↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたし婚約破棄されました!ルマンド王国魔法学院の卒業式で婚約破棄されたエリーゼ・バンダームは、なぜか?イケメンきらきら王子に告白される?え?どういうことですの?  作者: 山田 バルス
第二章 エリーゼ、結婚生活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/37

第2章 完結 第14話 ドレスと恋の、のんびり休日

◆ドレスと恋の、のんびり休日◆


 バンダーム家出身の私は、いまや王都じゅうの憧れ――きらり王子ことルマンド王国第三王子、ウイリアム=ルマンド=グランフォード様と、晴れて夫婦になりました!


 ピンク色の髪にちょっぴり天然な私、エリーゼ・バンダーム=グランフォードは、魔法学院も無事卒業し、いまは公爵家の屋敷で毎日ラブラブ新婚ライフ中。夢にまで見た結婚生活……とまではいかなくても、そこそこうまくやってる気がする今日この頃です。


「……ねぇ、ウイリアム。今日、ほんとに予定ないの?」


 窓辺のクッションに腰掛けながら、私はウイリアムの膝枕状態で横になっていた。ふわふわの金髪がさらさらと落ちてきて、思わずくすぐったくなる。


「もちろん。今日はふたりの休日だ。外もいい天気だし、予定は“のんびりする”ことだけだよ」


 そう言って、王子はまた例の“きらん☆”笑顔で私を見下ろした。ま、まぶしい……っ! その笑顔、王都中の乙女の視力を奪うって有名なのよ!?


「な、なによその顔……! もしかして、また何か企んでる?」


「ふふ、どうかな?」


「ぜったい企んでる顔でしょそれぇぇぇ!」


「そんなに言うならヒントをあげよう。今日は“エリーゼ感謝デー”だ」


「なにそれ!? どこの記念日!?!?」


「僕の心の中にだけある記念日だよ。君が、ファクトリーのドレスショーを頑張ってくれたご褒美の日」


 あの華やかなショーを思い出して、私は少しだけ顔が熱くなる。ドレスを着て、みんなの前を歩いて……ウイリアムと手をつないで、まるで夢の舞台だった。


「ふふっ……あのときは、ほんとに緊張したんだから」


「うん。でも君、すっごく綺麗だったよ」


 そうさらっと言って、ウイリアムは私の髪をすくって口元にキスを落とす。えっ、待っ──その照れさせ方は反則!


「ば、ばか……!」


「君の照れ顔を見るのが、僕の一番の癒やしなんだよ?」


 どんなナルシスト王子だってば。それでも……私はこういう彼の甘さに、ずるずる負けてしまう。


 


◆


 


 しばらくふたりでだらだらしていたら、執事のカーヴィルが紅茶を持ってきてくれた。背筋ピンの老紳士で、まさに“完璧なる執事”といった風貌。


「旦那様、お嬢様。レモンバーベナのハーブティーでございます。お菓子はナナルカが焼いたフィナンシェを」


「わーい! ナナルカの焼き菓子、大好き!」


「エリーゼ先輩、今日のはちょっと秘密のレシピなんですよ♪」


 にこにこと笑うナナルカは、学院時代の後輩で、今はメイド見習い。ふんわりした栗色の髪に、ふわっとした空気。まるで子ウサギみたいな後輩ちゃん。


「秘密って?」


「えへへ、ウイリアム様から“エリーゼ様の笑顔が一番映える味を”って注文があったので……」


「ちょ、ちょっと!? 何そんなこと勝手に──」


「それに“食べたときに、可愛さで三回くらい転びたくなるくらいの甘さに”って」


「誰が転ぶのよっ!!?」


「僕の心が三回転んだだけさ」


「回数重ねるなーっ!!」


 ウイリアムの甘さは、ドレスよりも破壊力がある。私は紅茶でごまかすように一口飲んで……ああ、ナナルカの焼き菓子、ほんとに美味しい。甘さの中にちょっとした塩気がきいていて、気づけばもう一個手に取っていた。


「……もしかしてこれ、魔法使ってる?」


「さすがエリーゼ先輩! ちょっとだけ、幸せ気分を高める魔法粉を混ぜました♪」


「合法なのそれ!?」


「公爵家御用達のですからご安心を。副作用は、ほっぺがゆるんでにやけるくらいです」


「十分すぎる副作用じゃない!」


 


◆


 


 お茶を楽しんだ後は、ちょっとお庭でお散歩。


 公爵家の庭園は広くて、花壇には初夏の花が咲き誇っていた。ラベンダー、マリーゴールド、バラにペチュニア。どれも職人さんたちが丁寧に育ててくれている。


「やっぱりこのドレス、ラベンダーと相性いいな……」


「えっ、何その急なファッション評論家みたいな声」


「実際、君が着てるワンピースがまた可愛いんだよね。袖のレースとか、襟の刺繍とか」


「ウイリアム、どこ見て……あー、胸元は見るなーっ!」


「目が勝手に……!」


「いや、わざとでしょーっ!!」


 軽く彼の胸をぺしっと叩いたら、彼はそれすらも嬉しそうに笑って、私の手を取った。


 この人はたぶん、毎日がイベントでも平気なタイプ。そして私は、そういう人に巻き込まれながら、なんだかんだで楽しんでしまうタイプなのかもしれない。


「……でも、ありがとう」


「うん?」


「こうして、なんにもない日を、君と一緒に過ごせるの。すごく、しあわせ」


 ウイリアムは一瞬驚いた顔をして、それからふわりと私を抱きしめた。


「僕こそ。君がそばにいるだけで、世界中の宝石が色あせるくらい眩しい」


「そ、それはちょっと言いすぎ──」


「君の笑顔は、僕の人生の最上級だよ」


「……言いすぎ通り越して、もはや犯罪級……」


 でも、そんな彼の腕の中は、まるで陽だまりみたいにあたたかかった。


 


◆


 


 そして夕方。金の光が庭に差し込み、空が茜色に染まり始める頃。


「今夜は、星が綺麗に見えるらしいよ。バルコニーで、ふたりで見る?」


「……うん、見る」


 私は彼の手をぎゅっと握り返した。


 ドレスショーが終わっても、王族の行事がなくても、特別な式典がなくても。


 こうして、ふたりで過ごす普通の一日が、何よりも――


「きらきらしてるね」


「うん。恋とドレスの魔法は、まだまだ解けそうにないな」


 ふわりと吹いた春風に、私の髪と、彼のコートが軽やかに揺れた。


 王都の片隅で、きらきらが続いていく。


 これからもずっと。


 第2章 完結







最後までお読みいただきありがとうございました。感謝です。ポイント評価などいただけると励みになります。m(__)m




新連載始めました。こちらも良かったらよろしくお願います。


【婚約者を姉に奪われ、婚約破棄されたエリーゼは、王子殿下に国外追放されて捨てられた先は、なんと魔獣がいる森。そこから大逆転するしかない?怒りの復讐劇が今、始まる! 】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。