてしまうけど。
仕事中に襲い掛かってきた暗殺ギルドの連中を全員殺したとか。
そういった過激な問題行為をしなければいい。
その後は一週間ほど尾行されることとなった。
……オチは言わなくてもいいよな。もう既に述べたことでもあるし。
話を戻そう。
滅多に素顔を見せることのない暗殺者である俺とシテンが互いの顔を覚えているのはオフで会ったことがあるからだ。
――たった一度だけだけれど。
どうやら、シテンと最初に受けた仕事の時、俺の働きぶりを見てその実力と手馴れた殺し方が気に入ったらしい。
確か、仕事の後街中で――
『“ヨウ”さん!!』
『さん!?』
『素晴らしかったです!!何処でその殺し方を覚えたのですか?』
『いや、それを教えるのは……。』
『そうですか。まあ、別にそんなことはどうでもいいことです。“ヨウ”さん。お願いがあるのですが。』
『お願い?』
『はい!!――どうかわたしを嬲ってください!!』
――うん。何で今回のお願いで嫌な予感がしたのかをこうやってシテンとの記憶を思い出したおかげで分かった気がする。
その後は街中を流れる川に向かってシテンを蹴り飛ばした。
その時シテンが上げていた声はある意味で印象的だった。
生まれて初めて痛いときに喜びの声を上げる人に出会ったのであった。
……まあ、シテンの所謂マゾヒストのことについても、これから話すことに多少関係してくるのだけれども。
色々と忙しい故にこれからの投稿は遅れることが多いと思いますが、どうか温かい目で見守ってください。
お粗末さまでした。
8/14 ウェイトレスのアルバイト
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ウエイターのアルバイト に改稿。
痙攣を起こして全身を振るわせた後、
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痙攣を起こして全身を震わせた後、 に改稿。
10/1
阻害”されているかのように宇甘く位置が
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阻害”されているかのように上手く位置が に修正。