40 聞きたくない そんな繰言
「ねえ、スジーウォン」
返事はくれない。
「おかしいと思うでしょ。プリブ、ンドペキ、スミソって、それって、私がなにか……」
最後まで言わせてくれない。
「変なことを考えるんじゃない」
「でも」
「誰が言ったんだ? おまえのこと」
「ううん。誰も」
「だったら、そんなばかなことを考えるな」
スジーウォンの顔が初めてこちらを向いた。
「ははあ。さては、まだあのことを気にしてるな」
あのこととは。
それはあるかもしれない。あれからまだ、ほんの数ヶ月。
自分の考えの至らなさで、三名もの隊員を死なせてしまったこと。
「私があの霧の中に突っ込んで行ったとしても、おまえほど上手くやれなかった」
返す言葉がない。
しかし、チョットマは思う。
「私、意識しないで、とんでもないことをしでかしてしまったとか……」
つい最近まで、自分がクローンだということさえ、知らなかったほどだから。
スジーウォンは天を仰いで、やれやれという顔を見せたが、すぐに真顔に戻って、
「聞きたくない。そんな繰言」
と、突き放されてしまった。
「訳がわからなくて……」
「くどい。聞きたくないと言ったぞ」
しかし、スジーウォンも悩んでいるようだ。
珍しく、慎重に言葉を選んで、話題を繋いでくれている。
「プリブはともかく、ンドペキとスミソは……」
「……」
「ユウに聞いてみてくれないか。きっとこの母船の、あるいはパリサイドのなんらかの……」
「しきたり?」
「特殊な仕組みが……」
そうかもしれない。
夜に出歩いて。しかも双戯感謝祭の当日に。
でも、それならなぜンドペキとスミソだけが。
「他にも、いるのかな。あんな目にあってる人」
「うーむ。聞いてないが……。ユウは何か、この祭のこと」
「ううん、なにも」




