402 真相の真相 蚊が、草陰で露を吸っておればいいものを
人間は自分の小ささをもっと思い知らなくちゃいけない。
宇宙空間は無限。宇宙の数も無限。次元の数だって無限にあるんだ。
そこに生息する生物種族なんて、生物と呼べるかどうか分からない連中も含めて、それこそ無限にいるんだ。
とんでもなく進化した連中も多いんだ。
人類なんて、彼らから見れば、ただの無脳生物みたいなものさ。
ちょいとばかり科学技術を持ったからって喜び勇んで宇宙に出かけて行き、メッセージを発信しちまった。
自分の存在を奴らに知らせただけのこと。
蚊が、草陰で露を吸っておればいいものを、のこのこ飛び出して行って、人間の顔の周りを飛び回ったらどうなる。
その蚊がフレンドリーに近づいて来たと思う奴がいるかい?
握手しようとしているのか、血を吸おうとしているのか、考えてみたことはあるかい?
区別ができるかい?
蚊に聞いてみたことはあるかい?
そういうことなんだよ。
人類はロームスの襲来を察知していた。
しかし、防ぐために取れる手段は何もない。
あたしたちの血も肉も、たちまち微粒子レベルに粉砕され、宇宙空間に撒き散らされるのみ。
時間はない。
明日にでも、いや、今日、もしかすると数分後には人類は滅亡する……。
できることは、過去に人を送り込み、できることならロームスを、そしてまだひよっこだったパリサイドを消滅させることだけだったんだ。
オーエンが構築していた過去への移行装置。
これが唯一の頼り。
パリサイドが地球に接近する中、何万人も送る時間の余裕はない。
人選している余裕さえない。
しかも、オーエンの装置はそんなに巨大な口を持っているわけでもない。
ただ手当たり次第に、その口に人を放り込むだけ。
誰もがパリサイドの襲来から逃れようと、その装置に向かって殺到した。
たまたまなんだよ。
あたしは装置のすぐ近くにいた。
ある会社の配達員として、事務用品を届けに行ってたのさ。
あたしは飛び込んだ。




