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終期超越 シドシワルワ  作者: 弥島真
第2章 歪みゆく日常
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6 「終り」は愉快に開花する

「艦長、警備隊がWSIを直接無力化すべく動いたようです」

「そうか」

「WSIを直接、強制終了させる方法は船員に伝えるべきでしょうか?」

「下手にリスクを冒させることになりかねない。だからあえて言う必要はない」

「了解しました」

「それにしても……何故WSIが一斉に制御不能に……。やはり、この前の事と関係があるのか……。シュン」

「はい」

「この前起こった、WSIが起動したという記録が残っていた日にちと、その周辺の日にちのエンドレス内の映像を、集めておいてくれ」

「了解しました」

「なにか分かればいいが……」




 ――4階・展望エリア――



 刃を装備したWSIが、軽快な動きでレナードとアンナに襲い掛かっている。一瞬たりとも気を抜けば、その鋭利な刃に肉を抉られてしまう。

「どうするっ! このまま向こうのエネルギー切れでも待つのか?」

「それは難しそうねっ」

 WSIの猛攻を幾重にも躱し続ける2人。流石に、疲労の色が見え始める。

「おとなしく隠れていればよかったかしら?」

「いずれトレーニング室の方にも来ただろう。結局は同じさ」

「でも、さすがに疲れてきたわね。私のエネルギーの方が先に切れそう」

「無駄口をたたいているうちはまだ大丈夫だな」

「困ったわ。無駄口もたたけないなんて」

 2人が次の攻撃に構えた時、突如WSIに銃撃が浴びせられた。WSIは銃撃があった方向へ向き変える。

「銃?」

 2人もその方向を向くと、警備隊の面々が銃を構えて立っていた。

「ターゲット、こちらを捕捉。我々の方へ向かってきます」

「オーケー」

「ですが……」

「ああ。銃を装備していない」

 警備隊の1人が、レナードとアンナに近づいてきた。

「大丈夫か?」

「俺たちは平気だ」

「それはよかった。ところで、なぜあのWSIは銃撃を行っていない?」

「私たちがボタンを押したからよ。そしたらああなったわ」

「なに? 既に押していたのか!? だったらなんでまだ動いて……」


「来るぞ、構えろ!」

 WSIが警備隊に突進してくる。警備隊はそれぞれシールドを構え、突っ込んでくる刃を振りかざす猛獣を受け止めるべく、力を入れる。

「ぐううっううぅ」

「くっっがぁぁああぁ」

 WSIの動きが止められているこの瞬間に、レナードたちに駆け寄っていた警備隊の隊員が、ポケットから武器を取り出し、WSIのもとへ向かう。

「強制終了できないのなら、壊すしかないよなっ」

 武器についているスイッチを押すと、武器の先端から数十センチの炎のようなものが噴出される。隊員は、その噴出した部分を、WSIの後方の左脚部に当てる。WSIの脚部は徐々に炎のようなものに切断されてゆき、やがて全て切断されると、WSIはバランスを失い左後方へと傾いた。

 警備隊の一連の動きを見て、レナードとアンナは感嘆と羨望の声を上げる。

「流石ね。私もアレ、欲しいわ」

「ああ。俺もだ」




 ――2階・食堂――



 食堂では、膠着状態が続いていた。

「なあ、いつまでここに隠れてればいいんだ……」

「そりゃ、アイツがどっか行くまでじゃない?」

「……こうしてんのも飽きてきたな。ちょっくら遊びに行ってくっか」

 テーブルの下から出ようとするミヤカを、ユゼは急いで制止する。

「待て待て待て待て!! なな、なにやろうとしてんだ!」

「こっから出るだけだろ。んなこともわかんねぇのかお前は」

「こんな時に出たら撃たれるに決まってんだろ! 隠れてろ!」

「どうだかな。さっきからあの犬、動く気配ねぇし」

 食堂を襲ったWSIは、最初の銃撃以降次の動きを見せていない。数分間、沈黙を貫いている。

「なんであれが動いてないのかは知らないけど、もう少し賢く生きようよミヤカ。今はどう考えても大人しくしてた方がいいって」

「蒼史……」

 ミヤカは蒼史の肩をポンポンっと叩き、2回ほど頷く。

「年は取りたくねぇな」

 そう言ってミヤカは再び飛び出そうとする。が、その瞬間、遠方から声が聞こえてきた。

「発射しろ」

 WSIに銃撃が浴びせられる。WSIは銃を撃たれた方向へ向きを変え、ゆっくりとその方へ進んで行き、反撃と言わんばかりに銃撃を開始する。

「んだ? 動き出しやがった」

 ミヤカはテーブルの下から飛び出し、状況を確認しようとする。

「あっ! バカ! は、早く戻れ!」

「向こう行ったぜあの犬。あれは……警備隊の連中か」

「警備隊?」

 ユゼがテーブルの下から出てくるが、蒼史とルイザはテーブルの下に居たままだ。

「警備隊が引き付けてくれているのか……」

 2人が遠くからその様子を見ていると、別のところから、攻撃を受けているグループとは違う別の警備隊が近くを通っていった。

「1階のWSIは対処した。援護する」

 警備隊が合流し、ともに食堂を襲ったWSIの対処をする。

「どうやら、クソ犬の躾は警備隊がやってるみてぇだな」

「そうみたいだな……。みんなは……無事だろうか……」

 ユゼは、エンドレスの乗員、なにより、チームメンバーのみんなの安否を願った。








 <私たちの脅威となり得る 人間の1番の兵器を探している同志の 反応が消えている>


 <感づかれ 消されたのか?>


 <さらには ここで放ったWSIという人間の兵器も 次々と私たちの手が及ばなくなっている>


 <破壊? 脅威?>


 <人間には この程度の攻撃では 通用しないということか>


 <やはり 警戒していて正解だった だがこれでは>


 <当初の目的 私たちの脅威となり得る兵器の除外は 難しいものとなった>


 <仕方がない 出来るだけ邪魔な要素は取り除きたかったが そろそろ 同志を呼ぶとしよう>


 <私たちはここで終わる 同志の繁栄を願う>







「ん? これは……」

「どうした」

「艦長、前方の宇宙空間になにやら反応が……」

「反応? どのような反応だ」

「ワームホールが開く時と近い反応です」

「ワームホール? 何故ここに……」

 その時、前方の宇宙空間に突如として巨大な穴が開いた。そして、どこからともなく衝撃が発生し、エンドレスはその衝撃を受け船体が激しく揺れる。

「きゃあっ!」

「なんだ! どこから……」

 船体に揺らされ、視界をずらされたが、すぐさま前方の巨大な穴にもどす。が、そこに映ったのは、大きな穴だけではなかった。

「なんだ……あれは……」

 コックピットに居る全員が、前方で起こっている「今」に目を奪われる。

 巨大な穴より、今にも開花しそうな巨大な蕾のようなものが出てくる。

 その理解しがたい光景に、その場の誰もが口を開くことが出来なかった。

 蕾が完全に姿を現すと、その蕾と繋がっている「本体」が出てくる。本体は蕾よりも巨大で、本体にもまた複数の蕾が付いている。

 本体が完全に巨大な穴から出終わると、数百メートルはある、その圧倒的な存在感を見せつけるかのように、その場に佇む。

「か……艦長……。あれ……は……」

「……ついにきたか。しかし、この状況で……」

 しばらく、状況が膠着すると思われたが、向こうはそんなことは知らないと言わんばかりに、次の行動を始める。

 ある、1つの蕾が、開いた。

「蕾? が、開いた……」


 これにより、人類の新たな歴史の幕が開かされた。


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