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92/310

92 いい人みたいに見えたんだけどな

 チョットマが戻ってきた。


 アヤの様子を聞いた後、アイーナとの一部始終を聞かせてくれた。

 一服の清涼剤といったところ。

 ンドペキは気持ちを切り替えてその話を聞いた。



「それでね、頼まれごとがあったんだ。レイチェルとスジーウォンには報告済みだよ」

「何を頼まれたんだ?」


 イコマも同じ気持ちだったようで、先ほどまでとは打って変わって、明るく合いの手を入れている。

 スゥに至っては、胃腸薬でも飲んでおいたら、などと言って、笑顔を見せている。


 そう。

 チョットマに向かって深刻な顔をしてみても、何も始まらない。




「イッジが出て行った後、アイーナはそれはそれは大きな溜息をついて、私の腿をバシバシ叩いて、こう言ったのよ」


 頼みごとを聞いて欲しい。

 地球から避難してきた人達、どんな様子なんだい。

 大体は聞いてるよ。講師連中や、うちの係員から。

 でも、どの報告も上辺しか見ていないような気がしてね。


 そこでチョットマ、あんたに頼みたいんだ。


 みんな、困りごとや、悩みごと、不安に感じていることや、希望していることなど、たくさんあると思うんだよ。

 それを、私に知らせて欲しい。

 どんな些細なことでもいい。

 きっと分からないことがいっぱいで、私達を不審に思っている人もいると思うんだよ。


 こういうことを頼むのも、パリサイドに着くまで、もうそんなに日数はかからないから。


 向こうへ着いたら、どうしてもらうか、つまり当面は一か所に集まって住んでもらうか、というようなことを決めなきゃいけない。

 でも、どうするのがいいか、判断がつきかねているんだよ。

 もちろんレイチェル長官と話して希望を聞くつもり。

 でもその前に、ある程度は知っておきたいんだ。


 私に報告しておくれ。

 チョットマを信頼してるから。

 そうだな、一日おきくらいでいい。

 あんたも何かと忙しいだろうから。


 あ、そうそう、ちゃんとお給料は払うよ。

 時間はいつでもいい。

 秘書官に言っておくから。

 もし夜でも、誰かいるから、私に取り次ぐように言ってくれたらいい。


 それから、あまり他人に言いふらさない方がいいよ。

 スパイみたいに思われたり、メッセンジャー扱いされるのも辛いだろうから。




「ということだったの。分かったって応えたけど、パパもンドペキも、いいでしょ?」

「いいことじゃないか。レイチェルもスジーウォンもオーケーしたんだろ」

「うん」


 ンドペキは、明るい話題だと思ったし、チョットマはもう心配ないと確信した。


「それから、サリのことも聞かれたけど、最近会ったことがない、って言っておいた。実際、そうだし」


 そして呟いた。

「私には、アイーナ、いい人みたいに見えたんだけどな」

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