第十四章 五G技術開発と運用
通信技術の第五世代、つまり五Gの技術開発は喫緊問題の一つです。
しかし、こうした通信関係絡みのトップ人材に対する海外への流出は著しく、これを即座に対応せざるを得ないと言うのであれば、友好国からスカウトせざるを得ないでしょう。
しかし繰り返し申し上げています通り、仮にトップ人材一人をスカウト出来たところで、その人物の技術を理解し支える事が出来るメンバーすらいないのもまた日本国の実態です。
またスカウトする事に対する危険性もまた、既に述べた通りであり、契約は、それを上回る契約によって打破し得るのです。
そして開発生産だけトップ人材がいれば五G技術が国産できるかと言えばNOなのです。
生産、導入、稼働テスト、整備、苦情窓口、修理など、どの分野のトップ一つとっても欠かせない人材です。
全てに世界へ通じる人材が揃って、初めて運用が可能になります。
その人材水準が国内では、どこまで低下しているのか。今一度、政府は実態調査をなさるべきではないかと存じます。
その反面、五G技術を利用した需要の声は幅広く、私も、この章に至るまで提案して参りました。
恐らく、現状で既に五Gは潜在的に「普通の技術」化しつつあるのではないかと危惧しています。
その技術から、自らの国で開発・昇華させる事ができない事は、国防の上でも『丸裸』を意味するところであり、極めて危険な状態なのではないかと考える次第です。
五G技術については、もはや開発は厳しいと言うより、国内では現状、無理なのではないかとさえ考えております。
なので規制品を海外メーカーから購入し、そのメーカーが定めた流儀に従って国内を仕切らざるを得ないでしょう。それはもう日本国ではなく、仮にそれが米国製であれば、我が国の通信を律しているのは米国、という事になります。
ですから、情報戦において米国が中国に対して敗北したり、機材の機密が漏れてしまった場合、我が国の中枢からも漏洩する危険性が付きまとう事になる訳です。
この技術格差を埋め、国産技術として情報機材でも世界に通じるものを打ち出せない限り、日本のセキュリティーが防衛出来ているとは、真に言い難いものがあります。
そこで私からの提案があります。
現状で最新と言われる五G技術については、仮に米国製のものを活用するとしましょう。
恐らく、サイバー攻撃は止まないでしょうが。
我が国は『第五G世代の独自技術開発と運用を棄て、第六世代の研究へと駒を進めるのです』。
世界トップレベルの技術者をスカウトする。口で言うのは優しいですが、一人単位で護衛艦一隻を建造するくらいの年俸を要求されるでしょう。
少なくとも、自分の才能をお金で評価して欲しいのでしょうから。その上で最高の研究環境を要求して来るでしょう。当然の事です。
加えて研究スタッフも最高の水準で要求して来るでしょう。
しかし研究スタッフについては百%、最高にしてはなりません。
我が国から出せる最高人材を「研修スタッフ」として半分以上割り振り、この教育にも時間を割いて貰わねばなりません。
なので、例え国内最高と言われようと、性格が頑迷な者は排除し、考え方が柔軟な者を優先的に組み入れる事です。国内の人材に対する待遇も出し惜しみしない事です。人材流出の原因になると考えます。
五Gの技術自身、現状、技術熟成中にある為、今の段階から六Gを模索するのは天才にしか出来ない感覚的な仕事だと思います。
規格すら存在しないものを直感的に言われて、それを理解できる方達を作るのです。そうでなければ中心にいる天才を理解し、支えることができません。
こーなって来ると、技術者集団というより芸術家の集団ですね。
そう言われると「果たして、そんな集団に国庫から大枚注いで結果が出るのか?」と不安にもなりましょう。
ハッキリ申し上げて、これは信用投資以外の何物でもありません。未知の技術大陸で、天才の彼ないし彼女が、果たして六G技術を見付けて持って帰って来れるのか? という大冒険へのスポンサーになるのと同じことです。
そんな事の結末、誰だって保証できませんよ。
最新鋭技術の開発とは、そういうものだと考えております。安全を取っていたら世界トップにはなれません。
しかしコロナ渦中から見据えるアフターコロナの将来像において「仮想空間」の重要性は証明されました。リモートという形態は、消滅するどころか、今後も増加して行くでしょう。
そして日本国は常に最新技術のリスクを避け、その後塵を拝する事を選択し、同時に、その国と情報戦リスクをも共有しています。
その結果、現在、我が国はサイバー攻撃を深刻なレベルで受け続けているのです。
つまり、真に最高へ通じる人材はハッカーとして今も活躍しており、それは米国に属している訳ではない、という事です。
…逆説的に申し上げれば、スカウト人材の中には、世界に通じるハッカーチームも必要である、という事になります。
スカウト人材に我が国、日本国への愛国心なんてものがないのは最初から理解しています。
彼らが何を信用しているのか解りませんが、彼らを捕らえて取引し、第六G開発チームに加える事が出来たのなら、耐久硬度は高まるでしょう。
間違っても中心部構築に関わらせてはなりませんが、突破テスト役には最適です。
第六G開発に対するスカウトの必要なメンバーは、中心人物となる天才が一名、中心人物の補佐役兼研修役に、国内から一名。開発サポートとしてご指名された者が必要数名。その隷下として我が国から研修目的も含めた同数名が入り、強固に外部から隔離された研究開発室にて理論を構築。
構築されたプロトタイプを、Bチーム…即ち世界レベルのハッカー集団に突破トライアルさせ、試験にかけます。
もし弱点を提示できたらボーナスを出す方向で。
こうしてダメ出しされたプロトタイプは研究室へ戻され、根本的構築と改善が試みられます…この繰り返しでいかがと考えます。
何かヤル気が出るカンフル剤がないと心が折れそうな流れですよね。私ならBチームに憎悪を抱くかも知れません。
しかし実際の世界は悪意に満ちており、セキュリティーとは、その悪意から秩序を守る為に必要な存在です。
…とは言え、否定ばかりされていては、どんな人間でも心が荒みます。ですから開発チームのメンバーに対する心身ケアには、特に注意を払っておいた方が良いでしょう。
研究環境も殺伐とさせず、メンタルに気を配ったデザインや空間に配慮すべきであり、心療医や精神医は常駐させておくべきでしょう。
『人間はコンピューターではなく、生物である、という事を、失念しないでいただきたいのです』。
…という方向でならば…これでも恐ろしい程の国家予算を持って行く事は確実だと思われますが…最小限の投資で済ませる事ができます。
しかも第六世代として公表された瞬間、それはもう攻撃の対象となり劣化の一途を辿る他ないのです。
つまり、第六世代の公表目途が立った瞬間に、第七世代の開発を始めないと危機的であるということになります。
しかし情報の安全硬度は最も売れる海外貿易商材の一つでもあります。
下手な軍事兵器より、余程、世界需要の高い分野です。当の軍事兵器に搭載され、生命線を担っていますし。
日本国として敢えて第五世代の国産製品への注力を棄て、第六世代開発に賭けることは、国家経済再建に欠かせない国家事業であると考えます。




