2 逮捕ねえ
不安が湧き上がってくる。
このところ、母船を覆う、得体のしれない寝汗をかくような不安。
太陽フレアの襲撃から逃れた人々、アンドロ達、そしてパリサイドとなったアギは、地球各地から全員がこの船に集結している。
船名は「スミヨシ」
ニューキーツ市民が乗りこんだ「あけぼの丸」を含め、すべてのシップもスミヨシ内に格納された。
地球市民の数、最終的に約十八万人。
ニューキーツからの避難民がほぼ半数を占め、八万人。
結局、真正の人ホメムはレイチェルただひとり。
まだ何百万、何千万の命が地球上に残されているだろうが、パリサイドは地下深くに潜った彼ら全員の救出は断念したようだ。
いわば見捨てたことに、漠然とした不満を持った者も少なくない。
イコマもその一人だが、ユウによれば、やむなし、ということになる。
「こっちにも制限時間ってものがあるんだから」
棘のある言い方だと思ったのか、
「進んで乗り込んでくれる人たちじゃないから」と、申し訳なさそうに言い添えたものだ。
「逮捕ねえ」
令状は? などと聞いても、意味はない。
イコマはじめ、パリサイド社会の仕組みはまだ誰も全く知らない。
「公式な……」
思わず口から出た言葉に、チョットマとスミソも顔を見合わせるばかり。
「目の前で連れ去られたのです」
スミソが申し訳なさそうに付け加えた。
「向こうは完全武装してましたし、こっちはその時……」
引き立てられていくのを追いすがっても、結局は呆然と見送るしかなかったという。
スミソは表情を変えない男だが、この時ばかりは武器をガチャリといわせた。




