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魂のレーザーライト。

 私が父さんに会いたいと告げると笹原さんはまたAPhoneをたどたどしく操作しはじめた。

 手つきが完全にお爺ちゃんだ。この人見た目若いけど相当歳食ってるな。


「あれ、おかしいな。あれー。」

「駄目だこりゃ。笹原さんやり方教えてください。私がやります。」

「え、あぁそうか、頼む。実はえーぽん苦手でな。」


 実はもなにも、見てれば分かる。残念ながら私の中で笹原さんはポンコツバカ認定された。

 私はAPhoneを取りだし、説明を求めた。


「そのアプリを開いてだな、えーと、そう、そこに名前と享年、死んだ年月を入力するはずだ。多分。」

「あーなるほど、簡単ですね。」

「え、簡単なのか。」

「笹原さん・・・」


 笹原さんは私の簡単発言にショックを受けたようで、少ししぼんで見えた。

 私はさっさと入力を済ませ、検索ボタンを押した。

 検索結果は三件だった。松井倫太郎という人がその日に三人も死んだということに驚いたが、こんな偶然もあるもんだと流すことにした。

 笹原さんが画面を覗き込み、表示された三件の名前の一番上を押した。


「三件だけで良かったな。こういうのは上から見ていくのが一番だろ。」

「勝手に押さないでくださいよ!心の準備とかあるじゃないですか!」

「まぁまぁ落ち着けよ。」


 APhoneの画面が切り替わり、写真が表示された。


「って誰だよこれ!!」


 私はつい叫んでしまった。それは眼鏡をかけた太った男だった。見たこともない、というか生理的に無理な感じ。

 気を取り直して次の名前を開いた。


「だから誰だよ!!」


 またもはずれた。今度はガリガリの坊主でいかにも死にかけだった。

 けどこれで三番目だということは確定。久しぶりに会う父さんへの道しるべ。

 画面に触れ、切り替わる。


「・・・って誰だァァァァァァァ!!!!!」


 私は地面にAPhoneを叩きつけていた。画面に映ったのはサングラスをかけ、アロハシャツを着た真っ黒な肌の男だった。

 笹原さんが地面に落ちたAPhoneを拾い上げ、画面を見て言った。


「違うのか、こいつは。家族欄に松井樹里って書いてるぞ。」

「え、嘘ですよね。そんなハワイ男知りませんよ。」

「いや本当だから。」


 見せられた画面には確かに松井樹里が娘だと書いてあった。だとしたらこのハワイ男は私の知る父親じゃない。けどよくよく見ると父さんっぽさは感じられる。


「お前の父親は三途の川河川敷付近にいるようだな。いつもそこでサボってる知り合いがいるから聞いてみる。」

「あ、よろしくお願いします。」


 そう言うと笹原は電話をかけた。三途の川河川敷なんて所もあるんですね、流石天国。

 というかあれが父さんだとしたら会う気失せてきたんだけど。


「もしもし、王禅さん?笹原です。今河川敷いますか?・・・えぇ、そちらに松井倫太郎って男いますか?え、三人いる?じゃあその中にアロハシャツの真っ黒いやつ、あ、いますか。了解です。今からそっち行きますんで、はい。」


