92 いい人みたいに見えたんだけどな
チョットマが戻ってきた。
アヤの様子を聞いた後、アイーナとの一部始終を聞かせてくれた。
一服の清涼剤といったところ。
ンドペキは気持ちを切り替えてその話を聞いた。
「それでね、頼まれごとがあったんだ。レイチェルとスジーウォンには報告済みだよ」
「何を頼まれたんだ?」
イコマも同じ気持ちだったようで、先ほどまでとは打って変わって、明るく合いの手を入れている。
スゥに至っては、胃腸薬でも飲んでおいたら、などと言って、笑顔を見せている。
そう。
チョットマに向かって深刻な顔をしてみても、何も始まらない。
「イッジが出て行った後、アイーナはそれはそれは大きな溜息をついて、私の腿をバシバシ叩いて、こう言ったのよ」
頼みごとを聞いて欲しい。
地球から避難してきた人達、どんな様子なんだい。
大体は聞いてるよ。講師連中や、うちの係員から。
でも、どの報告も上辺しか見ていないような気がしてね。
そこでチョットマ、あんたに頼みたいんだ。
みんな、困りごとや、悩みごと、不安に感じていることや、希望していることなど、たくさんあると思うんだよ。
それを、私に知らせて欲しい。
どんな些細なことでもいい。
きっと分からないことがいっぱいで、私達を不審に思っている人もいると思うんだよ。
こういうことを頼むのも、パリサイドに着くまで、もうそんなに日数はかからないから。
向こうへ着いたら、どうしてもらうか、つまり当面は一か所に集まって住んでもらうか、というようなことを決めなきゃいけない。
でも、どうするのがいいか、判断がつきかねているんだよ。
もちろんレイチェル長官と話して希望を聞くつもり。
でもその前に、ある程度は知っておきたいんだ。
私に報告しておくれ。
チョットマを信頼してるから。
そうだな、一日おきくらいでいい。
あんたも何かと忙しいだろうから。
あ、そうそう、ちゃんとお給料は払うよ。
時間はいつでもいい。
秘書官に言っておくから。
もし夜でも、誰かいるから、私に取り次ぐように言ってくれたらいい。
それから、あまり他人に言いふらさない方がいいよ。
スパイみたいに思われたり、メッセンジャー扱いされるのも辛いだろうから。
「ということだったの。分かったって応えたけど、パパもンドペキも、いいでしょ?」
「いいことじゃないか。レイチェルもスジーウォンもオーケーしたんだろ」
「うん」
ンドペキは、明るい話題だと思ったし、チョットマはもう心配ないと確信した。
「それから、サリのことも聞かれたけど、最近会ったことがない、って言っておいた。実際、そうだし」
そして呟いた。
「私には、アイーナ、いい人みたいに見えたんだけどな」




