表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/410

99 プリンシパルポーションの五十九番

 アヤはやはり名を変えていた。

 フミユ。



 覚悟していたこと。


 重いものを大量に飲み込んで動けなくなったかのように、言い表すことのできない悲しみが胸を支配するのを感じただけ。



 アヤは聞き耳頭巾を持って出かけたことも覚えていない。

 それどころか、自分はパリサイドとしてずっとここで暮らしてきたという。

 ある会社の事務員として働いているとまで言ったそうだ。


 ふと、願った。

 今から会う、フミユと名乗る女性が、アヤではないことを。


 しかし、大勢の隊員が、それに一時は上官だったコリネルスが見て、そして話までしているのだ。

 間違いようがない。

 ただ、あのサリの例もある。

 あの時、スゥの洞窟で隊の全員が騙されたのだ。


 イコマは、人違いという結末に一縷の望みをつないだ。



「プリンシパルポーションの五十九番を買ったそうだ」

 アヤは薬を買いに出たところだったらしい。


「聞き出せたのはそれだけ。すまない」

「こちらこそ、すまなかった。連日、疲れたろう。ありがとう」

「いや」

 コリネルスが微妙に笑ってみせた。

「いい、運動になった」


 地球を出てからというもの、ただの一度も隊としての作戦行動はない。

 倦怠感が生まれている中で、隊員達にとってもいい刺激になった。

 現に、勇んで完全武装までしてきた隊員もいる。

 コリネルスの目はそう言っているのかもしれなかった。



「ほとんどの隊員は休息に回したが、アヤちゃんには精鋭を付けている」

「うむ」

「それにしても、いったい、どうなっているのか、妙な話だ」


「服装は?」

 スゥの問いに、コリネルスは首をひねった。

「薄いピンクのシャツ。頭から被るやつ。パンツは濃紺で、履物は、そうだな、白っぽい普段履きの靴だったな」

「そう……」


 イコマはもう、それが出かけた時のアヤの服装なのか、とは聞かなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