 マジでアロハ男なのか、しかも松井倫太郎また三人いるし。まさかさっきの二人じゃあないだろうな。

 さっきの二人がいるとしたら尚更行きたくない。


「どうやら河川敷にいるらしい。今から行くが、どうしたその顔。」

「いえ、なんでもないです。」

「そうか、じゃあ外出て飛ぶぞ。天国じゃえーぽんの移動が使えないからな。」

「飛ぶって、翼でですか?やった!あ、でも翼の出し方知らないですよ。」

「・・・気張れ。」

「えぇ、雑ぅ。」


 行く気は失せていたが、翼で飛ぶことにちょっとテンションが上がる。

 外に出て空を見上げると結構飛んでる天使がいた。

 とりあえずポンコツの言う通り気張ってみよう。教え方が下手なんだよなぁ。


「うぐぐぐぐ、うがあああああああああああ!!!」

「スポンッ」

「出た!翼出た!」


 翼が出たことに喜んではしゃいでいると、ポンコツと思っていた笹原さんがほれ見ろといった顔で見てきた。

 ポンコツ呼ばわりしてすみませんした。私は心のなかで謝った。


「じゃあ出せたことだし行くぞ。翼の動かし方は背中から手が二本生えたと思えば大丈夫だ。上手く飛べるようになるには慣れるしかない。」

「了解です!松井樹里、テイクオフ!!!」


 翼を精一杯動かすと体が浮き上がり、足が離れた。


「笹原さん!私飛んでますよ、やばい!!」

「初飛行おめでとう、ちなみに水卜も初めて飛べたときにテイクオフって叫んでたぞ。似た者同士ってやつだな。」

「・・・さっき言ったこと忘れてください。」


 水卜め、これじゃ私もバカみたいじゃないか。もう水卜のことは考えないようにしよう。

 笹原さんも飛び上がり、私についてくるように促した。

 笹原さんの翼の動きは無駄がなく、ばたばたと動く私の翼とは大違いだ。これから暇なとき練習しよう。

 空から天国を見下ろすと、どこまでも広がっているようだった。


「広いですね、こんなに広いなんて。」

「まぁ広くなきゃやってらんねぇからな。そこら中が死人で溢れかえっちまう。っておい近いって、翼がぶつかるっておい。」

「あ、すみません。ただ難しいんですよこれ!」

「力抜け、景色でも見てリラックスしろ。」

「了解でーす。確かに景色いいですよねー。」


 湖やら山やら公園やら遠くには都会のようなところまである。どこまで行っても果てが無さそうだ。

 景色を眺めながら飛んでいると大きな川のような場所が見えてきた。

 対岸は霧が濃くかかって見ることができない。


「あれが三途の川ってやつだ。死人が天国に来るときの入り口の一つだ。降りるぞ。」

「了解です。」


 河川敷に降りると笹原さんは辺りをキョロキョロと周りを見渡しはじめた。あたりにはのほほんとした死人と思われる人影しかなく、天使らしき影はなかった。

 目星を定めたのか笹原さんは草むらに向かって話はじめた。


「王禅さーん、いますかー。王禅さーん。」

「へいへい、いますぜ。」


 どこからともなく渋い声が聞こえた。草むらを見渡しても人影はない。

 すると草むらから一匹の猫がぴょこんと顔を出した。


「か、かわいい。」


 私は猫が大好きなのだ。生前唯一のお友だちは近所のタマちゃんだったほど。


「王禅さん、お疲れさまです。」

「おいおい、お疲れさまですってのはいつもサボってる俺への嫌みか?はっはっは!。」


 猫さんは渋い声で豪快に笑った。可愛いけど声が、声が渋すぎる。でもこれはこれであり!可愛い!


