97 代役、どうってことないよ
チョットマは平然としている。
「レイチェルはアヤちゃんのところへ行く。そして記憶を蘇らせる。私はレイチェルのクローンだから、代理としてアイーナ市長に会いに行く。それで、どこがおかしいの? クローンを連れて来いって言ってたんでしょ」
「チョットマ、ありがとう。でも、それはいくらなんでも……」
「レイチェル、プリブは私にとって大切な人。それに、隊にとっても大切な人よ。隊員である私がここで働かないと、スジーウォンやンドペキ、ハクシュウに顔向けできないじゃない」
「チョットマ、おまえ、まだ体が」
スジーウォンが押し止めようとするが、チョットマは飛び上がってみせ、ほら、と緑色の長い髪をなびかせた。
「大丈夫よ。ねちねち嫌味を言われるだけでしょ。どうってことないよ。もしかしてプリブのことが少しでも分かるなら儲けもの、じゃない」
「でも」
「レイチェル、いつからそんなに気弱になったの? でも、でも、って。私さ、レイチェルの凄さを知らなかったなあ、ってよく考えるのよ。スゥの洞窟でことごとく楯突いてたけど、レイチェルはすごいなって」
「そんなこと……」
「私、レイチェルのクローン。恋人探しのために作られた。でも、その役割は果たせなかった。期待に応えられなかった」
「本当にごめん。でも、もうそんな話は……」
「ううん。嫌味で言ってるんじゃないのよ。少しくらい、私に役に立たせて、ってこと」
チョットマはレイチェルからアイーナ市長の部屋を聞き出し、駆け出していった。
「念のために」と後を追うスミソ。
「頼んだよ」とスジーウォン。
レイチェルはチョットマの姿を目で追うこともなく、口元を引き締めた。
「さ、行きましょう。早くバードの元へ」
と、彼女にとっての呼び名でアヤの名を呼んだ。




