第十七章 国防費
結論から言わせていただければ、削るべきです。
今の段階で「紛争に備えた装備の為」の国防予算は意味を成し得ません。まず改憲の目途を立てねば、どんなに立派な装備でも、旧装備と何ら変わりません。
訓練の為だけでしたら、既にある装備だけで事足りますし、警戒任務でも事足りるのです。
『現場の判断で先制攻撃ができねば、何の意味もありません』。
今成すべきは、改憲に必要な全ての根回しです。それはコロナ禍であろうと、アフターコロナであろうと出来ることです。予算に左右されることではありません。
改憲に必要な識者への根回しを終えておくことです。
現状、我が国は専守防衛を掲げており、本土内においてさえ、反撃も政府の許可なくして出来ない体制にあります。
さすがに敵爆撃機編隊と護衛戦闘機隊が、露骨に首都、東京を目指して日本国領空へ侵入し、再三の警告を無視して首都防空圏にまで侵入されるまで閣議をしている政権などありはしないと信じたいところです。
しかし現行の憲法では、それが現実なのです。
さすがに中国が、そこまで自棄になって来ることはないでしょうし、そこまで自暴自棄になるくらいなら、いっそ核兵器を使用するでしょう。
とは言えロシアにしても、朝鮮半島にしても、我が国の防衛隊の実情は露骨にバレているところが手痛いのです。
であれば露骨な紛争をせずとも、規制事実化してしまえば占領は可能であるとも考えられるのです。
戦うまでもなく浸蝕できる相手。それが日本国なのです。
事実、尖閣諸島は、既成事実化を意図して領土、領海化を諮られています。
対抗している現場にも限界が見られる中で、真に成すべき事は予算ではなく、改憲でありましょう。
しかし一方で、我が国の国防隊は被災救助で確実に実績を挙げております。
国境警備も主任務ではありますが、毎年、ほぼ確実に発生する被災救助の為に出動する事は、間違いなく「国防活動」であり、重要な任務となって来ております。
その為の研究、装備開発は「第三章 研究費」でも触れた通りであり、敢えて軍事転用に言及しない事で識者達からの理解も得られるでしょう。
この装備を研究、開発し、運用を消防庁との共同で連携し、被災救助ノウハウを蓄積していく為ならば、逆に国防費は割くべきだと考えます。
さて…日本国の国防を考えるならば私は、まずアフガンの動静を考えるべきだと思うのです。
今、世界で最も危険な火薬庫の一つとしてアフガニスタンが挙げられるのではないでしょうか。
理由としては、タリバンよりも「IS-K」の方に理由があります。
では、アフガンの話を一度、置いておきまして、中国はどうなっているでしょうか。
一帯一路は順調に進んでいるのでしょうか。最近、そんな話題は聞かなくなりましたよね。
要衝地をレンタルして交易路を形成したまでは良かったのですが、強引な魂胆が露骨過ぎて、商売相手の西側から睨まれてしまっています。
特にコロナ禍は痛かった。消費市場であるEU圏の経済はズタズタになってしまい、せっかく築いた交易路も意味がなくなりました。
こうなってしまっては、交易路の維持費だけが抜けていきます。
では、一帯一路の貿易路を一旦、解きますか? いや、それはないでしょう。
習政権は一帯一路の交易路上にあるコロナ鎮圧に躍起になるでしょう。
一帯一路は習政権の象徴でもあります。それが崩壊するということは、習政権の失敗を意味し、人民の不審と怒りは頂点に達するでしょうね。どんなペテンを使ってでも維持し、回復を図るでしょう。
ですが、それが余りに重い。
村道のような細い道ならともかく、世界一のハイウェイもビックリな貿易街道です。陸路にしろ海路にしろ、要衝地の維持費だけでも凄まじいものがあります。
そのことごとくでコロナ禍が発生し、市場経済を混乱に陥れています。タダ同然でワクチンを配布したとしても、停滞した消費市場への経済打撃は著しく、すぐには購買意欲が戻ることはないでしょう。
加えて、天災です。
経済停滞は中国自身にも影響を与えていますが、伊達に14億もの人口がある訳ではありません。何となれば内需で立て直しも図れるでしょうが、そこに襲いかかるのが天災です。
山間部だろうろと、沿岸部であろと、広大な中国大陸全土に被災をもたらし、経済的損出を与えています。
それが毎年ペースとなれば、被害総額も日本国の比ではないでしょう。
さらに最近、いよいよ表面化して来た不況倒産問題です。
表向きGDPは横ばいと謳っていますが、それだけ景気が良いなら、中国恒大のプロジェクトが資金繰りに行き詰って凍結される事態に至ることはなかったはずです。
しかも中国恒大という巨大ゼネコン自身が、プロジェクトの殆どを借入でやり繰りしていたので、吹き飛び方が半端ない。
そこで中国政府が割って入り、仲裁しようと躍起になっている様子ですが、支払い不能に陥った債権が出てしまったようですね。
あれ程、巨大なゼネコンが倒産した場合、連鎖倒産はない、失業者が溢れないというのは有り得ない話なんですけどもね。
こうなってくると、総人口13億4千万のインドでさえコロナ禍鎮圧に至っていないのに、中国ではコロナ禍が平定されている、という話も眉唾ものに思えてきます。
そんな中国から最近、聞こえて来るのは「TPP加盟申請」と「台湾統一」ですね。
TPPは論外ですし、経済テロ紛いの危険性については既に指摘した通りです。
台湾統一については、もはや外敵を作って前進し、民族内の意識を束ねないと、不満だらけで暴発しそうなんでしょうね。
では、当の中国中共が戦争したがっているのかと言えば…断固、反対でしょう。
大赤字でも支えている貿易路で戦争?! そんな事をして何の意味があるのですか。コロナが鎮静したら、何とか貿易を再開し、必死に国益へ結び付けたいところでしょう。
大赤字覚悟で市場依存させ、経済侵略できるチャンスがあるかも知れないのに、それすら潰して、何が残るというのですか。
街道上で紛争なんて最悪でしかありません。
そんな中国が台湾侵攻。国際社会から袋叩きに遭う絶好の口実を与える機会を自ら実行する。
『有り得ないですね』。そんな事を実行した軍幹部がいたら、習近平自ら処刑するんじゃないんですか?