「そういや水卜はどうした、クビか?」

「いえ、水卜には新しい相棒がつくようです。新しい相棒が決まるまで休暇だそうです。」

「なるほどな、水卜も成長したな。んでそちらは、ってアイドルの、、、」


 猫さんはこちらを見て目を丸くして口を開け固まった。


「王禅さん、こいつは新しい相棒の松井樹里です。ご存じのようで。松井、こちらは王禅さん。見て分かるように猫だが、天使の相談役として長いことやってもらってる。」

「松井樹里です。享年17歳です。よろしくお願いします。」


 すると王禅さんは小声で笹原さんになにか言っている。聞き耳を立てると


「さっき電話したときに言えよ!俺が樹里ちゃんの大ファンなの知ってるだろ。来るって分かってたらよそ行きの声で最初からやったのに。」

「すみません、サプライズ的なあれで良かれと思って。でも、まだ挽回できます。」

「そ、そうかぁ?」


 こそこそしてる王禅さんも可愛い。にこにこしながら眺めていると王禅さんが咳払いをして喉の調子を整えはじめた。


「王禅だにゃん、よろしくにゃん。握手してもらっていいかにゃ?」


 うーん、可愛い。渋い声を限界まで高くして右足を出してきた。

 私は右足を握りって笑顔で答える。


「よろしくお願いしますね、王禅さん。でももう遅いですよ。」

「だよな、分かってたんだそんなことはよぉ。笹原覚えとけよ。」


 王禅さんは笹原を憎しみの籠った目で見る。それがまた可愛くて王禅さんを撫で回す。


「あ、そこ、そこいいわ。もっと、もっとだ。ゴロゴロ」


 王禅さんは気持ち良さげに喉を鳴らした。私はさらに撫で続ける。可愛い。

 笹原さんが呆れたように言った。


「王禅さん、アロハ男ってどこにいました?」

「あ~、それなら~、あっちのほう。」


 そう言ってダルそうに指差した。


「ありがとうございます。松井行くぞ。お前は王禅さんを撫で回すために来たんじゃないだろ。」

「そうですけどぉ~、可愛いじゃないですか~。」

「おい、いい加減にしろ。」

「はい!すいません!」


 笹原さんのドスの聞いた声で言われ、王禅さんから手が離れる。

 王禅さんの名残惜しい目が心に刺さる。すみません王禅さん、ポンコツヤクザ怖いんです。


「それじゃ王禅さん、サボりも程々に。」

「笹原、次来るときは旨いもの持ってこいよ。樹里ちゃんもまた来いよな。」

「じゃあ王禅さん、また来ますね!」


 王禅さんは猫らしく笑い、小さい前足で手を振ってくれた。それが可愛くてAPhoneで写真を撮った。待受にしよう。

 王禅さんが教えてくれた方向に向かって歩き出すとアロハシャツを着た三人組がなにやら音楽を流し踊っている。出来れば近づきたくないが、言い出しっぺは私だから行かねばなるまい。

 近づくにつれ、三人が誰か分かってきた。全員さっきの検索で引っ掛かったやつだ。

 デブとガリ、そして私の父さんと思わしき男。


「違う、そこは腰!もっと腰!」

「こ、こうでござるか黒りん殿!」

「む、難しいですぅ黒りんさぁん。」


 アロハ男はデブとガリに踊りの指導を行っているようだ。

 この男、私と母さんを残して死んだくせになにをやってるんだ。沸々と怒りが湧いてきた。

 私は走りだし、翼で加速してそのままジャンプする。


「喰らえや!エンジェルドロップキィィィィッッック!!!!!」

「おごぉっ!!」


 父さんの顔面に両足がめり込み、サングラスが割れる。そしてそのまま吹っ飛びデブとガリを巻き込み転がる。

 しまった、殴るつもりだったのに蹴っ飛ばしてしまった。まぁいいか、問題ない。


「な、何事でござるか!あ、黒りん殿が完全にのびてるでござる!」

「落ち着くんですぅ落ち着くんですぅ太りんさん!」


 デブとガリが強く父さんもといアロハ男を揺さぶる。アロハ男が揺さぶられ目を覚ます。


「はっ!空飛ぶチンゲン菜がっ!」

「黒りん殿、よかった!目を覚ましたでござるな!」

「安心しましたよぉ!」

「太りん、ガリりん、いったい何が・・・」


 黒りん、がりりん、太りんか、何とも安直。

 アロハ男が周りを見渡し、私に気づく。


「げっ!友利ちゃん!なんでここに!」


 友利は母の名前だ。どうやら母さんと間違えているようだ。お灸代わりにしばらくこのまま続けてみよう。


「倫太郎さん、早々に死んだと思えばなにをやってるんですか。随分と楽しそうにしてることですね?」

「いや、違うんだよ友利ちゃん!これには深いふかーい理由があってさ!とりあえず先に死んじゃったことは謝るからさ、ごめん!!!ほら、二人も謝って!!!」

「え、あ、すまんでござる!!」

「す、すみません。」


 何故デブとガリにも謝らせる。とりあえず二人にはどこかに行っててもらおう、邪魔だ。


「私倫太郎さんと話がしたいんだけど、ちょっとはずしてもらってもいいかしら?」

「おい!友利ちゃんが外せと言ってるだろ!散れ兄弟!!」

「「はいぃ!!」


 そう言うと二人は一目散に散っていった。そろそろネタばらししますか。


「友利ちゃん、それで話というは・・・?」

「父さん、私母さんじゃないよ。樹里だよ。」

「えっ、樹里ちゃん?」


 父さんは信じられないといった顔で私をまじまじと見つめる。


「樹里ちゃん、黒スーツ似合わおごぉお!」


 つい殴ってしまった。もうそのネタはいいんだよ。

 まぁ結果的にぶん殴るという目的も達成できた、よし!

 父さんはよろけながら、口の血を拭った。


「み、見た目だけじゃなくて手が早いとこもそっくりだね。こんなに大きくなっちゃってってまぁテレビで見てたんだけどさ。」

「父さん、なんで私が死ぬとき笑ってたんだぁ?なぁ?」

「いやー、友利ちゃんかと思ってさ。ほらとりあえず笑っとかないとあとで何されるか分かんないからさ。」

「・・・多分殴られるよ。」

「だよねー、ははは。」


 久しぶりに父さんと話したけど、なにも変わっちゃいない。その笑顔がそう感じさせた。

 見た目が変わっても小さい頃の記憶の中の父さんと一緒だった。


「父娘揃って母さんに迷惑かけるねぇ、今ごろ友利ちゃん大泣きだよ。ちゃんと謝んなきゃ。」

「そうだね、またぶん殴られるよ。」

「ははは、じゃあ謝るのは樹里にまかせるよ。」


 変わらない笑顔でそう言った。少しだけ寂しい目をして。


「そうだ、こうやって会えたんだからさ、俺がいなくなってからの話聞かせてよ!フラダンスの練習であんまり現世覗けなかったからさ!」

「あ、うん。でも私これから天使の仕事が。」


 すっかり影が薄くなっている笹原さんを見ると無言でグーサインを出した。


「大丈夫そう。じゃあなにから聞きたい?」

「そうだねぇー、じゃあ俺が死んだ時から順々に聞こうかな!友利ちゃんメインで!」


 それから父さんとしばらく話をした。父さんが死んで母さんが大泣きしたこととか、終いにはぶちギレたこととか、アイドルになったこととか。父さんは嬉しそうに話を聞いてくれた。時々笑ったり、目に涙を溜めたりしながら。

 私たちは時間を忘れて話をした。それは数十分か、数時間かは分からないけど。

 父さんとゆっくり話すことで私は少しだけ普通を感じた。天国という普通じゃない場所で。


「松井、そろそろいいか。」


 笹原さんは小さい声でそっと言った。そうだ、そろそろ仕事だ。でもいつでも会えるし。


「じゃあ父さん、私これから天使としての初仕事だから。また来るね!」

「そーかそーか、頑張れよ。でももう会うことはないよ。」


 父さんの一言に私は固まる。時間が一瞬止まったように感じたが、風に靡く父さんのアロハシャツが時間が動いていることを証明していた。

 どうして。


「え、なんで。父さんずっとここにいるでしょ?なんでそんなこと言うの?」

「樹里ちゃんはバカだなぁ。俺と樹里ちゃんがここにいたら誰が友利ちゃんの傍にいるんだよ。友利ちゃんが一人ぼっちだろ。だから俺は輪廻転生して友利ちゃんの傍に行くのさ。だからさっき謝るのはまかせたって言ったろ?」

