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わたし婚約破棄されました!ルマンド王国魔法学院の卒業式で婚約破棄されたエリーゼ・バンダームは、なぜか?イケメンきらきら王子に告白される?え?どういうことですの?  作者: 山田 バルス
第二章 エリーゼ、結婚生活編

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第6話 坑道アイス屋台で大繁盛編

◆坑道アイス屋台で大繁盛編!◆

【エリーゼ視点】


「ひゃっほーい! 屋台、完成〜っ!!」


私は両手を広げて、目の前にそびえ立つ(?)ピカピカのアイス屋台を見上げた。

木製のカウンターに青と白のテント屋根。「坑道アイス」のロゴが描かれたのぼり旗が風にはためいてる。


「……めっちゃ目立つね、エリーゼ」


ローレンスがちょっと呆れたように言うけど、いいのいいの!


「目立ってなんぼでしょ、こういうのは!」


「でも“坑道”って名前、ほんとにいいの? スイーツっぽさゼロだけど……」


「逆にそれがいいのよ! インパクト大事っ! ほら、見て!」


私が指さすと、通りすがりの子どもがのぼりを見て立ち止まる。


「ねえママ、こうどうアイスってなに?」


「わからないけど、ちょっと見てみましょうか」


「でしょー!? 『え、坑道ってなに? アイス?』ってなるのが狙いなの!」


「うわ……ちゃんと計算してる……」


◆ ◆ ◆


いよいよオープン初日。

私たちは冷却装置“クールフローType-E”を2台並べて、アイス製造の準備万端!


「試作品よりパワーアップしてるよ。魔石2層構造で冷却効率1.3倍!」


「甘さと酸味のバランスを取った『鉱石ベリー』は私のおすすめよ」


「こっちは“黒曜バニラ”! 名前のインパクトなら負けないぜ!」


そう、味もネーミングも“鉱山系”で統一! コンセプトは「冷たくて美味しい、働く人のごほうびスイーツ」!


……なのに。


「お、お客さん来ない……?」


開始30分。通りは人で賑わってるのに、うちの屋台だけスルーされがち。


「え、うそでしょ……ネーミング失敗?」


「やっぱり“坑道”って……スイーツには……」


「でも味はいいのに!」


ガスパルが試食用のアイスをかじって泣きそう。


まずい、まずい……! これは屋台大失敗の流れ……!?


そのとき。


「ちょっとちょっとー!」


どこかで聞いた声が飛んできたと思ったら──ジェームズさんだ!!


「エリーゼちゃん! これ、めちゃくちゃイイ匂いするじゃん! ひとつちょうだい!」


「ジェームズさんっ! もちろんですっ! “冷やし鉱石いちご”いきますねっ!」


「ネーミング最高! よく冷えてて、しかもめっちゃ美味い! これさ、働いてる人たちにも広めようよ!」


ウイリアムさんが、屋台のすぐ横で手を叩いて叫ぶ。


「みなさーん! このアイス、鉱山で生まれたスイーツですよー! 一口で暑さが吹っ飛びます!」


「うわっ、何あれ? 伯爵領の青年貴族じゃん……!」

「ウイリアム様がオススメしてる……じゃあ美味しいに違いない!」


どどどっと人が集まってきた!


「えっ、アイス!?」

「鉱山のアイスってなんかかっこいい!」

「その黒いの何味!? “黒曜バニラ”? めちゃ映えそう!」


◆ ◆ ◆


……そこからは、まさに戦場だった。


「はいっ、“鉱石ベリー”お待たせしましたっ!」

「次、“魔導ミント”ねっ! 少々お時間かかります〜!」


「うわ〜! もうトッピング足りない!?」

「ガスパル、冷却装置の魔石替えて! 魔力落ちてきた!」

「ルナ、追加のカップどこだっけ!? 倉庫!? 私走る!!」


汗をぬぐうヒマもないくらい忙しくて、足もガクガクだけど……でも!


「エリーゼさーん、これおいしい〜!!」

「鉱山ってなんか遠いと思ってたけど、これ食べて行ってみたくなったよ!」


そんな声が聞こえるたびに、疲れなんてふっとぶ。


◆ ◆ ◆


「……売上、すごいなこれ……」


ローレンスが伝票を見ながら目を丸くする。


「ほんと……え、昨日だけでこの数……!?」

「ていうか“坑道アイス”って王都でも話題になってるよ!? ほら、新聞! “まるで魔鉱石を食べてるみたい”って!」


私たちは顔を見合わせて──


「「やったあぁぁ!!」」


ガスパルが思いきり飛び跳ねた。


ルナはひとり静かに感涙してるし、ローレンスは「これ……本格的に商売にしないか?」と真剣な顔。


「じゃあ、次は“移動式アイスカー”作る!?」

「テント付きで冷却装置4台くらい積めるようにして……」

「待って、商談きた! 商店街の人がフランチャイズしたいって!!」


夢はどんどん広がっていく──


私たちが鉱山から持ち帰った“冷たくて甘いしあわせ”が、今、王都の人たちの心をふんわり冷やしていってるんだ。


ふふっ。


「ねえ、“坑道アイス”って名前……悪くなかったでしょ?」


「はいはい、参りました」

「エリーゼ、やっぱセンスあるわ……」


みんなが笑う。


こうして、“鉱山スイーツ革命”の第一歩は、大成功で幕を開けたのだった!

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