幕間④
今日はこれまでほど走り回っていないとはいえ、やはり汗はかいている。
空腹を満たした後の熱いシャワーは格別だ。生き返る心地がする。
注文したASTERのNo.4のボトルからシャンプーを手のひらに受け、そのまま泡立てる。
頭皮を揉むようにして、髪を洗っていく。
キューティクルがハゲるので、髪同士が擦られないように意識を忘れずに。
「……、」
毛先まで撫でるように指を通しながら、物思う。
神代くんには内緒にしていたが、実は、足利くんのグループが受験生を失格させる方法については、八割がた締め出しによるものだと推測していた。
理由は、彼らの行動人数。
初日はわからないが、二日目に足利くんグループで姿を見かけたのは、ボスである足利くん、解答を取り合った小野寺くん、そして中央ブロックの高橋くん。実は、この三人だけだった。
残りの二人の行方が終日わからなかった。
そして、この日ターゲットにされたのも、佐藤くん・織田さんの二人。この人数の一致に、最初に目をつけた。
すなわち、姿をくらまして、一人一殺の罠を仕掛けていたのではないか、と。
そして三日目の今日。昼間の食堂では四人の姿しか見えず、小野寺くんの姿は見かけなかった。
朝に足利くんのグループが神代くんに絡んでいたことからも、小野寺くんは神代くんを仕留めるべく何らかの方法でコテージに侵入・潜伏し、門限締め出しの工作を画策している可能性が高いと考えた。
だから取引ルームを出て神代くんと別れた後も、彼がコテージに入るまでは様子を見守った。
偶然見かけた、というのは嘘だ。
案の定、扉が開かないようで、神代くんは失格寸前まで追い詰められていた。
それを、わざとギリギリのタイミングまで待ってから助けた。
一度、彼を崖っぷちまで追い詰めるために。
半ば確信を持っていた「締め出し」という方法を神代くんに教えなかったのも、同じ理由だ。
結果、彼は私の想定通りに打ちひしがれ、絶望の沼に沈んだ。
そして、その上で。彼の心を拉ぎ折った。
これで、彼は自分の非力さを痛感し、理想とする姿への憧れを潜在的に強く募らせたはずだ。
「……ふふふ。さぁ、何が出てくるか」
シャンプーを洗い流し、コンディショナーを髪に浸透させていく。
指通りが滑らかで、気持ちが良い。
「――明日からが、愉しみね」




