第337話 この車の中には……
しずくという名の美少女型接触用有機ゴーレムによる施設の説明は続く。
「ここが、食堂です、世界中の食事が揃っています」
その間にも、視聴者の数は先ほどの米軍の全滅を救いミサイルを飛ばした所から急激に増加、6億人に達した。
〝しずくちゃん、さっきのアレは何?〝
〝どうして、管理者と使用者は分けるの?〝
〝教えて下さい、なんでもするから〝
「ん、いまナンデモするてって言ったよね?」
視聴者の「いまナンデモするから」のコメントがさっちゃんの目に入る。
それを見た黒髪にワンサイドアップ、沢庵の様な眉、大きな蒼い瞳で背が低い女子高校の様な姿をした美少女は首を傾げ思考する。
「そうですね……教える替わりに無職なあなたはハローワークに行って仕事を探すって約束してくれますかね?」
〝あ、あっあっつあつあつ〝
〝↑自動音声入力でこう言ってて草ww〝
〝脳みそクチュクチュされなくても脳を抉ってて草ww〝
「どうやら、約束してくれないので、話せませんザーんねん」
両手でバッツテンを作り拒否を示す。
「でも、さっちゃんは優しいから教えて上げる!管理者と使用者を分けた理由を説明しますね」
そう言いながら、映像を投影する。
この施設は、全てがマザーが管理している。マザーの正体は、スーパーコンピュータ。
全てを機械であるマザーにやらせるのは楽であるが、マザー自体は自分が機械であり、ソフトでしかない存在と自分を理解している。
その為、万が一システムにバグが発生しマザーが暴走した場合に備えて人間の管理者をマザーが要求した。
管理者の条件は、優れた魔力特性を持ち、Y染色体を持たない生き物を三匹。突き詰める所、高い魔力を持った三人の純潔の乙女である。
その条件を多様性を掲げる民主党が公開出来るわけも無く、呪術師に命じて起動キーと共に作らせたままマザーを封印した。
その起動キーの詳細を知る呪術師は流行り病で死亡し、詳細は不明だったが、偶然にも先ほど高い魔力を持った三人の純潔の乙女によって紋章が触られ起動した。
ようは、管理者はマザーが悪い事をしない様に見る監視員なのだ。
次に、使用者は2人用意される。
1人にしないのには、理由がある。1人が暴走した場合に、もう1人が停止出来るようにしている。
使用者は、大統領と副大統領に権限が与えられることを考慮して誰でも成れる様になっていた。
が、使用者が大統領と副大統領にならず、米国政府の物では無くなったと正式に決まった場合、マザーに一任されるという手順になっている。
マザーはやはり、男に使われるよりもカワイイ女の子に使われたいと判断し、金と銀の公爵令嬢達に目を着けて使用者になって貰ったのだ。
〝マザーの癖が強い点について〝
〝これ、ロリ好きおねえさんやんけ……〝
〝マザーは偏愛が過ぎる……これも多様性かぁ……〝
「ここには、当時の政府予算が無く無くて廃棄できなかった色んな武器が保管されています」
映像を展開している間に、倉庫前に全員が立っている。どうやら、さっちゃんは床ごと空間を移動出来るようだ。
倉庫の中には、多数の戦闘機や空母や戦車、潜水艦、ミサイルと言った物が所狭しと並べられている。
此れは、一体何なのか?
民主党政権時代では、予算が可決されず政府施設が閉鎖になることもあり予算が削減された。
戦闘機や戦車、空母、潜水艦といった退役した物を維持や解体するのにもお金は掛かるが、ルーシアとの軍備縮小条約を守る為には退役した物の存在を抹消し隠す必要があった。
その時に、選ばれたのがこの多重空間を展開できる最新魔導車で、倉庫代わりに全てをぶち込んだのだ。
これを指示した国防総省の役人は民主党員であり、共和党が政権を奪取後は解雇され十分に引継ぎをしなかった為、何も知らない共和党員の役人はただの車として、日本に出荷を許可を出したのだ。
「さらに、ここの奥には……あ、皆さんはこのシールド発生装置を着けて下さい」
6人に腕輪を渡す。全員が腕輪を着けたのを確認したしずくちゃんは、手を翳すと厳重な扉を開ける。
ギギギッっと音を立てながら、多数の分厚い扉が開いていく。最後の扉が開くとそこには多数のミサイルが並んでいる。
「さっきのよりもデッカイ!人工衛星かな?それにしては厳重だね」
「レイちゃんこれは、ピースメーカーです」
「ピースメーカーって何?」
「戦略核弾頭ミサイルの事です!ここにある2000個が全てが核弾頭ミサイルです!」
ルーシアと結んだ、軍備縮小の中で2000個の戦略核を解体するという約束を当時の民主党政権では行った。
しかし、多様性と持続可能な社会運動にお金を掛け過ぎて解体費用を捻出できなくなっていた。
世界の覇権国家が約束を守らない事があってはならないっという、時たまに正気に戻った認知症らしき当時の大統領の強い意向が働き、捻りだされたのが異空間に置いくこと。
此れにより、実質的に核兵器が地球から無くなった事になるので、解体した事になると当時の米国政府は考えた。
「マザーはこう言って居ます。人間という生き物は、愚かです。でも、愛らしい存在でもある」
「だからこそ、マザーは使用者である2人にはこれを使うことが無い事を切に願っているそうです」
しずくちゃんは笑顔だけども、光彩の無い空虚な瞳で金と銀の公爵令嬢達を見つめる。
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