87 先に、すべて報告しろ!
次に治安省の連中。
これも可能性は低い。
彼らの動きには謎が多いが、プリブという男を調べてみたところ、ニューキーツの正規軍、東部方面攻撃隊に所属しているというだけで、特段の思想を持っているとは思えない。
仮装癖があるという情報もあるが、趣味の域を出ていない。
その証拠に、衣装類をニューキーツに置いてきたことを未だに嘆いているらしい。
部屋を探しているという情報もあるが、街の不動産業者を訪ね歩いていて、とても秘密にするような探し方ではない。
従って、治安省が動く理由が見当たらない。
それに加えて、治安省が白昼堂々、往来であのような仕事をするときは、当方へあらかじめ一報あるのが通例。
「ねえ、ママ、座っていい?」
ふざけるな、とアイーナに叱られ、イッジはわざとらしいため息をついて、改めて直立不動の姿勢をとった。
「では、報告を続けます」
次に、軍所属の部隊。
精鋭はパリサイドに残されているため、このスミヨシにはこれといった部隊は配備されていない。
少なくとも、そういうことになってる。
でも、これって、建前よね。
それに、どんな理由があって、軍はプリブの身柄を拘束したのか。
治安省の場合より、理由を探すのが更に難しい。
そもそも軍は、人類以外の敵を想定した部隊であって、この数百年間、未だ一度の出撃例もない。
「もしさ、軍だったとしたら、トゥルワドゥルーの親父、血迷ったとしか思えないよね」
「イッジ! そういうものの言い方は慎め!」
「いいじゃない。そちらのお方、軍の人じゃないみたい。でしょ?」
「先に、すべて報告しろ!」
「ハイハイ」
残された可能性は二つ。
キョー・マチボリー船長率いる乗組員達。
そして、未知の組織。




