花飾りの花嫁をもう一度(4)
ベッドには花飾りもなく、妖精に扮した侍女も祝いの飾りも何もない。
ただ、いつもと変わらない服を身につけた男女が互いに見つめ合い、花飾りの妖精女王とそれに従う夫になろうとしていた。
オーカスは部屋にずっと仕舞われていたもう一つの箱を取り出し、白金と宝石で飾られた銀の王冠を手にした。
彼女が即位する日のために、職人達に何年もかけさせて作り上げた、エリヴァルのための宝冠。蜜色の髪が映えるように、飾られた姿に沿うように。
女王となった姪が、国民の誰からも愛されるようなクイーンとして君臨するために作り上げた作品。
エリヴァルに王冠を被せるのに、言葉は必要ない。彼の役目は、女王に従う夫なのだから、いくつかの儀式の音を発した後はクイーンを酔わせるだけだった。
姿勢良く椅子に腰掛け、笑顔を向ける事ですら止めたエリヴァルに跪き、靴に口付けてそっと脱がせていく。
侍女がする身支度のようにドレスを外し、コルセットの留め具と紐に手を掛けてゆっくりと当て布を取って、スカートと腰巻きを脱がせていった。
足首には朱色の枷。胸元には首飾り。彩られた爪先や化粧も何もない。
髪を正し、銀の宝冠を乗せれば儀式の準備は完成する。
「妖精の祝福と共に、花嫁にクイーンの証を授ける」
「謹んで、お受け致します」
それは、誰よりも美しいクイーンだった。
何も衣類やドレスも身に纏わない、蜜色の髪に銀の宝冠を乗せただけの一人の少女。
妖精女王を宿らせたクイーンは、笑いもせず怒りもせず、夫となる従者の方へ視線を向けたまま自分からは決して動こうとはしない。
甘い香りのする香油を手に、クイーンの肌へと触れていく。足先から腰へと、胸に肩へと塗られ、秘芯の奥深くへと指先で塗り込まれても声が発せられる事は無かった。
皮で出来た太い枷を手首に縛り付け、ベッドの柵に括ってから、口に枷を嵌める。
何度か愛しそうに髪を撫で、足を割って跨るように秘芯へ貫いていく。首飾りが揺れ、クイーンの口枷から雫が溢れた。
力強く腰を抱き、足を掲げたまま責め立て、まるで人形か道化に触れているかのように、人としての扱いはせずに奥へと広げられていった。
涙を流す事もなく、顔色を変える事もなく、クイーンは頭上に王冠を飾ったまま瞬きもせずに夫の肢体を見続ける。
精を放ち、最初の役目を終えてもクイーンは離れずに居た。手枷だけを外し、繋がったまま背を向けさせ、胸を掴んでもう一度押し込み、何度も貫いては果てた。
息を整えてから口枷を外し、濡れた唇に口付けて肩を抱いた。クイーンが瞳を閉じ、赤い舌を出して咥内を絡めとっていく。
深く吸い合い、互いの胸に触れ、それから腹を撫でて秘芯へと手を誘導させる。
熱く濡れ、淫らに艶めいたそこに指を入れて精を掻き回し、それから乳房に這わせるとようやくクイーンは微笑んだ。
身体に熱が込み上げ、まるで少年だった頃の欲情が宿っていく。獣のように襲いかかり、クイーンの手を掴んで酷く蹂躙し、犯していき、手荒に扱って自分の快楽を優先して貫く。
それでも女王の声は出ず、何だか悔しいような思いが溢れて、乳房を噛むように吸って耳に触れ、槍を突き刺すかのように制圧していった。
いつの間にか寝台に腰掛けていたクイーンに頭を撫でられ、手の甲に口づけて頭を下げ、それから汚された身体を拭いていき、靴を履かせてコルセットを留め直す。
元のドレス姿に戻ったエリヴァルに銀の王冠を頭上に飾り直し、もう一度跪いてから手の甲に口づけ、一夜の夢が終わっていく。
子を孕んだかは分からないが、姫君だった頃の幼い心をしたエリヴァルは、もう彼女の中に残っては居なかった。




