No.4 【ラドン森林】の××
どうも鬼無里です。
本当は一週間ほどたってから投稿しようかと思っていたのですが、思いのほかこの小説を読んでいる方々が多かっため、急遽もう一話投稿することにしました。
前回と同じく全く推敲していないので読みづらいと思います。申し訳ありません。
ではでは、このような駄文を読んでくださっている読者の皆様へ最大の感謝をこめて。
「――あ。気が付きましたか。大丈夫ですか?」
俺は地面に倒れて寝ているシテンの顔を覗き込んだ。
少し前のことだが、混乱していた俺は思い切りよくシテンのことを蹴り飛ばしてしまった。それはもう、身長2mのシテンさんが宙を舞って、近くに生えていた木にぶつかって気を失ってしまうほどに。
俺もシテンも冒険者として高ランカーであり、また暗殺者としても互いにレベルが高いので普段はこういったことは起こらないのだが……。
俺は混乱していたし、何故かシテンは興奮していた。
だから、俺は途中で蹴りを止めることができず、シテンはその蹴りを避け損ねてしまっというわけだ。
今回はいろんな意味で油断をしていたのだろう。
ずっと俺のターンとか……調子に乗りすぎた。
つい訳が分からなくなって蹴り飛ばした。今は反省している。
シテンも気を失っていたが、見たところ大した外傷もないようなので問題はないだろう。まあ、Bランクの冒険者がただの蹴り一発でけがを負っていたら仕事にならないだろうけど。
「……え?え、あれ…………“ヨウ”様!?ど、ど、どうして私の目の前に!?これは夢?で、でも確かにさっき私は“ヨウ”様に蹴られたはず。……蹴られた。あの“ヨウ”様に。フフ、ウフフフフフフフフ…………。」
「……………。」
とりあえずシテンの支離滅裂な言動と不気味な笑いについてはスルー。
ここで下手に突っ込むとまた蹴り飛ばしてしまいかねない。
完全にキャラが変わっている。先はどの厳かな雰囲気は遠い昔のことのように雲散霧消した。
しかし――、
「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフ――――」
不気味な笑いを除けば、顔を赤くして笑みをほころばせている姿はいつもの無表情とは違い、年相応の女性としての可愛らしさを感じる。
『――もし、もしもアナタが一対一で女性と向き合って、もしもアナタの目の前で顔を赤くしていたら、できるだけ優しく、まるで繊細な美術品を扱うように、鋭く薄い刀を扱うように、愛おしく、愛おしく、愛おしく、限りなく愛おしく――撫でてあげなさい。』
元いた世界で出会ったあの女の言葉を思い出す。
……。
「エイッ。」
撫でてみた。
「ふぇ……………………………………………………………………………………………………………………――――。」
おお、顔がさらに赤く染まっていく。
片方だけの丸耳がピコピコと動く。
面白い。
――このまま、ずっと見ていたい気分に襲われたが、どうしてか人として道を踏み外してしましそうな気がしたため途中でなでるのはやめることにした。
まあ、いまさら俺みたいな奴が人の道をどうのこうの言っても仕方がないし、遅すぎることなのだが。
撫でるのをやめてもシテンは顔を赤くして固まったままだった。
一応、シテンが元に戻るまでに場面切り替え。
しばらくして。
未だに気配が揺らいでいて、どこか顔が赤く、どことなく興奮気味で、無理やり無表情を装っている感じが否めないが、どうにか落ち着いて冷静さを取り戻したシテンが再び俺と向かい合って相対していた。
実のところ。俺とシテンはそこまで面識があるわけではなく、こうして顔を向い合せたりすることはほとんどなかった。
街の外じゃあまず出会わないし、街中でも滅多に見かけることがない。
ギルドで会ったことも片手で数えられるほどの回数だ。
もともと、シテンと初めてであったのは暗殺ギルドからの依頼で二人の仕事がかぶったことであり、そこでの競争相手のようなものだった。
俺が初めてこの世界で受けることになった――無理やり強引に巻き込まれることになった暗殺の依頼。
このような関係になってしまったのもその時のことが原因なのだろうけども。
昔を過去を、たった数ヶ月前のことだけど酷く昔に感じられることを、懐古する。
まあ、それはそれとして。
「あの、“ヨウ”様。御返事は?」
シテンがそう切り出した。
「……いくつか質問したいことがある。否応返事をするのはそれからだ。」
「はい。」
「一つ目、何でギルドマスターに俺を選ぶんだ?」
口調を取り繕うことをせず素直に問う。
これは本当に疑問に思っていること。
あのギルドに対して俺は貢献したこともなければ、恩を売った覚えもない。
むしろ、恨まれ疎まれ、疫病神扱いされることをしたつもりだ。
危険人物でもあるだろう。実際に何度かギルドメンバーからの襲撃はあった。
もちろん殺したけど。
「率直に申しますと、実力です。“ヨウ”様。貴方の実力は私だけでなくギルドメンバーのほとんどがギルドマスターに相応しいものだと認めています。今のギルドに貴方以上の暗殺者はいません。」
「人を過大評価しすぎだ。俺はそこまで強くない。それにギルドマスターに相応しいような人間でもない。」
いくらなんでも買被りすぎだ。
だって俺にはこの世界でかなり大きなハンデともいえる欠陥があるのだから。
「いえ、“ヨウ”様は間違いなく最強にして最高の暗殺者です。これまでの依頼も、あの【潔白の騎士団】の全滅でさえ遂行した”ヨウ”様を超える暗殺者など――」
そこでシテンは話をやめて口を閉じた。
雰囲気が変わり、気配の揺らぎが完全に消える。
目の色が深い闇夜のように落ち着き、静かな冷たい輝きを放つ。
「――うん、合格」
やっぱり気が付いたか。
流石は一流。
先ほど1000mの範囲で引っかかった奴らの気配が、33人分、俺たちを囲むようにして隠れている。
そしてそいつらは全員が俺たちに向かって敵意を発していた。
「シテン、分かっているよね?」
「――はい。」
即答。
俺は静かにポケットからナイフを取り出す。
シテンもシテンで服のどこかに隠していた小ぶりのダガーを構えた。
盗み聞きされてはいけないような話を聞かれている。
全員、やっぱり、皆殺しだ。
幸い此処は森の中で、奴らとシテン以外には気配はなく、目撃者はいない。
オーガという魔物がまだ森の浅いところで出てきたことから今日はかなり森の気がたっている。
後始末には困らないだろう。
「シテン。二つ目のお願いのことなんだけど……いいよ。俺がシテンの主人になってあげる。」
「っ!!は、はい!!」
少し気配が揺れたな。どうしよう、ちょっとこれからの将来が不安になってきた。
「――但し、これを全部片付けてからね。ギルドマスターの話も、それからだ。」
俺はそう言ってから、地面を強くけるようにして跳び出した。
そのスピードを殺さないまま一気に木へと跳び上がる。
そして最も近い敵意を確認し、
「目標を捕捉、虐殺を開始する。」
まずは一人目だ。
俺はナイフを投擲した。
8/12 近くに生えていた気にぶつかって
↓
近くに生えていた木にぶつかって に改稿。
8/14 危険事物でもあるだろう
↓
危険人物でもあるだろう に改稿。
指摘してくださった読者様ありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。




