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43 念のためペアルームに
マスカレードの夜を思い出しながら、イコマはオペラ座の中を歩き回った。
誰でも自由に立ち入ることができる通路は、あの日と違って今朝はがらんとしている。
オペラ座は四層。
一、二階はシングルルーム、三階はペア用で、四階は多人数用。
それぞれ階の中央部に、ちょっとしたレストスペースがあり、軽食なども売られている。
どこもかしこも、一階のエントランス同様、全く無機的で演出的要素も癒しの要素もない。
3666という番号の書かれた部屋の前まで来た。
あの夜、チョットマと一緒に入った部屋。
今朝はここも空室。
覗いたところで意味はないが、ドアを開けた。
軽く開くが、中に入って一旦閉めてしまうと、自動的にロックがかかる。
と同時に、壁と同化してしまう。
扉のあった位置には、開けるための小さなハンドルがあるだけ。
完全な立方体。
床も壁も天井もメタルな質感を持った薄灰色の素材で塗りこめられてある。
ほんのりと光を放っているようで、暗くはない。
中央には、パウダー状の素材でできたベンチ。
腰を下ろすと自ら変形し、体に合わせて頭部からつま先までホールドしてくれる。
連動して、空間は立方体から球形に変化し、コントローラーがベンチの前に浮かび上がる。
この時点で既に、仮想空間へと移行しているというわけだ。