さて、ここで話はアフガニスタンに戻って来ます。
貧困とテロは相性が悪魔的な程良く、困窮すればするほど、テロは横行致します。
タリバンには宗教能力はあっても、政治能力は低かったようですね。
本来、IS-Kがタリバン支配地で自爆テロを敢行している時点で、余裕ぶっている状態ではないのです。
ただでさえ、世界からは政府と認知されているかどうか怪しい勢力であり、中国やロシアなどのレッドチームぐらいが存在を認めているぐらいでしょう。
直近のニュースでは、撤退した米国が食糧支援を申し入れ、これを受け入れたそうですが。負け犬と罵った相手から施しを受けねばならない程に困窮しているのです。
中国もロシアも、どこも食料支援をしてくれなかったのでしょうか。
いずれにしても、内政・外交能力は極めて低く、おまけに「IS-K」を駆逐できない。ここがクセモノだと思うのです。
「IS-K」はタリバンで自爆テロを敢行していますが、本当に敵対しているのでしょうか。
実はタリバンを隠れ蓑に使い、信徒を増やしているのではないか、と考えているのです。
アフガニスタンでのタリバンは、どうも麻薬を収入源にしているようで、アフガン制圧後も麻薬生産を止めたとは思えません。
とは言え、武闘派を売りにしてはおらず、イスラム教の一派を原理主義として訳の分からない内政を敷いて民を苦しめています。
しかし、こうも考えられます。露骨な武闘派でないだけ「拠点」としての役割をこなす一方で、過激派を匿い過激派の信徒を増やす一方で、あの「イスラム国」の再興を手助けしているのかも知れないと。
やってやれない事はありません。
アフガニスタンはISが掲げる版図の東端程に位置し、ウイグル自治区も含まれます。
『中国政府から弾圧された、イスラム同胞の解放』という大義を掲げて戦いを挑む限り、西側には文句はないのです。
『むしろ大歓迎な事態に発展します』。
当のウイグル人は決して、そんな解放戦争を望んではいないかも知れないでしょうが…かつてのシリア・イラクに跨ったイスラム王国での戦役から、シーパワーと対峙する事は避けたいと考えるはずです。
好き好んで空母が結集している地域へ向かうハズがありません。
しかもウイグル自治区は中国領です。シーパワーの西側は入って来れません。
これも加味すると、やはりウイグル自治区を目指して侵入し、同地区の解放と制圧を狙うのではないかと考えます。
そうなると中国軍の空軍が迅速に「爆撃」で葬ろうと動くでしょう。『ウイグル人諸共』。
まさか中国陸軍、武装警官なんて突入させたら、とんでもない被害になります。かと言って、いつものように民家に隠れるIS兵を探し出すのは非常に困難を極めるでしょう。
トドメが中共の地方政治です。ロシアは「やめろ」と牽制するでしょうが、迅速に鎮圧したがるでしょうね中共は。内乱を特に恐れていますし。
そこまでIS連中が計算できていれば策士ですが、日頃から西側がホロコーストだ何だと言っている手前、迅速に処理し、情報隠蔽したいはずです。
…アフガニスタンは「タリバン寺」と化した、もはや国家の皮を被った「寺」だと考えれば良いのです。
国民は強制的に入信させられた哀れな信徒とでも言うべきでしょうか。
タリバン寺は自前で僧兵を持っていますが、真に戦闘を担っているのが「IS-K」でしょう。決して仲良しという訳でもないでしょうが。
その「IS-K」が夢見ている目的はイスラム王国再興であって、タリバンはタリバン寺で満足していると見ています。
だからこそウイグル自治区を目指し、圧政解放を掲げて蜂起。弱り切って戦争を嫌う中国の「傘」を利用して、欧米を退かせようと考えるのではないかと思うのです。
そしてイスラム教徒が中国領内で武装蜂起したならば、メディアの目に触れる前に「全て」を一気に葬ろうと「空爆」する。私はそう考えています。
ここまでは、私なりに自信を持ってお話できる展開です。
しかし、第二節以降からは、各国の思惑によって展開が異なって来るでしょう。




