7 真夜中の訪問者
その少し前。
心配顔のスゥが留守番をしていた。
チョットマはスゥと話しながら、ンドペキの帰りを待ったが、夜が更けていくだけ。
すでに零時を回っている。
「探しに行こうかな」
「だめよ」
と言われても、いったんそう口にした限り、簡単に引き下がれない。
「ねえ、スゥ。私もアヤちゃんと同じように……」
不思議な声を聴くことができる。だから、きっとアヤやンドペキと出会えるはず……。
「だめ」と、スゥに念を押された。
「チョットマまで危険に晒すわけにはいかないわ」
「危険?」
チョットマは、その危険とはどんなものか、見当もつかなかった。
確かにプリブは、目の前で連行された。
「でも、プリブのこともあるじゃない。何かが起きてるのよ。だから、ここで待っていても」
「自分勝手に動かないで」
スゥは穏やかに話しているが、うむを言わせない厳しさがある。
「あなたが夜の街をうろついても、プリブを取り返せるはずがないでしょ」
「……そりゃそうだけど」
自分でもそう思う。
でも、なにか手がかりが、などと思ってしまう。
「ンドペキやアヤちゃんが、今頃なにか見つけて」
「行っちゃだめ。力づくでも」
スゥの目くばせで、スミソがそっと移動し、そのパリサイドの巨体で扉を覆い隠した。
「ふう」
チョットマはため息をついたが、自分に何かできると思っていたわけではない。
何もしないよりは、と思っただけ。
「待つしかないか」
「そうよ」
「ねえ、スゥ」
ふたりはいろいろな話をした。
ニューキーツの思い出。
今の状況。
イコマのこと、ンドペキのこと。
ユウ、つまりパリサイド名JP01のこと。
レイチェルのこと、スジーウォンのこと。
セオジュンやアンジェリナ、ニニのこと。
そして、パキトポークのこと。
「誰か来たようです」
スミソがドアの前で武器を構え直した。
スコープにはひとりのパリサイドが映し出されていた。
再びブザー。
「フイグナーという者です」と名乗っている。
かなり小柄なパリサイドだ。
「こんな時間に失礼ですが、ンドペキ殿はご在宅でしょうか」
フイグナーと名乗った男は、深々とお辞儀をして、再び案内を乞うた。
「何の用だ」
「ンドペキ殿とお話をしたくて参りました」