90 アヤちゃん、発見!
「ごめん、気が利かなくて。うちの隊から誰か、秘書役や使い役を出せばよかったね」
「大丈夫。マリーリがいるから」
アンドロ、マリーリ。
久しぶりに聞く名。
地球から離れ、この船に乗船してからもレイチェルのSPとして活動している。
太陽フレアによる混乱の中で姿を消した者、アンドロの次元に残った者が多い中で、マリーリはレイチェルと行動を共にしている。
「彼女、元気にしてる?」
「うん。元気よ」
アンドロ次元のエネルギー安定装置シルベスに娘を、いわば生贄として残し、心中には堪え切れない寂しさが沈殿しているはず。
だが、献身的と言えるほどに職務をこなしている。
ただ職業柄か、あるいはレイチェルの方針か、マリーリの心情がそれを許さないのか、ほとんど表舞台には出てこない。
レイチェルはチョットマに微笑みかけ、ンドペキとは目を合わせ、そしてもう泡の消えたソーダー水を口に含んでから、
「ほかの人の話もあるけど、それは簡単にするわね」
と、早口に話しだした。
「軍の総指揮官、トゥルワドゥルーという男性。ユウの上官にあたるから、人物像はさておき」
と、ここで隊員が飛び込んできた。
「報告します! アヤちゃんを発見!」
全員が飛び上がるように立ち上がった。
「よかった!」
「よし!」
「迎えに!」
「どんな様子?」
「怪我とかしてない?」
「レイチェル、ごめん。話は後でまた」
胸騒ぎがした。
隊員の顔にも声にも、喜びがなかった。




