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77 おや、嬉しくないのですか

「現在、当船はご承知の通り、ピークサーフ航行中ですが、ハイエッジ状態でありまた、プリミティブエナジーが極大化しています」


 意味が分からない。


「そのため、パリサイドへの到着はかなり早まる予定です」

「そうですか」


 そう応えるしかなかったが、キョー・マチボリーはその反応に不満だったのか、

「おや、嬉しくないのですか」と、聞いてくる。

「太陽フレアから救ってくださっただけで、今は満足していますので」



 それは事実。

 しかし、これからどうなるのかという不安はある。


 そもそも、地球を出てからまだ数週間しか経っていない。

 とりあえず住むところを得て、支給される通貨を利用してその日暮らしを始めたばかり、という段階である。


 中には、生きていくための仕事を見つけようとしたり、商売を始める準備をしている者もいる。


 ただ、講師から聞く話には、この先のことについての示唆はない。

 どこに向かっているのかさえ、明確にされていないのだ。


 地球から来た者にとっては、この宇宙船での暮らしが相当の年月続くのだろうという漠然とした思いがあるだけ。

 先の見えない不安。

 そんな言葉が人々の口から出ては消え、たいしてすることのない日々を送っているのだ。



「でも、早く到着するのは嬉しいことですね」

 そう返しながら、窓の外を見た。


 さまざまな色や光が、荒れ狂う嵐のように通り過ぎていく。

 船は、単に宇宙の暗闇を粛々と進んでいるのではない。

 それくらいのことはわかる。

 次元の隙間、そう一般的に言われているスペースを旅しているのだろう。



「いつごろ、なんでしょう?」

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