「なんで、せっかく久しぶり会えたのに。やだよ、やだよ!もっと一緒にいたいよ!ねぇ父さん!」


 目頭が熱くなり涙がぼろぼろと頬を伝う。

 すると体が父さんに引き寄せられ、強く抱き締められた。


「樹里ちゃん、ごめんな。俺死んだ時から決めてたんだ。友利か樹里、どっちか天国に先に来たら転生するって。そんでもって現世にいる方の傍にいるって。樹里ちゃん、友利ちゃんが天国に来たら笑顔で迎えてあげるんだぞ。そんで俺の分まで殴られてくれ。俺は現世で一足先に殴られるからよ、ははは。」

「父さん、とうさぁぁぁん、うぐっうええええん。」

「泣き虫なところもそっくりだな、ははは。」

「うえぇぇぇぇん、うぐっぐす」


 どうしよう、涙が全然止まらない。

 久しぶりに会ったのにまたすぐ何処かに行くなんて。勝手すぎる、死んだときだってそうだ。

 こんなんじゃ泣き止むことなんて到底出来やしない。


「うえぇぇぇぇん、うぐ、どうさんとうさああああん。」

「樹里、お前おっぱい大きくなうげぇえ。」

「こんな時になにいってんの!!うぐっ、ばが!バカ父さん!」


 父さんのイカれた発言にボディブローをかまし、ぶちギレた。

 それでも父さんの抱き締める強さは変わらない。


「いやーね、樹里に笑ってほしくてさ。ははは、ほら父さんの門出だろ?笑ってくれよ。」

「うぅばかくそ父さん、ふふ。ははは。」


 ぶちギレたことと父さんの優しい言葉で感情がこんがらがって自然と笑ってしまった。


「やっぱりね、笑った顔が一番似てるよ。後ろの天使さん、樹里に飛ばし方教えてやってくれないか、樹里に飛ばされたいんだ。」

「分かった。松井、これがお前の初仕事だ。」


 父さんは私をそっと離した。

 笹原さんがAPhoneを使った対象者の輪廻転生の仕方を教えてくれた。それはいつものような雑な説明ではなく、とても丁寧で分かりやすかった。

 でも私はまだ決心が出来ていなかった。


「父さん、ほんとに行っちゃうの?」

「おいおい、そんな寂しそうな顔してそんなこと聞かないでくれよ。決心が揺らいじゃうだろ、ちょっとだけ。」

「ちょっとだけかよ・・・なんだよ。早く行っちゃえばいいんだ!ほら画面に親指押して!それで輪廻転生、飛べるから!」


 私は少し怒って突き放すように言った。もうほんとに勝手にしろ!

 父さんはそっと親指を画面に触れた。その指は小さく震えていた。


「父さんもさ、ちょっと怖いんだ。飛んだって友利ちゃんに会える確証はないし、記憶もなくなる。ただな、樹里と友利ちゃんを愛して愛して愛しすぎってほど愛してるってことはきっと魂が忘れない。それだけは分かるんだ。俺の魂がまたきっと廻り合わせてくれる。」

「父さん・・・」

「愛してるぜ樹里。友利ちゃんがここに来たら愛してるって伝えてくれ。あ、ついでに太りんとガリりんに先に行くぜ兄弟って言っといて。」

「母さんの方は分かった、あとの方は考えとく。」


 私がそう言うと、父さんはもう一度私を強く抱き締め叫んだ。


「飛べよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


 すると父さんの体が燃え上がり、青い綺麗な炎が私を包んだ。


「じゃあな。」


 青い炎が私の体を離れ、ひとつに纏まる。そして私の周りを一周回って大空へ飛び上がり勢いよく三途の川の対岸をめがけ、走り出した。

 一直線に伸びたその炎の軌跡は彗星のようで、私たちを真っ直ぐに愛した父さんの生き様そのものだった。


「とうさああああああん、また、またねえええええ!!!」


 私の声は父さんに届いたかは分からない。でもいつかきっと会える。

 私の魂も忘れることはないから。

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