表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソファベッド  作者: 中島 世期 seki
1章 猫にマタタビ:僕の憂鬱
47/88

47話 根回し

【蒲が根回しを始めて一か月になる】


 本来、人に頭を下げるのは苦手の蒲が毎日のように、立花編集長の紹介でまずはメーカーを回っているが、中々成果にはつながらない。


 メーカーが俳優やタレントを起用するには、多くの場合は広告代理店を通す。広告の内容やイメージ、芸能プロダクションのコネクションと力関係などが加味されて、メーカーに絵コンテで提案される。しかし、決定権はお金を出すメーカーである。


 茂呂社長の時もそうだが、一歩間違えると権力を誇示する道具になりかねない。まるで、部下のように連れまわされるリスクはあるが、メーカーと上手に契約した方が得である。メーカーが指定した俳優、タレントを広告代理店は変える事が出来ない。


 天十郎は幸いにもイメージがまだ固定していない。黒川氏の美容室のイメージモデルを務める事によって、さまざまなイメージを発信できる。つまり営業できるメーカーは広くなるのだ。ただ、蒲はうんざりしている。


 毎日のように自分だけ外出をしているのだ。玄関ホールで天十郎と夏梅が仲良く並んでにこやかに「いってらっしゃい」と、言われるたびに頭に来ている。天十郎を忙しくさせてやる!今はそれだけが蒲の原動力だ。


 僕に「二人をしっかり監視しろ」しつこく言う蒲だが、僕は全く相手にしていなかった。蒲がいなければ、夏梅のそばにいる必要もなく、緊張感のない日々を送っていた。



 【蒲が天十郎の住所を隠すために動いている事は、夏梅も知っていた】


「ふーん。私の出来る事ならやってもいいけど」天十郎を見ないで答えた。思わぬ夏梅の応援に照れ隠しか?天十郎は「お前も可愛いところがあるな」夏梅に頬刷りすると「夏梅は肌がぷよぷよで、しっとり吸い付く抱き枕としては最高だ」と、余計なことを言った。


 その一言で夏梅がヒートし始めた。

「デカマッチョ、私は枕か!」


 その騒ぎに慌てたように「それなら、もちろん俺も協力するよ」と和樹が口をはさんだ。

「私も協力するよ。ただ、正直、リスクヘッジも取れない状態で大きな投資をするのは危険すぎる。とりあえず、黒川さん、事務所の契約はいつまでだっけ?」

「和樹さん、立花編集長ありがとうございます。契約は三月までです。ですから、四月から一年間やってみてもいいかと思いますが…。それに天十郎の本業の俳優の仕事が取れないとまずいでしょう。もし、うちで出来なければ、その時は大手のプロダクションに移れるように手配するのは立花編集長、どうでしょうか?」

「いいと思いますが、その時は、住所の件は諦めてもらわないとなりませんね。半年くらいで方向性がわかるかも知れないから、その時にまた本格的に動くかどうか考えましょうか?」

 立花編集長は答え、和樹が頷いた。


 後日、蒲から天十郎の新しい事務所開設に向けての話を聞いた。表向きは、今の事務所が仕切っているような形だが、実情は今の事務所と専属モデル契約をした黒川氏が全面的に仕切り、月三回の代理店向けのフェイスコーディネイト研修で、天十郎が参加するメイク指導を行う。


 おかげで、天十郎が直接する事はなにもなくなり、黒川氏の指定した日と場所に蒲と和樹たちと外出すればいいだけになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