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69 どの程度の出来栄えか、見てやる

 会談は終わりだ。

 秘書官がドアを開いた。


 このままでは帰れない。

 これでは単に、叱られに来ただけ。


「アイーナ。プリブの件、よろしくお願いするわ。なにか、わか……」

 しかし、その声も怒声に遮られてしまう。

「うるさい! あたしは忙しいんだ!」


 顔に血が昇るのを感じた。

「うるさい?」

「あたしに指示するな!」

「どういう言い方かしら。それに、うるさいのはどっち?」



 クッションの肩の辺りが震えた。

 怒りが爆発する前に、もう一言、付け加えておこう。



「それに私、ニューキーツの行政長官はしていたけど、地球人類全員の代表でも何でもないわ」

「なに!」

「それは、これからみんなで決めるのよ」

「なら、さっさと決めておけ!」

「私が頼んだプリブの件、これはあなたの仕事でしょ。市民が不当に連行されたのに、何も手を打たないの? 市民代表議員主席、パリサイド中央議会議長として、つまり市長ってことよね。いいのかしら? 調べることもしないで」

 

「だれが、調べないと言った!」

「じゃ、お願いするわ。今度いつ来ればいいかしら。それとも、どなたか寄越してくださる?」

「明後日! 明後日の午後十六時丁度に! 一秒たりとも遅れるな!」

「ありがとう。わかったわ。でも、もう三分四十秒、経ってますよ」



 ぶるぶる震えている巨大クッションに背を向けた。

 これ以上、ここで粘っても得るものはない。退散が得策。


「お邪魔しました」と、部屋を出て行こうとしたとき、声が追いかけてきた。


「あんた、クローンを持っているそうだな! 地球ではまた許されるようになったのか!」

「いいえ」

 振り向きもせず応えると、

「今度、連れてこい! どの程度の出来栄えか、見てやる!」

「それは光栄なこと。でも、それは本人次第ね」

「クローンだろうが!」


 アイーナはまだ怒鳴り声をあげていたが、秘書官が静かにドアを閉め、ニヤリとした。


「ご無事で何より」

「はい。ありがとう」

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