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我が献策  作者: 火御成飛
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第十七章 国防費 第三節

 第二節では「さも自発的にロシアが北京奪取作戦を企図する」かのように書きましたが…リスクが高過ぎて、まず嫌がるでしょう。

 どう考えても損耗が激しいのです。

 確かに得られるロシア側のメリットは大きいでしょうが、失う損失もまた大きい事はシミュレートしなくても軍属ならば解る事です。


 それでも選択して貰う為には、シーパワー側、即ち連合国軍側からロシアへ外交交渉を持ちかけ、相応に代価を支払わねば聞く耳すら持ってくれんでしょう。


 平たく言えば、ロシアを連合軍側に引き入れられるだけものを「差し出せ」という話です。


 普通に考えるならば、血を流してくれと言っているのですから、こちらも時同じくして中国南部…即ち、香港奪還作戦を開始。またインド軍も峠を越えて中国領へ侵入して同時飽和状態を作る事で、少しはロシアに対する負担を軽減するべきなのでしょう。


 しかしシーパワー組には、この時期に片付けたいと考えたい懸念が幾つかあるはずです。

 少なくともタリバンに然り、ミャンマーに然り、インド国境に然り、東南アジアに然り。


 無論、航空脅威による中国南部への浸透爆撃などで、少しでもロシアへの援護はできるでしょうが、ロシアが求めているものは、そういう「粗品」ではないでしょう。


 まず、第一に「経済制裁の撤廃」です。

 北京市と天津港が手に入っても、肝心の貿易に規制がかかったままでは話になりません。


 第二に、核ミサイル使用の黙認でしょうか。

 この段階で、朝鮮半島を焼くという発想に至るかどうかは解りませんが、国軍が相当以上のダメージに至る事くらいは想定できるはずです。

 その回復までの国防手段の保険として、核兵器に依存するのは当然の思考でしょう。


 第三に戦功へ応じた領土割譲の確約ですね。

 口約束では済ませないよう、物理証拠を確約として残させるはずです。


 第四に戦費負担です。

 現状のロシアは言う程、経済的には豊かではなく、むしろ困窮しており、戦争どころではないのです。

 その財源である中国と事を構えるとなれば、戦費負担を補償して貰えない限り戦い抜けないという話です。


 第五に兵站供給です。

 これまたロシアの窮状を窺がわせるような話でしょうが、短期決戦で済む保証はどこにもないのです。

 ロシア本国の自給率はともかく、兵站となると話は別です。連合国側からの供出を求めるでしょう。


 …他にもありそうですが、私が思い付くだけでも、これだけあります。

 これを呑んで貰わない事には、物量だけはある中国とは戦えないとロシアは言い張るでしょう。


 正直、この条件を呑んだ場合、シーパワー組は、自分達でまともに戦うだけの力は、ほぼ残らなくなるはずです。

 それぞれの国も困窮している状態なのですから。

 それでもISが火を点け、中国に延焼した、この「好機」を逃さず「国際社会の問題児」を葬り去れるのならば呑むしかないと考えるでしょう。


 それでも、この内容で、もしロシアが復活するならば、来世紀における人類の敵は間違いなくロシアになっているはずです。


 しかし、今はロシアをどう葬り去るか思考している場合ではありません。どう協力を取り付けるかを思考する時です。

 加えて中国戦役によって中国の「庇護」が薄くなった国で、なおかつ問題児だった国の民主化を処理する事が先でしょう。

 シーパワー組は、ロシアが北京攻略に取り掛かっている間に、香港奪取、ミャンマー解放、アフガニスタン解放などが問題になってきます。

 正直言って、米国はテキサスから陸戦部隊を輸送し、出し惜しみする事なく、香港から投入するべきだとさえ思いますね。


 それでもまだ、お金が出せて、かつ「領土割譲確約」ができるのならば、クルド傭兵を投入するべきです。

 徒に広い中国国土を、戦後、分割した時。ウイグル自治区に接する地域は、極めてテロ活動が激しい危険地域になるのは目に見えています。

 かつまた内陸部にあり、分割統治後の事を考えると、今一つ魅力に欠ける土地です。


 しかしクルド人に対して『この土地を独立国として認める』と、戦勝国全てで承認すれば、彼らは泣いて喜ぶでしょう。

 クルド人には、生また土地こそあれど、そこを祖国とは国際社会からは認められていないのです。

 クルド「国」は存在しないのです。


 クルド傭兵に対する最大の報酬は、独立国を与える事。例え、そこがどんなに狭く、豊かでない土地であろうとも、世界がクルド人の国だと認めた国を与える事なのです。


 前回のイスラム王国戦役において、彼ら程、勇猛果敢に戦ってくれた陸戦隊はいなかったでしょう。

 それなのに戦後の仕打ちたるや、石を投げて追うが如しでした。非道という他ありません。


 血を流して戦ってくれたクルド人に対して、本来ならば西側諸国はもっと早く独立国を与えて報いるべきでした。

 確かにゲリラ活動に走るクルド部族もいますが、それでも戦功には正しく報いるべきなのです。


 どこをどの程度というのは、戦後の分割を待たねばなりませんが、必ず独立国として領土を割譲する、と明言した契約書を交わしていただきたく思います。

 

 これによって、タリバンは「戦争状態に積極的に関わり合いになりたくない」と考えるでしょうから、アフガニスタンに引き篭もる事が予想でき、まずは野心に燃えるミャンマーの解放と、香港解放が課題になるでしょう。


 とは言え事実上、ロシアに毟られてスカンピンでしょうから、作戦は絞り込んだ内容になるのでしょう。

 

 以上までが第三節となります。


 …この中国戦役は私の推論であり、火付け役のIS次第によるところが大きいです。彼らがウイグル自治区に入ってテロを行ってくれない事には始まりません。


 また、その後のロシア引き込みに関しても、西側諸国が良い顔をするとは到底思えず、仮にロシアが乗ったとしても、あのロシアです。

 注文通りに、北京市、天津港で進軍が止まる保証はありません。

 全ては仮定に仮説です。


 ひょっとしたらISが中国全土を呑み込むまで、東西どちらも見殺しにするかも知れませんし。

 その前にタリバン諸共、連合軍が空爆で葬り去るかも知れません。


 これはあくまでも私の推論です。


 ただその上で私が言いたいことは、現状の日本国憲法では、どの道、手も足も出せないままだ、ということです。


 我々が平和主義を掲げていても、IS-Kやタリバン側が、それを尊重してくれるとは限らないということです。

 自国の身は、自国の力で護って当たり前なのですから。


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